2020年度の診療報酬改定で回復期リハビリ病棟はどう変わる?

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 2020年度の診療報酬改定で回復期リハビリ病棟はどう変わる? 

2019年7月25日に診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」が開催されました.

この中で回復期リハビリテーション病棟の運用に関する調査報告がなされました.

この報告をもとに次回の2020年度の診療報酬改定が行われるわけですので,複数回行われる分科会の内容に理学療法士も注目しておくことが重要です.

今回は2020年度の診療報酬改定で回復期リハビリテーション病棟がどうかわるのかを,理学療法士の視点で考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 回復期リハビリ病棟の実績要件 

回復期リハビリ病棟に関しては2018年度の診療報酬改定で,施設基準の大幅な変更が行われました.

当初,多くの回復期リハビリテーション病棟が運用に苦慮するであろうと予測されておりましたが,結果はどうであったでしょうか?

主に「リハビリテーション実績指数」(リハビリの効果に着目したアウトカム指標)に着目して,報酬が細分化されました(従前の入院料1-3をリハビリテーション実績指数の要件を課した新入院料1・3・5に,要件を課さない新入院料2・4・6に細分化).

また入院料の報酬改革の一環として,重症者(日常生活機能評価10点以上)割合,重症者における退院時の日常生活機能評価(改善度合いを見る),自宅復帰率,リハビリテーション実績指数を実績評価部分とし,入院料1-4(リハビリテーション実績指数要件を加えれば入院料5も)において実績評価を要件となりました.

さらに入院料1については「管理栄養士」配置を努力義務とし,「リハビリ計画書への栄養項目記載」が義務化されました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 2018年度改定の効果・影響に関する調査 重症者割合・実績指数 

重症者割合は入院料1・2(3割以上が必要)では基準値の30%以上を,入院料3・4(2割以上が必要)では基準値の20%以上を概ねクリアできている状況です.

また重症者における退院時の日常生活機能評価については,入院料1・2(3割以上の患者で4点以上の改善が必要)および入院料3・4(3割以上の患者で3点以上の改善が必要)ともに基準値を大きくクリアできているといった結果でした.

改訂が発表された当初はハードルが高いと考えられたこれらの要件ですが,多くの病院が大幅にクリアしている状況です.

いろいろな抜け道やマジックがあるのも事実ですが,ハードルを越えるために努力している医療機関が多いと考えられる結果だと思います.

 

 

 

 

 

 

 

入院医療分科会(3)3 190725

 

 

 

 

リハビリテーション実績指数についても,入院料1(37以上が必要)・入院料3(30以上が必要)・入院料5(30以上が必要)のいずれでも基準値をクリアするとともに,要件化されていない入院料2(2018年度は32.5)・入院料4(同31.1)・入院料6(同20.1)で相当程度高い実績となっております.

これも受け入れ患者の選択や,除外患者の設定でかなり変化が大きいようですが,2017年度から18年度にかけていずれも向上している状況です.

 

 

 

 

 

入院医療分科会(2)3 190607

管理栄養士配置については、努力義務が課されている入院料1では82%,努力義務すらない入院料でも相当程度配置されております(30.0%から50.0%).

リハビリテーション栄養の概念が普及した1つの結果だと思いますが,栄養面は実績指数にも影響を及ぼすものだと考えれば管理栄養士の配置は必須でしょうね.

管理栄養士の配置はかなり進んでおりますので,2020年度の診療報酬改定では,入院料1では努力義務が義務へ,他の入院料でも努力義務を課すことが今後検討されるでしょう.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 介護サービス受給までの繋ぎ 

今回の調査では回復期リハビリテーション病棟から退院した後の利用の状況に関しても協議が行われております.

言うまでもなく退院後のフォローは回復期リハビリテーション病棟の役割の1つです.

回復期リハビリ病棟を退院した日から起算して3か月以内の患者(在棟中に回復期リハビリ病棟入院料を算定した患者のみ,医療機関に入院中の患者・介護老人保健施設に入所中の患者を除く)」については,疾患別リハビリ料の算定上限の対象外とするなどの見直しが行われています.

実際に回復期リハビリテーション病棟退院後にも継続的なリハビリが必要な患者は,地域包括ケア病棟では3割,回復期リハビリ病棟では6割にのぼり,実際に「退棟後1週間以内にリハビリを実施している」患者の割合は,地域包括ケア病棟・回復期リハビリ病棟ともに約5割に達しています.

 

 

 

 

入院医療分科会(3)4 190725

また退棟後に実施される医療・介護サービスとしては,外来診療を除けば通所リハビリ・通所介護・福祉用具貸与などの公的介護保険サービスが多い状況となっております.
入院医療分科会(3)5 190725

 

 

 

 

 

こうしたデータを踏まえて,今回の分科会では回復期リハビリ病棟と在宅介護サービスとの繋ぎを強化する必要があることが指摘されております.

退院後に病棟のリハビリ専門職が患者宅を訪問して,一定のリハビリ提供や指導を行うことなどをもう少し強化すべきではないかといった提案がなされております.

以前から退院後訪問の有効性はさまざまな報告がなされておりますが,診療報酬上もこういった退院後フォローに関して評価がなされる方向で話が進むでしょうね.

 

理学療法士・作業療法士が多く働く回復期リハビリテーション病棟はかなり縮小される? 
回復期リハビリテーション病棟が完全になくなるというのは言い過ぎかもしれませんが,回復期リハビリテーション病棟の需要が減少することには間違いありません. そうなると当然ながら回復期リハビリテーション病棟へ勤務する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は職を失うことにもなりかねません. 余計なお世話かもしれませんが,これを機会にご自身の身の振り方を考えてみてはいかがでしょうか?

今回は2020年度の診療報酬改定で回復期リハビリテーション病棟がどうかわるのかを,理学療法士の視点で考えてみました.

今回は重症者割合・実績指数・管理栄養士配置・退院後フォローに関して協議が行われております.

いずれも理学療法士・作業療法士も関わりが大きい部分だと思いますので,今後の情報から目が離せませんね.

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