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通販でよく見る腹筋ベルトが違法表示だとして消費者庁から指摘を受ける
日本でも一時期流行しましたよね,ベルトタイプの電気刺激装置…
いろんな機器が開発されておりましたが,理学療法士や作業療法士からするとその効果は怪しいものだったと思います.
ただ通販番組では繰り返し取り上げられ,販売台数も一時はすごい数でした.
ただ残念ながらこの怪しい腹筋ベルトが2020年3月31日に消費者庁から景品表示法違反で措置命令を受けております.
今回は通販でよく見る腹筋ベルトが違法表示だとして消費者庁から指摘を受けた件について考えてみたいと思います.
消費者庁から指摘を受けた腹筋ベルト
ベルトを巻くだけで腹筋が鍛えられるなどとして痩身(そうしん)効果をうたい,健康グッズを販売していた通販会社やメーカー計4社に対し,消費者庁は3月31日に,合理的な根拠がないとして景品表示法違反(優良誤認)で再発防止などを命じる措置命令を出しました.
今回,措置命令を受けたのは,オークローンマーケティング(名古屋市),ディノス・セシール(東京都中野区),プライムダイレクト(名古屋市),ヤーマン(東京都江東区)の4社です.
発表によると,オークローンマーケティングはテレビ番組「ショップジャパン」,ディノス・セシールなどは自社サイトやテレビ番組で,腹部に巻いたり,張り付けたりして使う電気刺激機器を計6機種を販売しておりました.
通販番組の中で数人のモニターを登場させ,マイナス19.6cmのお腹引き締めに成功などと,電気刺激によって腹部が鍛えられることによって痩身効果が得られるような宣伝をしたのです.
消費者庁がその効果の根拠を調べておりますが,各社が提出した資料についてはいずれもサンプル数が少なく,一般的な効果が証明されているとはいえないといった判断だったのです.
当たり前ですが,食事制限など体重減少のその他の要因が排除されていなかったわけです.
こういった機器に非常に多いのですが,きちんとした無作為化比較試験が行われたわけではなく,前後比較しか行われていなかったのです.
消費者庁は違法な表示にあたるとして,消費者への周知徹底や再発防止策を講じることなどを求めております.
表示が違反とされた商品
スレンダートーン アブベルト(オークローンマーケティング)
クワトロビート・TBCスレンダーパッドBE(ディノス・セシール)
バタフライアブス・バタフライアブスディープテック(プライムダイレクト)
クワトロビート・トルネードRFローラー」(ヤーマン)
CM等で一度は耳にされたことのある商品も多いのではないでしょうか?
景品表示法とは?
今回の消費者庁からの指摘の中で理学療法士・作業療法士も理解しておきたいのが,景品表示法です.
景品表示法は,正式には不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)を指します.
消費者であれば誰もがより良い商品やサービスを求めるわけですが,実際より良く見せかける表示が行われたり,過大な景品付き販売が行われると,それらにつられて消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります.
景品表示法は,商品やサービスの品質・内容・価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに,過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより,消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るための法律です.
景品表示法に違反する行為に対しては,今回のように措置命令などの措置が採られます。
景品表示法に違反する不当な表示や,過大な景品類の提供が行われている疑いがある場合には,消費者庁が関連資料を収集し,事業者への事情聴取などの調査を実施します.
調査の結果,違反行為が認められた場合は,消費者庁は当該行為を行っている事業者に対し,不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除,再発防止策の実施,今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる「措置命令」を行えるのです.
違反の事実が認められない場合であっても,違反のおそれのある行為がみられた場合は指導の措置が採られます.
また事業者が不当表示をする行為をした場合,景品表示法第5条第3号に係るものを除き,消費者庁は,その他の要件を満たす限り,当該事業者に対して課徴金の納付を命じることもできます.
今回は通販でよく見る腹筋ベルトが違法表示だとして消費者庁から指摘を受けた件について考えてみました.
電気刺激で腹筋群に筋肥大が起こったとしても,骨格筋の基礎代謝だけで脂肪の燃焼が著しく増えるというのは考えられませんよね.
言うまでもなく脂肪を燃焼させるには有酸素運動と食事療法が必要です.
ただこういった機器が食事療法の継続の意識付けになる場合はあるかもしれませんので,まったく減量効果が無いとは思いませんが,ここまでお金を支払うほどのものではありませんね.
昨今は理学療法士・作業療法士が医療福祉機器の開発に携わる機会も増えておりますが,こういった景品表示法の違反にならないように注意が必要ですね.
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