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20対1看護ならぬ20対1療法士提言
日本慢性期医療協会からの提言
令和2年1月9日に日本慢性期医療協会が定例記者会見を行いました.
この中で来年度の診療報酬改定に関して20対1看護ならぬ20対1療法士配置に関して提言がなされております.
今回は理学療法士・作業療法士の職域を考える上でも非常に重要となる20対1療法士配置に関して考えてみたいと思います.
現行の入院基本料
皆様もご存知のように,現在の医療保険における入院基本料というのはほぼ看護配置数で決まっております.
一人一人の看護職員には多少なりとも優劣があると思われますが,看護職員の質ではなく人数で評価がなされているわけです.
またこの●対1看護といった基準は,医療の中では当たり前になってきております.
●対1療法士配置基準の提案
現行ではのリハビリテーションの提供体制は,1単位20分間でクライアントに対してマンツーマンで理学療法なり作業療法なりを提供すると初めて診療報酬の算定が認められ,請求できる方式となっております.
今回提案がなされたのは,どのクライアントにも必須の医療サービスであるリハビリテーションを看護業務と同様に入院基本料に包括してはどうかといったものです.
理学療法士・作業療法士を病棟ごとに配置し,理学療法士・作業療法士の1人のクライアントに対するリハビリ提供時間を自由に定め,理学療法士・作業療法士によるクライアントと1対1のリハビリの提供だけでなく,看護職員や介護職員と協力して行うリハビリや集団リハビリなども含め,クライアントごとにさまざまなリハビリの提供を行えるようにしてはどうかといったものです.
「基準リハビリテーション」制度の提案
-リハビリ療法士20対1配置の場合-
現状の疾患別リハビリの単位で換算し,理学療法士・作業療法士1人1日当たり,3単位✕6時間=18単位のリハビリを提供できると仮定すると,クライアント40人の病棟に10人の理学療法士・作業療法士が配置されると,クライアント1人当たり,毎日4.5単位分のリハビリテーションを実施できることになります.
加えて個別リハビリだけでなくても,看護職員や介護職員とともに個別や集団リハビリなど、病院独自のリハビリ提供体制を作ることも可能となります.
今回はこのような理学療法士・作業療法士の配置体制を作り,ある程度のボリュームのリハビリの提供を確実に実施した上で,アウトカム評価方法としてFIM利得の総和が20点以上改善し,入院日数に応じて高い実績指数が得られた場合に何らかのアウトカム評価を設けてはどうかといった提案がなされております.
理学療法士・作業療法士が介護福祉士化しないかが心配
こういった専従配置,入院料の中にリハビリテーション料を包括化する話は以前からありましたが,最も危惧されるのが理学療法士・作業療法士が介護福祉士化しないかといった点です.
ご存知の通り,介護スタッフは減少している一方で理学療法士というのは数は爆発的に増えております.
何が起こるか想像できますよね?
病棟配置されている理学療法士が看護師に使われて,介護要因として,オムツ交換をさせられたり,食事介助をさせられたり…こんな絵が私の頭には浮かびます.
そういったことにならないためにも,包括化するのであればそれなりのルール作りが必要でしょうし,それ以上にわれわれ理学療法士が確固たるアイデンティティを構築する必要があるでしょうね.
どこまで診療報酬改定に反映されるか?
これは中医協の話ではなく,日本慢性期医療協会からの提案ですので,これがそのまま今回の診療報酬改定で採用される可能性は非常に低いと思います.
ただ今後はこういった提案がなされることが増えれば,われわれ理学療法士・作業療法士の個別リハビリテーションも包括化される時代はそう遠くないのかもしれませんね.
地域包括ケア病棟なんかは包括化への第1歩だと思いますし,今回の提案のように運用によっては非常に柔軟にリハビリテーションサービスを提供できる病棟だと思います.
われわれの働き方も今後変わっていくかもしれませんね.
コメント
[…] 20対1看護ならぬ20対1療法士提言 日本慢性期医療協会からの提言これは中医協の話ではなく,日本慢性期医療協会からの提案ですので,これがそのまま今回の診療報酬改定で採用される […]