TKAにおけるPS型とCR型は患者立脚型評価および関節可動域に影響を与えるのか?

人工膝関節全置換術
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 TKAにおけるPS型とCR型は術後アウトカムに影響を与えるのか? 

人工膝関節全置換術は手術手技の発展とインプラントの発展により年々手術件数が増えております.

CRとPSでは関節可動域(ROM)運動の方法が異なる
同じTKAでもCR型のインプラントとPS型のインプラントでは関節可動域運動を実践する際に考慮する点が異なります. まずはCR型・PS型のインプラントの特徴を理解した上で,事前にインプラントの種類を把握した上で関節可動域運動を行うことが重要です.
人工膝関節全置換術例におけるインプラントの種類 TKA後って膝立ちしていいの? 
人工膝関節全置換術のインプラントも年々変化してきております.理学療法を行う上では,CR型・PS型といったインプラントの特徴を把握しておくことが重要となります.最近では従来のCR型・PS型といった種類の他にも,CS型のインプラントも登場してきております.今回は人工膝関節全置換術例のインプラントの相違について考えてみたいと思います.

人工膝関節全置換術はインプラントの種類によってPS型とCR型に分類されますが,インプラントの相違が術後機能に影響を与えるのかどうかについてはこれまで十分に明らかにされておりません.

後十字靭帯を温存するCR型のインプラントの場合には,後十字靭帯の機能が残存しているといったことが条件になりますので,そもそも変形が高度の症例ほどPS型の人工膝関節全置換術が施行されることが多いわけです.

したがって術前の機能が異なるためインプラントの相違による臨床成績を比較すること自体が難しかったりします.

今回の研究では二重盲検を用いた無作為化比較試験を使ってインプラントの相違が臨床成績に影響を当たるか否かを検討しております.

 

 

 

 

 

 

 紹介する論文 

J Knee Surg. 2019 Jul 8. doi: 10.1055/s-0039-1693023. [Epub ahead of print]

No Difference in Recovery of Patient-Reported Outcome and Range of Motion between Cruciate Retaining and Posterior Stabilized Total Knee Arthroplasty: A Double-Blind Randomized Controlled Trial.

van den Boom LGH, Brouwer RW, van den Akker-Scheek I, Reininga IHF, de Vries AJ, Bierma-Zeinstra SMA, van Raay JJAM.

今回ご紹介する論文は2019年に掲載された新しい論文です.

 

 

 

 

 

 

 研究背景 

Both from the perspective of the individual and from a socioeconomic point of view (e.g., return to work), it is important to have an insight into the potential differences in recovery between posterior cruciate ligament retaining (PCR) and posterior stabilized (PS) total knee arthroplasty (TKA) implants. The primary aim of this study was to compare the speed of recovery of patient-reported outcome between patients with a PCR and PS TKA during the first postoperative year. The secondary aim was to compare the effect on range of motion (ROM).

個人および社会経済的な観点から,人工膝関節全置換術例における高十字靭帯温存の有無が機能回復に影響を与えるか否かを知っておくことは非常時重要です.

この研究ではまずCR型とPS型の間で術後1年の患者立脚型指標の改善速度にインプラント間で相違があるかどうかを明らかにすることを目的としております.

また第2の目的としてインプラントの相違が関節可動域に与える影響を明らかにすることを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 対象および方法 

In a randomized, double-blind, controlled, single-center trial, 120 adults diagnosed with osteoarthritis of the knee were randomized into either the PCR or PS group. Primary outcome was speed of recovery of patient-reported pain and function, measured with the Western Ontario and McMaster Universities osteoarthritis index (WOMAC), with a follow-up of 1 year. Main secondary outcome measure was ROM. A generalized estimating equations (GEE) analysis was used to assess whether there was a difference over time between groups (“p-value for interaction”).

二重盲検を用いた無作為化比較試験(単一施設での研究)を使って,120例の変形性膝関節症例をCR型とPS型に分類しております.

アウトカムはWOMACを用いた患者立脚型評価(疼痛・機能)の術後1年における回復速度,副次的なアウトカムとして関節可動域を測定しております.

一般推計方程式を用いてCR群・PS群間の患者立脚型評価および関節可動域に差があるかどうかを比較しております.

 

 

 

 

 

 

 結果 

Between 2008 and 2011, 59 participants received a PCR TKA (mean age, 70.3 years [SD = 7.7]; mean body mass index [BMI], 30.5 kg/m2 [SD = 5.4]) and 55 participants a PS TKA (mean age, 73.5 years [SD = 7.0]; mean BMI, 29.2 kg/m2 [SD = 4.4]). Six patients (two PCR and four PS) were excluded because of early drop-out, so 114 patients (95%) were available for analysis. In between group difference for total WOMAC score was -1.3 (95% confidence interval [CI]: -5.6 to 3.1); p-value for interaction was 0.698. For ROM, in between group difference was 1.1 (95% CI: -2.6 to 4.7); p-value for interaction was 0.379.

最終的に2008年から2011年に人工膝関節全置換術を受けた症例をCR型59例と,PS型55例に分類しております.

なお120例中6例は術後早期のdrop out症例として除外しております.

両群間における患者立脚型評価(WOMAC)には有意差は無く,関節可動域についても有意差は認めておりません

 

 

 

 

 

 

 結論 

These results demonstrated that there are no differences in speed of recovery of WOMAC or ROM during the first postoperative year after PCR or PS TKA.

この研究結果から患者立脚型評価(WOMAC)には有意差は無く,関節可動域についてはCR群・PS群間で明らかな差は無いと考えられます.

 

今回はTKAにおけるPS型とCR型は患者立脚型評価および関節可動域に影響を与えるか否かを明らかにした研究をご紹介いたしました.

われわれ理学療法士が理学療法を行う際には,インプラントの特性を考慮した上で関節可動域運動や日常生活指導を行う必要がありますが,最終的な帰結には大きな差は無いと考えてよさそうです.

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