第6回日本予防理学療法学会開催までに読んでおきたい研究紹介1

介護予防
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 第6回日本予防理学療法学会開催までに読んでおきたい研究紹介1 

 

一昨年まで行われた日本理学療法士学会が,昨年度から完全に分科会学会単独での開催となりました.

令和元年10月19-20日に広島県で第6回日本予防理学療法士学会が開催されます.

今回はこの第6回日本予防理学療法士学会の一般演題の中から面白そうな研究をいくつかご紹介いたします.

selective focus photography of people sitting on chairs while writing on notebooks

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 軽症脳梗塞患者の身体活動量向上に生活活動指導は有効か 

 ランダム化比較試験 

 

 目的 

軽症脳梗塞患者の再発予防として身体活動量を向上させることが推奨されている.

身体活動は,体力の維持・向上を目的とし,計画的・継続的に実施される「運動」と日常生活における労働,家事等で運動以外のものである「生活活動」に大別される.

散歩などの余暇時間に実施する「運動」は,身体活動を高めるために多く指導されているが,継続率が21%と低い.一方で生活活動は,日常生活そのものであり身体活動に占める割合も大きく,生活活動を向上させることは継続しやすく,結果として高い身体活動量が獲得できることが考えられる.

しかし,生活活動指導と運動指導のどちらが身体活動量を向上させるか否かについての検討は,ほとんどなされていない.

そこでこの研究では,生活活動指導が運動指導と比較して軽症脳梗塞患者の身体活動量を大きく向上させるか否かを明らかにすることを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 研究の方法 

研究デザインはランダム化比較試験である.

脳梗塞により入院し,National Institute of Health Stroke Scale 5点未満かつ,Mini Mental State Examination 27点以上の45名(年齢:72.3±8.4歳,男性25名,女性20名)を対象とし,ブロックランダムにて生活活動群と運動群の2群に割付した.入院中に生活活動群には生活活動指導,運動群には運動指導を実施した.

生活活動指導では,座位行動を立位に置換することや日常生活を一工夫して身体活動を増やすこと(遠くの駐車場に停めるなど)を指導し,運動指導では一般的な「運動」として,散歩やスポーツなどを指導した

自宅退院後は2週間に一度電話にて身体活動を促した

主要評価項目である身体活動量は,オムロン活動量計Activestyle Pro HJA-750Cを使用し,退院時から退院3か月後まで測定した.本研究では1.6METs以上の活動強度と身体活動時間の積を身体活動量(METs・時)とし,退院2週後の初期評価前と退院3か月後の最終評価前のそれぞれ1週間の平均値を採用した.

副次評価項目として座位行動時間,活動強度別の身体活動量,6分間歩行距離(6MWD),30秒椅子立ち上がりテスト,運動自己効力感,身体活動自己効力感,Lubben Social Network  Scale-6を初期評価,最終評価時に測定した.

2群の初期・最終評価の前後比較をWilcoxon Signed-rank Testで行い,効果量も求めた.初期・最終評価時の2群間の差をMann–Whitney U testで比較した.有意水準は5%未満とした.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結果 

プロトコルを完遂した者は生活活動群17名,運動群16名の33名(73.3%)であった.

身体活動量は前後比較において,生活活動群は有意に向上し(中央値10.8→14.3METs・時,p<0.05),効果量は0.51と高値であった.

運動群では有意差を認めず(中央値13.6→14.6METs・時,p≧0.05),効果量も0.12と低値であった.

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結論 

生活活動群は運動群と比較して,身体活動量が大きく向上することが示され,軽症脳梗塞患者の身体活動量向上のために生活活動指導が有効であることが示唆された

 

 

 

 

 

 

 

 感想 

脳梗塞軽症例にこういった指導を行うのは本当に有益だと思います.

軽症例だから何も介入することがないではなく,予防的な視点をもって理学療法士が関わることが重要ですね.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バランス能力の比較から見た靴下の選択~生活指導の検討~ 

 

 研究の目的 

リハビリテーションを提供する中で,裸足や靴での歩行練習を行うことが多く靴下着用下での歩行練習はほとんど行われていない現状である.

しかし患者の自宅での生活を聴取すると靴下を着用している事が多い.

実際に自宅での生活習慣として,靴下を着用している方が多数であると先行研究にて明らかになっているが,靴下による転倒,バランス能力に関する文献はほとんど見当たらない状況である.

そのため異なる靴下条件下でのバランス能力の変化を比較することで自宅退院の患者に対する生活指導の一つの指標に出来るのでは無いかと考え調査した.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の方法 

当院入院患者で脳血管疾患を呈した患者15名(年齢62.6±9.71歳,男8名,女7名)を対象とし,Brunnstrom stage(以下BRS)下肢Ⅳ~Ⅵ,高次脳機能障害がないMini Mental State Examination(以下MMSE)24点以上装具未使用リウマチ・パーキンソン病がない感覚障害がない移動形態が独歩または杖使用で見守り~自立の方とした.

評価場所を当院廊下(フローリング)に設定し,患者に裸足,滑り止め靴下,綿100%靴下(以下綿),冬用厚手靴下(以下厚手)を使用した.

評価項目はTimed up&Go Test(以下TUG)Functional reach test(以下FRT)10m歩行テストとし,順不同に行う事とした.

フリードマン検定および多重比較試験(Bonferroniの不等式)にて統計処理を行い,有意水準は1%未満とした.統計学的分析にはRコマンダーを使用した.

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結果 

TUGでは裸足14.73±7.10秒,綿15.65±7.29秒,滑り止め14.33±6.88秒,厚手16.11±7.71秒となった.このうち,裸足と厚手,綿と滑り止め,滑り止めと厚手の間に有意差が認められた(p<0.01).

FRTでは裸足22.47±6.19cm,綿19.27±5.02cm,滑り止め22.07±5.61cm,厚手19.13±5.10cmとなった.

このうち,有意差は認められなかった(p<0.01).

10m歩行テストでは裸足12.54±5.36秒,綿13.21±5.03秒,滑り止め11.56±4.34秒,厚手13.84±5.43秒となった.

このうち,綿と滑り止め,滑り止めと厚手の間に有意差が認められた(p<0.01).

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結論 

本研究において,TUG,10m歩行では滑り止め,FRTでは裸足が1番良い結果が得られた.

TUGや10m歩行テストのような床面と足底間で大きな摩擦が生じる動作では滑り止め靴下を履くことで転倒予防に有用だと示唆される.

その反面,FRTのような床面との摩擦が少ない動作では,異なる靴下間ではほとんど差は無いことが考えられる.

これらのことから,退院指導として自宅で靴下を履いて生活するのであれば,滑り止め靴下を推奨することが転倒予防に繋がると考えられる.

検定の限界として対象人数が少数であること,疾患別での変化,異なる床面での変化などが挙げられる.

今後の展望として対象人数や疾患の種類を増やす事や,評価場所をフローリングだけでは無く異なる床面での差を調べる必要があると考える.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 感想 

研究の視点が非常に面白いですね.

今回の結果から考えると,靴だけでなく靴下に関しても理学療法士の視点で指導を行うことが重要ですね.

 

 

今回はこの第6回日本予防理学療法士学会の一般演題の中から面白そうな研究をいくつかご紹介いたしました.

学会に参加される方は学会までに抄録をしっかり読み込んで参加したいですね.

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