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理学療法士・作業療法士は新型コロナウイルス感染においてどんな状況であれば定義上の濃厚接触となり得るのか?
連日,新型コロナウイルス関連のニュースをみていると「濃厚接触者が●名」といったフレーズを耳にします.
そもそも濃厚接触者の定義はどのようなものなのでしょうか?
また仮にわれわれ理学療法士・作業療法士が感染者に20分間の理学療法・作業療法を行った場合には,これは濃厚接触者になり得るのでしょうか?
今回は理学療法・作業療法は新型コロナウイルス感染において定義上の濃厚接触となり得るのか否かについて考えてみたいと思います.
新型コロナウイルス感染症に関する「濃厚接触者」の定義 出典:国立感染症研究所 2020年2月6日付
「患者(確定例)」が発病した日以降に接触した者のうち,次の範囲に該当する者を指します.
①新型コロナウイルス感染症が疑われる者と同居あるいは長時間の接触(車内,航空機内等を含む)があった者
②適切な感染防護無しに新型コロナウイルス感染症が疑われる患者を診察,看護若しくは介護していた者
③新型コロナウイルス感染症が疑われる者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
④その他:手で触れること又は対面で会話することが可能な距離(目安として2メートル)で,必要な感染予防策なしで,「患者(確定例)」と接触があった者(患者の症状やマスクの使用状況などから患者の感染性を総合的に判断する)
クライアントが感染者の場合には?
クライアントが感染者の場合に担当理学療法士・作業療法士は濃厚接触者になり得るでしょうか?
この定義に当てはめて考えると,まず②に当てはめて考えると感染防護無しに接触していればこの時点で既に濃厚接触者ということになります.
感染防護というのはもちろんサージカルマスク装着では不十分ですので,理学療法士・作業療法士はほとんどの場合,②の部分で濃厚接触者になっている場合が多いでしょう.
仮に適切な感染防護を行っていたとしても,①に当てはめて考えると濃厚接触者となる可能性が高いです.
①に関しては長時間の時間がどのくらいかといった点が問題ですが,厚生労働省がQ&Aの中で30分以上と公表しておりますので,単純に2単位のかかわりをしていればその時点で濃厚接触者です.
理学療法士・作業療法士が感染者の場合には?
理学療法士・作業療法士が感染者の場合にはどうなるでしょうか?
まず①についてですが先ほどと同様に2単位以上のかかわりをしていればその時点で濃厚接触者扱いとなります.
また②についてはわれわれ理学療法士・作業療法士が個人防護具を装着していなければ,その時点で理学療法・作業療法を行った対象者は濃厚接触者となってしまいます.
現実的に,神奈川県・新潟県において感染した理学療法士が接触したクライアントは濃厚接触者扱いとなり,調査が行われております.
今回は理学療法・作業療法は新型コロナウイルス感染において定義上の濃厚接触となり得るのか否かについて考えてみました.
改めてわれわれはクライアントが感染者の場合には自らが濃厚接触者となり,われわれ理学療法士・作業療法士自身が感染者であればクライアントを濃厚接触者にさせてしまう職業なのだということを認識すべきです.
職場内での感染対策を徹底するとともに,われわれ自身が感染源とならないように自分の行動に責任を持つ必要がありますね.
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