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日本看護協会が国へ新型コロナウイルス感染症対応している看護職に対する危険手当の支給に関する要望を提出
先日,日本看護協会が内閣に対して新型コロナウイルスかんせ症のクライアントに対応している看護職に対する危険手当の支給に関する要望書を提出いたしました.
感染拡大に伴い,医療機関における院内感染も頻発している状況であり,医療職の中でも最も感染者数が多いのが看護師です.
これを受けて非常に迅速に動いたのが看護協会です.
今回は理学療法士の視点でこの日本看護協会が内閣へ提出した看護職に対する危険手当の支給に関する要望に関して考えてみたいと思います.
日本看護協会が国へ新型コロナウイルス感染症対応している看護職に対する危険手当の支給に関する要望書(抜粋)
内閣府全世代型社会保障改革担当大臣
特命担当大臣西村康稔殿
新型コロナウイルス感染症対応している看護職に対する危険手当の支紺等について
現在、日本国内の複数の地域で感染経路が明らかでない新型コロナウィルス感染症の患者が散発的に発生しており、国民・医療関係者が体となって拡大防止に努めております。さらには、無症状者が別の疾患等で医療機関を受診することなどによって、院内感染が生じ、医療従事者は、自身が感染する、自身が感染の媒介者になるかもしれない不安や恐怖を感じながら職務にあたっています。
なかでも看護職は24時間、 365日患者に関わっており、感染に対するりスクは甚大です。
また新型コロナウイルス感染症に対応している医療機関の看護職は、「感染するから保育を拒否される」「感染するからタクシーから乗車拒否される」などの謂れのない誹誇中傷を受けています。
国難ともいわれる今般の状況において、自らの危険を顧みずに業務に従事している看護職に、危険手当等を支給していただきますようお願いいたします。
令和2年4月15日
【要望1】
下記の通り、新型コロナウイルスに感染した患者に対応した、又は対応する可能性が高い看護職一人ひとりに対し、危険手当を支給されたい。
1.対象となる看護職
①新型コロナウイルスに感染した患者又は感染した疑いのある患者に対応した看護職及びその補助を行った看護職
2.支給方法
危険手当を大幅に増額し、対象看護職個人に支給すること
3.支給期間
日本国内で初めて新型コロナウイルス感染力流認された日から、新型コロナウイルスの蔓延がほぼ終息したとして別に定める日まで
【要望2】
要望1に記載した看護職が帰宅せずホテル等に宿泊した場合、当該看護職に対し1泊につき 15,000円を上限に宿泊費の補助(病院において費用を負担している場合は医療機関に対して補助)を行っていただきたい。
日本看護協会HPより
さすが日本看護協会
私自身はこれを見たときにはさすが看護協会だと感じました.
その迅速さは日本理学療法士協会も見習うべきです.
職能団体として看護師を守ろうといった姿勢はすごく評価できると思います.
日本看護協会としては,その役割に恥じないような行動を示せたものと考えます.
また日本看護協会がこういった要望書を提出したことで,看護師以外の医療従事者も声を挙げやすくなったと言えるでしょう.
ロクに休暇も取得できずに,マスクが足りないために出勤時は自前マスク消費して,帰宅すれば自宅であちこち消毒し服も靴も消毒する必要があります.
万が一,自宅にウイルスを持ち帰ってしまったら大変ですので,自宅へ帰っても気が抜けません.
こんな状況ですので危険手当が出されてしかるべきだと個人的には考えます.
感染リスクがあるのは感染者へ接触する看護師だけではない
SNS等では全ての看護師に補償をといった声も挙がっておりますが,これは非常に難しい問題です.
感染防護具が不足する中で感染者へ直接的に接している看護師の感染リスクが高いことは言うまでもありませんガ,新型コロナウイルスに感染しているクライアントが入院している医療機関では,直接感染者に接しない医療スタッフの感染も出てきている状況です.
新型コロナウイルス感染の場合には,症状出現までにかなりラグがありますので,誰が感染者かわからない中での感染リスクは看護師に限らず,どの職種においても感染リスクは高い状況といえるでしょう.
また問題なのは感染者への対応に追われるために,感染者へ直接的に接触しない看護師にも仕事の面で大きなしわ寄せが生じている状況です.
頑張っているのは看護師だけではない
看護師が一番大変なのは言うまでもありません.
ただ他のコメディカルにおいても,この新型コロナウイルス感染対応で業務が逼迫しており,感染リスクが高い状況であることは忘れてはなりません.
医師はもちろんのこと,PCR検査に関わる臨床検査技師,画像検査に関わる放射線技師,人工呼吸器・EMOS管理・操作に関わる臨床工学技士にも手当が出されても良いと思います.
理学療法士・作業療法士は…
ただ新型コロナウイルス感染拡大に伴って,リハビリテーション職種はどうでしょうか?
先日から理学療法士の感染も何例か報告されておりますが,どちらかというと業務は縮小傾向にあり,新型コロナウイルスに罹患したクライアントに,理学療法士・作業療法士が介入することは現状では少ないので現在のところ,理学療法士・作業療法士は蚊帳の外といった状況です.
ただ上述したように,感染者を受け入れいている医療機関においては,直接感染者に接する看護師等を介して理学療法士・作業療法士が感染するリスクというのは決して低くはありません.
ちなみに日本理学療法士協会も医療崩壊の阻止に向けて以下のような通達を出しております.
現在、本会では政府及び厚生労働省に向けて、理学療法士による看護師の支援体制構築を提案しています。感染病棟への看護師の傾斜配置、看護師の感染等々、看護師全体に大変な負担がのしかかっています。
新型コロナウイルス感染問題が収束するまでの期間において、ADL 維持向上等体制加算の条件緩和を行う等によって、看護師の負担を減らすことを目指すべきと考えます。会員一同が「医療崩壊」を防ぐ一助と理解し、ご理解ご協力をお願いいたします。
今回は理学療法士の視点でこの日本看護協会が内閣へ提出した看護職に対する危険手当の支給に関する要望に関して考えてみました.
早急に日本理学療法士協会・日本作業療法士協会からも国に対して何らかの要望が出されることを期待したいですね.
もちろん看護師に比較すれば感染リスクは高い職種ではありませんので,感染者受け入れ医療機関においてという形で何らかの危険手当を要望として提出していただきたいものです.
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