腸腰筋を伸張するにはどのくらいのストレッチの持続時間が必要なのか?

運動療法・物理療法
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腸腰筋を伸張するにはどのくらいのストレッチの持続時間が必要なのか?

理学療法士・作業療法士が筋の柔軟性や伸張性改善を目的としてストレッチングを行う機会は少なくないと思います.

ストレッチングで重要となるのがどのくらい筋を持続的に伸張するかといった伸張運動の持続時間です.

下腿三頭筋では2分間の伸張時間が必要であることが明らかにされておりますが,他の筋群ではどうでしょうか?

今回は理学療法士・作業療法士が行う機会の多い腸腰筋のストレッチングに関して,腸腰筋を伸張するにはどのくらいのストレッチの持続時間が必要なのかを明らかにした研究報告をご紹介させていただきます.

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今回ご紹介する論文

Sports Biomech. 2019 Jun 24:1-10. doi: 10.1080/14763141.2019.1620321. [Epub ahead of print]

Static stretching time required to reduce iliacus muscle stiffness.

Nojiri S1, Yagi M1, Mizukami Y1, Ichihashi N1.

今回ご紹介する論文は2019年に掲載された新しい論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の目的

Static stretching (SS) is an effective intervention to reduce muscle stiffness and is also performed for the iliopsoas muscle. The iliopsoas muscle consists of the iliacus and psoas major muscles, among which the former has a greater physiological cross-sectional area and hip flexion moment arm. Static stretching time required to reduce muscle stiffness can differ among muscles, and the required time for the iliacus muscle remains unclear. The purpose of this study was to investigate the time required to reduce iliacus muscle stiffness.

静的ストレッチングは筋の硬さを改善させるために実施される介入の1つです.

腸腰筋(腸骨筋+大腰筋)は歩行や走行において重要な役割を果たす筋であり,腸腰筋の柔軟性が低下すると歩行速度の低下などの二次的障害が生じることから腸腰筋の柔軟性を維持・向上することは重要です.

腸腰筋は腸骨筋と大腰筋から構成される筋であり,腸骨筋は生理学的に大きな横断面積と股関節屈曲モーメントの長さをもちます.

過去の研究によると筋の柔軟性を向上させるために必要なストレッチの時間は対象とする筋によって異なる可能性が示されております.

腸腰筋に関してはどのくらいの時間,持続的に伸張運動を行う必要があるかは不明であります.

この研究では,個別の筋の硬さを評価できる超音波せん断波エラストグラフィーを用いて,腸腰筋のうち腸骨筋の柔軟性向上に必要なストレッチの時間を検討することを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法

Twenty-six healthy men participated in this study. A 1-min hip extension SS was performed five times. Shear elastic modulus, an index of muscle stiffness, of the iliacus muscle was measured using ultrasonic shear wave elastography before SS and immediately after each SS.

対象は26例の健常男性となっております.

1分間股関節を伸展させる静的ストレッチングを5回実施しております.

超音波剪断波エラストグラフィーを用いて,腸骨筋の筋スティフネスをストレッチング前とストレッチング長後で比較しております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

One-way repeated analysis of variance showed a statistical effect of time on the shear elastic modulus. A paired t-test with Holm adjustment revealed that the shear elastic moduli after 1-5 SS were statistically lower than that before SS. In addition, the shear elastic modulus after 5 SS was statistically lower than that after 1 SS. The results suggested that the stiffness of the iliacus muscle decreased with 1-min SS and further decreased with 5-min SS.

一元配置分散分析の結果,腸骨筋の弾性率はストレッチ前と比較して1セット目から有意に減少しております.

ホルム法にて調整した対応のあるt検定の結果,静的ストレッチング前に比較してストレッチ後で有意に筋のスティフネスが減少しております.

加えて1セット目よりも5セット目で有意なスティフネスの現象を認めております.

この研究の結果から腸骨筋の筋スティフネスは1分間の持続伸張によって改善が得られますが,5セット(1分間×5)を継続することでさらに筋のスティフネスを減少させることが可能であることを示唆します.

 

今回は理学療法士・作業療法士が行う機会の多い腸腰筋のストレッチングに関して,腸腰筋を伸張するにはどのくらいのストレッチの持続時間が必要なのかを明らかにした研究報告をご紹介させていただきました.

これまで腓腹筋やハムストリングスを対象にしたこれまでの研究では2分間や2.5分間といった比較的長い時間のストレッチが必要とされてきましたが,この研究結果から腸骨筋の柔軟性は1分間のストレッチで向上することが示唆されます.

今後は筋群によって必要な伸張時間が異なるのは何がキーになっているのかといった視点で研究が行われることが期待されますね.

腓腹筋で2分,ハムストリングスで2.5分,腸骨筋で1分ですから,やはり筋長つまり筋の走行距離が関連することも推測されますね.

理学療法士・作業療法士の皆様もストレッチングを行う際の参考にしてみてください.

 

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