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参議院選挙結果に対する日本PT協会・日本PT連盟からの声明
2019年7月に理学療法士の未来を担う重要な参議院選挙が行われました.
振り返ってみるとこの選挙にはさまざまな問題があったわけですが,最終的に自由民主党から立候補していた田中昌史氏,日本維新の会から立候補していた山口和之氏が共に落選するといった最悪の結果に終わりました.
再三の投票の呼びかけを行っていた日本理学療法士連盟からもこの選挙結果に関して3か月間も何も説明がなされてこなかったわけですが,今頃になって声明が出されました.
今回は参議院選挙結果に対する日本理学療法士協会・日本理学療法士連盟からの声明について考えてみたいと思います.
選挙結果を振り返ると…
最終的に自由民主党から立候補していた田中昌史氏の得票数は99,585票,日本維新の会から立候補していた山口和之氏の得票数は41,903票でありました.
この2人の得票数を合わせれば140,000票に達していたわけです.
自由民主党から当選した宮崎雅夫氏・山東昭子氏・赤池誠章氏らの得票数が13万票題であったことを考えると,非常に悔しい結果なわけです.
日本理学療法士連盟が計画的に選挙活動を行っていれば当選を勝ち取れたわけですから…
日本理学療法士協会から出された声明(抜粋)
日本理学療法士協会からは以下のような声明が出されました.
今夏の参議院選挙において,日本理学療法士連盟(以下,連盟)並びに本会会員諸氏の多大なるご支援にも関わらず,連盟の組織内候補者である「田中まさし」氏が落選したことは,非常に残念なことでした.
また,本会にとっても大きな打撃となっており,すでにその影響が出始めています.
(中略)
政治的な影響力のなさが,社会的立場の弱さにつながっているのです.
弱いからこそ,会員を増やし,団結し,与党に自前の政治家を多数輩出し,そして主張して,理学療法士を誇りある医療職にしていかねばなりません.
弱いからこそ,政治に参加し,政策を作る政治家を決める制度(選挙)の中で繰り広げられる競争に勝たねばならないのです.
負けた今こそ,今回の経過・結果について分析を行い勝てる組織を作り上げられるよう,唯一残った現職の連盟の組織代表議員とともに,本会・連盟として体制を整えてまいります.
日本理学療法士協会から出された声明に対して思うこと
この声明の大きな特徴は「弱いからこそ」を連発しているところです.
本当に弱いから負けたのでしょうか?
現職がいるにもかかわらず新人候補を立て,候補者を1本に絞れなかったところに全ての原因があるのではないでしょうか?
14万票が1人の候補者に投じられていれば当選できたはずです.
また連盟からであればまだしも職能団体である日本理学療法士協会からこんな声明を出してよいのでしょうか?
当然ながら日本理学療法士協会員の中にも様々な思想信条をお持ちの方がいると思います.
協会の中でこういった思想誘導をすること自体が問題だと思いますし,こういった体質に共感できない会員が多いのも事実だと思います.
また細かいところですが句点が非常に多く,中学生が書いた文章のようにも見えます.
日本理学療法士連盟から出された声明(抜粋)
①選挙違反の疑いについて
東京新聞で公職選挙法に抵触する可能性について取り上げられた誓約書は「公選法を遵守したうえで,連盟が立て替えた費用について返還する(要約)」ことを記載したものとなっており,公職選挙法違反に該当するものではありません.
しかしこのような条項が誤解を招くとの指摘もあり,弁護士に相談し,上記趣旨をより明確にするために誓約書を改訂していたのにも関わらず報道されたので驚いています.
②連盟通常活動の不足
連盟ではルールに従った方法によって組織代表を選びました.
その選出方法や過程及び 結果について連盟会員には伝えてきたのですが,最大の支持母体である日本理学療法士協会会員への周知が不十分でした.
連盟会員数が少なく,連盟に財力がないこともこの事態を招いた一因です.
③現職議員が組織代表になれなかった理由について
本来,現職議員を組織代表として選挙戦を戦うのが有効です.
しかし,もっと大事なことは議員 6 年間の任期中に何を成したかです.
紙面を使った国会報告,土日を使った会員への直接報告,施設巡回による会員の意見聴取等が大切です.
また,組織代表から漏れたことを踏まえて,参議院議員選挙の全国比例選挙には立候補しないことを当時の秘書を交えて山口前議員と約束をしていました.
この約束違反は想定外の出来事でした.
④選挙戦術について
今回の選挙では前回の選挙と同様に名簿集め,そして電話かけを中心に行ないました.
平均年齢 33 歳の連盟及び協会会員の個人情報を重視する志向性やオレオレ詐欺の蔓延を考えると有効な手段であったか疑問が残ります.
日本理学療法士連盟から出された声明に対して思うこと
まずは東京新聞で公職選挙法に抵触する可能性について取り上げられた誓約に関してですが,この件は本当に残念でしかありません.
協会ニュースの中で確かに「何らかの形で会員の皆様が閲覧できるようにしたい」と記載しているにもかかわらず,選挙前の東京新聞の報道に対して何も反論せず,会員に対して納得のいく説明もなされずといった状況でしたので,この件で大きな信頼を失ったことは確かです.
さらにおそらくもっとも皆様が気になっているのが日本理学療法士連盟と山口和之氏の溝です.
結局は山口和之氏の再出馬を止められない時点で負けだったわけです.
日本理学療法士連盟は2019年4月に広報誌にて,理学療法士で元参議院議員だった山口和之氏(以下、山口氏)の政治活動支援を行わないことを発表しております.
なぜ支援をしないのかを明確にしないまま,会員は山口和之氏と日本理学療法士連盟に深い溝があることを知ることとなります.
その後,選挙期間中にも関わらず理学療法士協会から全国の協会員宛てに山口和之氏のツイートに関して「事実無根だ」という旨のメールが配信され,それに対して山口氏側もtwitter上で反論するといった論争に発展したわけです.
多くの理学療法士が「組織内で仲違いしているから最悪の結果となった」と考えている理学療法士が多いのが実際だと思います.
今回は参議院選挙結果に対する日本理学療法士協会・日本理学療法士連盟からの声明について考えてみました.
声明をきちんと出したのは評価できますが,その内容と声明を出した時期に納得のいかない理学療法士は多いのではないでしょうか?
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