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コストパフォーマンスから理学療法士・作業療法士を考える
理学療法士・作業療法士の収入に関してはこのブログの中でも何度か取り上げさせていただきました.
理学療法士・作業療法士国家資格を有するために必要な学費と,理学療法士・作業療法士の給与を照らし合わせて考えると割に合わないと考える人は少なくないでしょう.
また少ない給与の割に自己研鑽に要する費用が高額であり,この点も理学療法士・作業療法士のコストパフォーマンスを考える上で重要となります.
今回はコストパフォーマンスの視点で理学療法士・作業療法士について考えてみたいと思います.
理学療法士・作業療法士国家資格取得に必要な費用
まずは理学療法士・作業療法士の学費ですが,私が調査した範囲ではおおよそ以下のようなところだと思います.
- 国公立大学:250万円程度
- 私立大学:600~800万円程度
- 4年制専門学校:500~700万円程度
- 3年制専門学校:400~500万円程度
こんな感じです.
国公立大学の学費の安さが目立ちますが,その分,偏差値が高く定員も限られているのが実情です.
学費に加えて必要になるのが,書籍等の学習教材,実習費,交通費などです.
場合にもよりますがこれらで年間数十万円が必要となります.
また一人暮らしをするとなると,下宿代,食費,光熱費,交通費も必要となります.
このように医療系以外の専門学校や大学より学費が高いのが特徴で,実習関連の費用がかかるといった点も理学療法士・作業療法士の特徴だと思います.
そのため奨学金を借りている理学療法士・作業療法士の学生も少なくないのが実際だと思います.
私立大学においては800万円近くのお金が必要となりますが,はたしてこの大金を理学療法士・作業療法士になって何年で返金できるのでしょうか?
理学療法士・作業療法士の収入
一方で理学療法士・作業療法士の収入はどうでしょうか?
理学療法士・作業療法士の収入については経験年数に依存するところが大きいですが,経験年数別にみると以下のような状況です.
経験年数 | 年収 |
1~5年 | 350万円 |
6~10年 | 400万円 |
11~15年 | 450万円 |
16年以上 | 500万円 |
このような状況です.
この計算で行くと学費を取り戻すためには2~3年を要します.
これを他職種と比較してみると,医師の場合には学費が3,000万円,収入が1,000万円であり,看護師の場合には学費が600万円,収入が500万円程度,臨床検査技師の場合には学費が600万円,収入が500万円程度,放射線技師の場合には,学費が600万円,収入が500万円程度であります.
こういったデータを見てみると,理学療法士・作業療法士のコストパフォーマンスの悪さが分かります.
理学療法士・作業療法士としての支出
理学療法士・作業療法士になってからも支出が多いのがもう1つの問題です.
特に若いうちは自己研鑽のためにセミナーや研修会に参加することが多いわけですが,1日当たり10,000円の費用が必要です.
また書籍を購入して知識や技術を身につけようというのも自己研鑽の1つですが,書籍を購入すると1冊5,000円前後の費用が必要となります.
少ない収入の中から,研鑽のために月に数万円を支払っているといった理学療法士・作業療法士も多いと思います.
さらには日本理学療法士協会・日本作業療法士協会に入会している場合には,会費が20,000円程度必要です(所属する都道府県士会によっても異なります).
このように国家資格を取得してからも支出が多いのが理学療法士・作業療法士なのです.
今回はコストパフォーマンスの視点で理学療法士・作業療法士について考えてみました.
世間的には高収入と思われていることが多いのですが,どう考えても現状ではコストパフォーマンスが高い仕事だとは言えません.
現状からすると今後,本業の給与収入が著しく増えることは考えにくいので,何かしらの形で収入を増やすための努力が必要ですね.
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