前足部の柔軟性とシンスプリントの関係性 工藤慎太郎先生の2015年論文

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前足部の柔軟性とシンスプリントの関係性 工藤慎太郎先生の2015年論文

スポーツリハビリテーションに携わる方であれば,シンスプリントの方の理学療法に携わる機会は少なくないと思います.

特に昨今は市民ランナーも増加しており,ランニングを習慣的に行っている方も少なくありません.

ランニングの継続で発生しやすいスポーツ障害の1つがこのシンスプリントです.

皆様はシンスプリントの方にどういった介入をされていますか?

今回はシンスプリントに対する理学療法介入のヒントとなる前足部の柔軟性とシンスプリントの関係性を明らかにした研究論文を紹介させていただきます.

man in yellow tank top running near shore

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回ご紹介する論文

J Orthop Surg (Hong Kong). 2015 Dec;23(3):357-60.

Forefoot flexibility and medial tibial stress syndrome.

Kudo S1, Hatanaka Y2.

今回ご紹介する論文は森之宮大学の工藤慎太郎先生が執筆された2015年に掲載された論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の目的

To investigate the association between medial tibial stress syndrome (MTSS) and morphology and flexibility of the foot arches.

この研究の目的はシンスプリントと足部形態および足部アーチの関連性を明らかにすることとなっております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法

131 feet from 74 healthy subjects and 31 feet from 27 patients with MTSS were classified as normal feet (n=78 in 40 subjects), flat feet (n=53 in 34 subjects), or MTSS feet (n=31 in 27 patients). The medial longitudinal arch (MLA) ratio and the transverse arch length (TAL) were measured in both rearfoot and forefoot loading positions. The difference between the 2 positions indicated the flexibility of the MLA (diff-MLA ratio) and the transverse arch (diff- TAL).

74例の健常例131肢とシンスプリント患者27例31肢を対象とし,正常足群(健常例),扁平足群(健常例),シンスプリント群(患者群)に分類しております.

内側縦アーチ比,横アーチ長を後足部・前足部荷重位で測定しております.

後足部・前足部荷重の2条件で,内側縦アーチの柔軟性(変化率),横アーチの柔軟性(変化率)を評価しております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

The MLA ratio was higher in normal feet than MTSS feet or flat feet (15.1% vs. 12.8% vs. 12.3%, p<0.001). The diff-TAL was lower in MTSS feet than normal feet or flat feet (0.4% vs. 0.8% vs. 0.9%, p<0.001]). The 3 groups were comparable in terms of the diff-MLA ratio and the TAL. Respectively for the MLA ratio and the diff-TAL, the cut-off value was 11.9% and 0.61% based on the Youden index. The sensitivity, specificity, and odds ratio of the cut-off value were 0.4, 0.9, and 4.8 for the MLA ratio, and 0.6, 0.7, and 9.8 for the diff-TAL, respectively.

内側縦アーチ比は正常群でシンスプリント群および扁平足群よりも有意に高く,横アーチの柔軟性はシンスプリント群で健常群および扁平足群よりも有意に低い結果でありました.

内側縦アーチ比のカットオフ値は11.9%であり,横アーチの柔軟性(変化率)のカットオフ値は0.61%でありました(カットオフ値の算出にはYouden Indexを使用).

カットオフ値における感度と特異度およびオッズ比は,内側縦アーチ比でそれぞれ40%,90%,4.8であり,横アーチ柔軟性で60%,70%,9.8でありました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結論

Decreased flexibility of the transverse arch and decreased MLA ratio are risk factors for MTSS. In contrast, the flexibility of the MLA and the height of the transverse arch were not risk factors for MTSS.

足部横アーチの低下と内側縦アーチ比の減少がシンスプリントの危険因子になる可能性があります.

一方で,内側縦アーチの柔軟性や横アーチの高さそのものはシンスプリントと関連しないことも明らかとなりました.

 

今回はシンスプリントに対する理学療法介入のヒントとなる前足部の柔軟性とシンスプリントの関係性を明らかにした研究論文を紹介させていただきました.

横断研究ですので,因果関係にまでは言及できませんが,シンスプリントのクライアントへの介入として内側縦アーチの再建と足部横アーチの柔軟性を獲得するアプローチが有効であると考えられます.

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