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新型コロナウイルス感染拡大による面会禁止が理学療法・作業療法対象者に与える影響
新型コロナウイルス感染拡大が一向に終息しそうにありません.
病院内でもマスク不足や,外来患者の減少,コロナウイルス関連の問い合わせへの対応などいろいろな影響が出てきておりますが,もう1つ大きな影響が面会禁止です.
面会禁止にも家族だけはOKとか,ロビーでの面会は短時間であればOKとかさまざまな対応がなされておりますが,面会禁止に踏み切る医療機関が増えてきているのは確かです.
今回は新型コロナウイルス感染拡大による面会禁止が理学療法・作業療法対象者に与える影響について考えてみたいと思います.
理学療法・作業療法対象者のリハビリ意欲が低下
まず感じるのは,新型コロナウイルスの感染拡大によって家族の面会が禁止になって,クライアントご本人の意欲低下が著しい状況です.
クライアントもご家族の面会が無いので,寂しそうですし,早く孫に会いたいと毎日訴えられる方もいらっしゃいます.
これは私の個人的な印象かもしれませんが,家族との面会制限はクライアントの認知症の進行にも影響を及ぼしそうです.
家族との面会というのは見当識をはっきりさせるためにはとても意味があることだと思いますが,家族との面会が制限されてしまって自分自身が今どこにいるのかもよくわからなくなってきているクライアントが増加しております.
今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって家族の面会が禁止になってから,改めて家族の力の大きさを感じされられている状況です.
家族との自主練習の機会が減少
理学療法士・作業療法士であれば休日に家族の方とこんな練習をしておいてくださいといった形でご家族を巻き込んだ運動指導を行う機会も多いと思います.
家族との面会禁止は家族との自主練習量の低下をもたらし,クライアントの機能回復や動作能力の向上の妨げにもなっております.
ご家族との自主練習というのは,運動量を確保する点では非常に有効ですし,ご家族に現在の動作能力を理解していただく上では非常に有効ですので,ご家族の面会が禁止されることによる影響というのは非常に大きいです.
リハビリテーション室が使えなくなっている病院も…
北海道・愛知県・大阪府・東京都といった感染者数の多い医療機関では既にリハビリテーション室の使用を禁止しているところもあるようです.
今回の新型コロナウイルスの大きな特徴であるクラスター感染を予防するというのが一番の目的だと思われますが,リハビリテーション室の使用禁止によってさまざまな弊害が生まれることは言うまでもありません.
病棟でのリハビリテーションというのは日常生活場面に近い環境で練習が行えるといった利点がある一方で,使用できる道具が限られますし,できる練習も限定されます.
加えてリハビリテーション室へクライアントが集まると,他のクライアントがリハビリテーションに取り組まれているのを見て,自分も頑張らないといった気持ちが高まるクライアントも多いと思います.
リハビリテーション室の使用制限もまたクライアントの意欲低下の一因となっております.
カンファレンスによる退院支援にも滞りが…
家族の面会が禁止ということは家族を呼んで耐陰支援のためのカンファレンスの開催もできません.
一部のリハビリテーション病院では面会禁止によって退院までの流れが滞り,在院期間が延長してきているといった声も聞かれます.
退院前訪問や退院前に行われるご家族のリハビリ見学等も全て禁止されておりますので,退院に向けてご家族にクライアントの現状を理解していただく方法が非常に限られている状況です.
退院調整者とご家族だけの電話での会話では,多職種やご家族を巻き込んでのカンファレンスの役割を果たせないのは当然かもしれませんが,何かしら面会制限がある中で,代替策を模索している医療機関も多いようです.
今回は新型コロナウイルス感染拡大による面会禁止が理学療法・作業療法対象者に与える影響について考えてみました.
現在の新型コロナウイルスの感染状況をみると,面会制限が解除されるまでにはまだまだ時間がかかりそうです.
ご家族の力をお借りできないこの状況で,理学療法士・作業療法士がクライアントの退院支援に向けていかに取り組むかが求められている状況ですね.
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