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認定理学療法士症例報告審査を終えました
理学療法士の皆様もご存じのように現行制度での認定理学療法士取得は来年度をもって終了となります.
今年度も認定理学療法士の取得を目指す理学療法士の方が非常に多く,申請者数も過去最高となったようです.
来年度は最後の年となりますので,来年度も今年度以上に認定理学療法士取得を目指して申請をされる方が増加することが予測されます.
認定理学療法士取得ために大きなハードルになるのが症例報告審査です.
僭越ながら私も数年前から認定理学療法士の症例報告審査を務めさせていただいております.
1月初旬に日本理学療法士協会から依頼があり,先日ようやく症例報告審査を終えました.
今回は認定理学療法士の症例報告審査について考えてみたいと思います.
私宛に依頼のあった認定理学療法士の症例報告審査の数
1月初旬に私宛に依頼のあった認定理学療法士の症例報告審査の数ですが,20名分の理学療法士の症例報告が届きました.
20名分ですから20名×10症例で200症例分の症例報告の数です…
200症例ですよ…
1例1例しっかりと審査をしていきますと約1カ月かかってしまいました.
誤字・脱字が多い
まず最も気になったのが,誤字脱字です.
誤字・脱字って最低限のマナーですよね.
私自身はあまりにも誤字・脱字が多いケースを除いては,誤字・脱字の有無を審査の対象に含めることは極力しませんでしたが,見る方からすればストレスで仕方ありません.
素晴らしい内容であっても,誤字・脱字があると正直なところマイナスな印象を持たざるを得ません.
ひどいものに至っては1症例あたり,誤字・脱字が10か所近くあるといったものもありました.
応募締切ぎりぎりになってきちんと確認せずに提出したのがみえみえです.
来年度以降に申請をされる方は,ぜひともまずは誤字・脱字に注意してください.
内容以前の問題ですので…
ちなみに私のブログに誤字・脱字が多いといった話もありますが…これは趣味の範囲のブログですのでご容赦ください.
治療手技に頼りすぎ
認定理学療法士の症例報告審査では1症例あたり25点×10症例で250点満点で採点を行います.
150点以上であれば合格なのですが,残念ながら私にあたった20名の理学療法士の中から2名の方が不合格となってしまいました.
ちなみに不合格になった方も,再審査が行われますので,再審査の結果によっては合格できるかもしれないといった状況です.
私の審査で不合格になってしまった2名の理学療法士の症例報告審査には共通する点がありました.
アセスメントが短絡的であり,治療手技に依存した内容であったといった共通点です.
症例の情報があって,検査・測定の情報があって,急に○○治療手技が登場してきて,その治療手技を行うと症状が改善したといったロジックのものです.
治療手技自体が悪いということではなくて,症例の抱える問題点と治療手技に全く繋がりが無いのです.
また治療手技の内容自体がきちんと言語化されていないのでどういった目的でどういった操作が行われたのかが全く伝わってきません.
治療手技ありきになっている症例報告はやはり採点を低くせざるを得ません…
この認定理学療法士の症例報告審査の中で最も重要なポイントってやっぱり専門的な視点からきちんと臨床推論ができているかどうかですよね.
ここがしっかりしていないものはただの情報の羅列にすぎません…
会員番号が若くても素晴らしい内容もたくさんあった
日本理学療法士協会の会員番号は基本的には会員番号が若い者ほど経験年数が浅く,会員番号が古い者ほど経験年数を重ねているということが多いと思います.
もちろん途中で入会された方もいらっしゃると思いますので,例外はあるでしょうが…
今回の認定理学療法士の症例報告審査情報の中には審査の対象となる理学療法士の会員番号が明記されているのですが,会員番号が古くて経験年数を重ねている理学療法士の症例審査の内容が優れているというわけでもありませんでした.
むしろこの理学療法士はよく考えて臨床をされているなとこちらが脱帽するような症例報告もあったわけですが,そういった内容は経験年数でいうと5年目未満の理学療法士のものでした.
やっぱり経験年数ってあてにならないなと改めて感じたわけです.
さらに運動学や解剖学がベースとなって臨床推論が展開できる理学療法士というのは10症例ともに採点の点数が高いんですよね.
逆もしかりなわけですが…
また運動学や解剖学がベースとなって臨床推論をきちんと展開できている症例報告って,私自身も読んでいてとても楽しいものでしたし,勉強になりました.
今回は認定理学療法士の症例報告審査について考えてみました.
今後,認定理学療法士の更新手続きをされる方,また来年度の新規申請を考えておられる方はぜひ参考にしていただければと思います.
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