運動の種類(個別 or 集団)と高齢者の身体的・精神的健康との関連性

介護予防
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 運動の種類(個別 or 集団)と高齢者の身体的・精神的健康との関連性 

理学療法士が介護予防事業へ積極的に参画するようになってから数年が経過しますが,最近の地域での理学療法士の関わり方の1つとして地域における通いの場の支援が挙げられます.

通いの場で高齢者が運動する意義については以前の記事でもご紹介いたしました.

 

体操で介護予防~なぜ介護予防に体操なのか?~
介護予防に向けて全国の多くの地域の通いの場で,様々な体操が行われております.理学療法士の視点からすると,特に音楽に合わせて運動するような体操では,正しく運動ができないのではといった思いを抱く方も多いと思いますし,DVDを流してしまえば終わってしまうような状況の中で,われわれ専門職としての理学療法士の役割は何なのかと私自身も考えたりしました.

 

通いの場で高齢者が運動に取り組む目的としては身体機能を向上させるといった面にとどまることなく,集団で取り組むといった点に大きな意義があります.

この研究では1人で運動に取り組む方法と他者と一緒に運動に取り組む方法といった運動方法の相違が身体活動・身体機能・精神的健康に与える影響を明らかにした報告をご紹介させていただきます.

 

 

 

 

 

 

 今回ご紹介する論文 

Med Sci Sports Exerc. 2019 Jun;51(6):1146-1153. doi: 10.1249/MSS.0000000000001884.

Exercise Arrangement Is Associated with Physical and Mental Health in Older Adults.

Seino S, Kitamura A, Tomine Y, Tanaka I, Nishi M, Taniguchi YU, Yokoyama Y, Amano H, Fujiwara Y, Shinkai S.

今回ご紹介する論文は2019年に報告された新しい論文です.

研究内容は本邦における調査報告です.

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 研究背景および研究目的 

Although exercising with others might have health benefits, no previous study has comprehensively examined associations of exercise arrangement with physical activity (PA), physical function (PF), and mental health (MH). We examined whether PA, PF, and MH are better when exercising with others than when exercising alone or not exercising.

以前から他者とともに運動に取り組むことが健康面で有益であると考えられてきましたが,個別・集団といった運動方法が身体活動・身体機能・精神的健康に与える影響は不明であります.

この研究では1人で運動に取り組む方法と他者と一緒に運動に取り組む方法といった運動方法の相違が身体活動量・身体機能・精神的健康に与える影響を明らかにすることを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 研究方法 

We analyzed cross-sectional data from 7759 (4007 men and 3752 women) nondisabled residents age 65 to 84 yr. PA, PF, and MH were assessed with the International Physical Activity Questionnaire-Short Form (PA sufficiency defined as ≥150 min·wk of moderate-to-vigorous PA), Motor Fitness Scale (higher PF defined as total score ≥12 in men and ≥10 in women), and World Health Organization-Five Well-Being Index (better MH defined as a total score ≥13), respectively. Exercise arrangement was classified as “nonexerciser,” “exercising alone,” and “exercising with others.” Using multilevel logistic regression analyses, we examined independent associations of exercise arrangement with PA, PF, and MH.

対象は65~84歳の障害の無い高齢者7.759例となっております.

身体活動量・身体機能・精神的健康については,それぞれIPAQ,Motor Fitness scale,World Health Organization-Five Well-Being Indexを用いて評価を行っております.

運動方法ですが,運動非実施軍,1人で運動を行う群,他者と運動を行う群の3群に分類しております.

多重ロジスティック回帰分析を用いてこれらの運動方法と身体活動量,身体機能,精神的健康との関連性を調査しております.

 

 

 

 

 

 

 研究結果 

Compared with exercising alone, the multivariate-adjusted odds ratios (95% confidence interval) among nonexercisers and those exercising with others were 0.21 (0.17-0.25) and 1.32 (1.04-1.67), respectively, for PA sufficiency, 0.47 (0.40-0.57) and 1.12 (0.94-1.34) for higher PF, and 0.69 (0.58-0.82) and 1.45 (1.17-1.79) for better MH, respectively, in men. In women, the corresponding odds ratios were 0.37 (0.30-0.46) and 1.31 (1.01-1.70) for PA sufficiency, 0.66 (0.54-0.80) and 1.08 (0.88-1.32) for higher PF, and 0.70 (0.58-0.85) and 1.27 (1.03-1.56) for better MH, respectively.

男性においては1人で運動に取り組む方法に比較して,運動を行わない群で有意に身体活動量が低く,他者と運動を行う群で有意に身体活動量が高い結果となっております.

また男性においては1人で運動に取り組む方法に比較して,運動を行わない群で有意に身体機能が低く,他者と運動を行う群で有意に身体機能が高い結果となっております.

女性においても1人で運動に取り組む方法に比較して,運動を行わない群で有意に身体活動量が低く,他者と運動を行う群で有意に身体活動量が高い結果となっております.

また女性においても1人で運動に取り組む方法に比較して,運動を行わない群で有意に身体機能が低く,他者と運動を行う群で有意に身体機能が高い結果となっております.

さらに女性においては1人で運動に取り組む方法に比較して,運動を行わない群で有意に精神的健康が低く,他者と運動を行う群で有意に精神的健康が高い結果となっております.

 

 

 

 

 

 

 この研究の結論 

Exercising alone and with others were better than no exercise for maintaining better PA, PF, and MH in both sexes. Although exercise arrangement had little effect on maintaining PF, exercising with others appears to enhance PA levels and MH in both sexes.

 

1人で運動に取り組む,または他者と運動に取り組む方法は運動をおこわ無い方法に比較して身体活動量,身体機能,精神的健康の維持に有益であると考えられます.

1人で運動に取り組むよりも,他者と運動に取り組むといった運動方法の方が身体機能に与える影響は小さいものの,身体活動量や精神的健康を向上させる上で有益であると考えられます.

 

 

今回は1人で運動に取り組む方法と他者と一緒に運動に取り組む方法といった運動方法の相違が身体活動・身体機能・精神的健康に与える影響を明らかにした報告をご紹介させていただきました.

地域の通いの場でわれわれ理学療法士が通いの場で運動に取り組む意義を説明する際に役立ちそうなデータですね.

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