理学療法士・作業療法士養成校授業のオンライン化

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目次

理学療法士・作業療法士養成校授業のオンライン化

新型コロナウイルス感染拡大による全国緊急事態宣言の影響を受け,理学療法士・作業療法士養成校の教育にも大きな影響が及んでおります.

多くの理学療法士・作業療法士養成校ではオンライン化授業が計画されており,理学療法士・作業療法士養成校の先生方も慣れないオンライン授業とオンライン授業のためのコンテンツ作りに多忙を極めている状況です.

今回は理学療法士・作業療法士養成校授業のオンライン化についてその現行法令上の規定をふまえて考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現行法令上の規定

まず確認しておきたいのはオンライン授業に関する現行法令上の規定です.

大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)第25条によると以下のように明記されております.

1.授業は,講義,演習,実験,実習若しくは実技のいずれかにより又はこれらの併用により行うものとする.

2.大学は,文部科学大臣が別に定めるところにより,前項の授業を,多様なメディアを高度に利用して,当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができる.

3.大学は,第一項の授業を,外国において履修させることができる.前項の規定により,多様なメディアを高度に利用して,当該授業を行う教室等以外の場所で履修させる場合についても,同様とする.

 

通信衛星,光ファイバ等を用いることにより,多様なメディアを高度に利用して,文字,音声,静止画,動画等の多様な情報を一体的に扱うもので,次に掲げるいずれかの要件を満たし,大学において,大学設置基準第二十五条第一項に規定する面接授業に相当する教育効果を有すると認めたものであること.

 

1.同時かつ双方向に行われるものであって,かつ,授業を行う教室等以外の教室,研究室又はこれらに準ずる場所(大学設置基準第三十一条第一項の規定により単位を授与する場合においては,企業の会議室等の職場又は住居に近い場所を含む)において履修させるもの

2.毎回の授業の実施に当たって,指導補助者が教室等以外の場所において学生等に対面することにより,又は当該授業を行う教員若しくは指導補助者が当該授業の終了後すみやかにインターネットその他の適切な方法を利用することにより,設問解答,添削指導,質疑応答等による十分な指導を併せ行うものであって,かつ,当該授業に関する学生の意見の交換の機会が確保されているもの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知っておきたい授業の類型

授業の類型は大きく分類すると同時双方向型オンデマンド型に分類されます.

それぞれに要件が定められておりますので,どの分類に当てはめて授業を行うのかを考慮する必要があります.

 

同時双方向型(テレビ会議方式等)

形態

同時かつ双方向

履修場所

授業を行う教室等以外の教室,研究室又はこれらに準ずる場所(科目等履修生の場合,企業の会議室等の職場又は住居に近い場所を含む)

その他留意事項

授業を実施するに当たっては,面接授業に近い環境で行うことが必要であり,各大学においては,以下のような事項について配慮することが望ましい.

  • 授業中,教員と学生が,互いに映像・音声等によるやりとりを行うこと.
  • 学生の教員に対する質問の機会を確保すること.
  • メディアを利用して行う授業の受信側の教室等に,必要に応じ,システムの管理・運営を行う補助員を配置すること.
  • また,必ずしも受信側の教室等に教員を配置する必要はないが,必要に応じてティーチング・アシスタントを配置することも有効であること.

 

※「授業を行う教室等」には研究室やスタジオなどが含まれるため,授業を行う場所には教員のみがいて,履修を行う学生がいない場合もメディアを利用して行う授業に含まれる. また,同一校舎内の複数の教室間で多様なメディアを高度に利用して同時に行われる授業もメディアを利用して行う授業に含まれる.

 

 

 

 

 

オンデマンド型(インターネット配信方式等)

形態

同時又は双方向である必要は無い

指導方法

①毎回の授業の実施に当たって,指導補助者が教室等以外の場所において学生等に対面することにより,又は② 当該授業を行う教員若しくは指導補助者が当該授業の終了後すみやかにインターネットその他の適切な方法を利用することにより, 設問解答,添削指導,質疑応答等による十分な指導*を併せ行うことが必要

*学期末などにまとめてではなく,毎回の授業の実施に当たって併せ行う.

→いつまでに質疑応答を行うべきかについては,従来の通知等では必ずしも明示されていないが,① 学生が疑問をただちに提出できる環境があること,② 当該疑問が次の講義の学修の前提となる場合には,次の講義までに,もしくは次の講義のなかで回答を行うこと,③ ②以外の場合には,講義期間中適切な時期に回答を行うこと,を目安として示してはどうか.

*「指導」には,設問解答,添削指導,質疑応答のほか,課題提出及びこれに対する助言を電子メールやファックス,郵送等により行うこと,教員が直接対面で指導を行うことなどが含まれる.

→従来の通知等では示されていないが,ICTの活用例として,たとえば,よくある質問とそれに対する答えについてAIに蓄積し,学生からの質問があった場合にはAIが回答し,AIが判断に迷う質問については担当教員若しくは指導補助者がフォローする,といった手法も考えられる.

 

意見交換

当該授業に関する学生の意見交換の機会*の確保が必要

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時双方向型とオンデマンド型の大きな違いは?

まず重要なのは同時方向型はその名の通り一方向性の授業では問題がありますので,e-learningのように録画した動画を流して終わりというわけにはいきません.

授業中に教員と学生が互いにやり取りを行えることが条件となり,学生に質問の時間を設ける必要性も明記されております.

一方でオンデマンド型の場合には,e-learningのような形式で録画した動画を流しておいて,インターネットでのメール機能等を用いて設問解答,添削指導,質疑応答等による十分な指導を行う形式となります.

教員の立場からすれば,同時双方向型の場合には授業時間内におおよそのことが解決するわけですが,オンデマンド型の場合には授業時間の以外も時間をとられることになります.

ただオンデマンド型の場合には一度動作を撮影してしまえば,動画を繰り返して使用できるといった利点もあります.

それぞれ一長一短あるわけですが,私の知る範囲でも同時双方向型でオンライン授業を行っている理学療法士教員もいれば,オンデマンド型で授業を行っている理学療法士教員がいるのも実際です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

問題は実技科目

実は理学療法士・作業療法士養成というのは少し特殊です.

特に実技科目なんかはなかなかオンラインで授業を行うことに限界があります.

夏季まで実技科目を持ち越しとする養成校も多いようですが,本当に夏季になれば対面授業が再開できるかどうかもあやしい状況です.

実技科目をどのように執り行うかについて今後新しいアイディアが求められそうですね.

加えて大学の場合には,卒業に必要な単位数のうち,メディア授業により修得可能な単位数の上限が決まっており,卒業要件124単位中,60単位までとなっております.

 

今回は理学療法士・作業療法士養成校授業のオンライン化についてその現行法令上の規定をふまえて考えてみました.

われわれ有資格者の理学療法士・作業療法士の講習会も今後オンライン化される流れが加速すると思います.

特に実技の部分についてどのように伝えるかというのは大きな課題になるでしょうね.

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