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最近よく聞くノルディックウォーキングって?
健康志向の高まりにより私自身も通勤の際にウォーキングをしている方が見かけることが多くなってきました.
最近ではノルディックポールを持った方も多いですね.
なんとなくノルディックポールを使ったウォーキング,ノルディックウォーキングの有効性をご存じの方も多いと思いますが,今回はノルディックウォーキングについて理学療法士の視点で考えてみたいと思います.
ノルディックウォーキングとは?
町を歩いていると両手にスキーで使用するストックのような杖を持ってウォーキングをしている方を見かけたことはないでしょうか?
また理学療法の対象者が受傷前にノルディックポールを使用して運動をしていたなんて話を聞くことも多いと思います.
ノルディックウォーキングの特徴はスキーのストックのような杖を持ってウォーキングを行うといった点だと思います.
このスキーのストックのような杖がノルディックポールと呼ばれるものです.
最近はホームセンターなんかでもノルディックポールを販売しているところが増えてきましたね.
冬季オリンピック競技の中に,雪が積もった野原をスキー板とストックを使って速さを競うクロスカントリーという競技あります.
このクロスカントリーの選手が夏の間の体力維持・強化を目的として,ストックと靴で積雪のない山野を歩き回ったのが,このノルディックウォーキングのはじまりと言われております.
1996年にフィンランドにてポールを用いたウォーキングが実施されたのをきっかけに,現在では広く世界中で健康づくり運動として普及しております.
日本で言うと複合競技の荻原兄弟を思い出しますね.
ノルディックウォーキングって何がいいの?
実はこのノルディックウォーキングには,通常のウォーキングに比べてより大きな運動効果があることが明らかにされております.
①支持基底面が広がり転倒しにくくなる
まず1つ目の効果として2本杖+2本足の4点支持となりますので歩行が安定し,転倒しにくくなる効果が挙げられます.
せっかく健康になろうと思ってウォーキングを行っていても転倒してしまっては元も子もありません.
ただ「杖」というと使った方がよいと分かっていても,「年寄りくさい」などととかく敬遠されがちです.
ただノルディックポールはスポーツ用品感覚で外観を気にせず使用できるといった点も優れたところです.
60代・70代と比較的若い方にも導入しやすいといった点もノルディックポールの良いところだと思います.
②姿勢・歩容が改善する
また2つ目の効果として姿勢の改善効果が挙げられます.
高齢になると胸腰椎が屈曲した姿勢になりやすいわけですが,ノルディックポールを使用することで体幹を伸展した状態で歩行することが可能となるわけです.
胸腰椎が屈曲し骨盤が後傾した姿勢では股関節・膝関節も屈曲位になってしまいます.
膝関節が屈曲位になると初期接地期に足関節背屈位でコンタクトすることが難しくなってしまいます.
いわゆるすり足になってしまうわけです.
こうなると当然ながらfoot clearanceが低くなってしまいますのでつまづいて転倒しやすくなってしまいます.
ノルディックポールを使用して,体幹が伸展し骨盤をuprightに保つことが可能となれば股関節・膝関節も伸展しますので,初期接地期に膝関節が伸展し踵接地が行いやすくなります.
つまりノルディックポールを使用して正しい姿勢でウォーキングを行えば,転倒しにくくなるわけです.
さらに変形性関節症を合併されている場合には,Duchenne徴候・Trendelenburg徴候といった跛行が出現しやすくなります.
ノルディックポールを使用すると関節への負担を軽くできるとともに,側方への揺れを軽減することにもつながります.
③ダイエット(減量)効果が高くなる
3つ目の効果としてダイエット効果が挙げられます.
ノルディックウォーキングは普通のウォーキングと比べて上半身の回旋運動が大きいため,通常のウォーキングの約1.4倍のエネルギーを消費できると言われております.
通常のウォーキングを1時間行った場合には,体重・年齢・性別によって違いがありますがおおよそ約280kcalを消費できます.
一方でノルディックウォーキングではその1.4倍の約400kcalを消費できる計算となります.
ノルディックウォーキングの効果
ノルディックウォーキングの効果を検討した方向も最近は非常に増えてきております.
ルディックウォーキングおよびウォーキングが時空的歩行パラメータと床反力に及ぼす影響について若年成人男性を対象として検討した報告によると,ノルディックウォーキング群15例とウォーキング群15例を比較した結果,ウォーキング群と比べノルディックウォーキング群では,歩調・ストライド長・ステップ長が増加し,ストライド時間・ステップ時間・垂直床反力が減少したと報告されております.
今回はノルディックウォーキングについて理学療法士の視点で考えてみました.
実はノルディックウォーキングには2つの歩行パターンによる方法があり,この方法の違いによっても得られることかが異なることが明らかにされております.
また近いうちに歩行パターンの相違による効果の違いについても検討したいと思います.
1)Park Seung Kyu,Yang Dae Jung,et al:ノルディックウォーキングおよびウォーキングが時空的歩行パラメータと床反力に及ぼす影響.Journal of Physical Therapy Science 27:2891-2893,2015
2)Hagner-Derengowska Magdalena, et al:過体重および肥満の閉経後女性の血中脂質に対する10週間のノルディックウォーキングトレーニング・リハビリテーションプログラムの影響.Journal of Physical Therapy Science27:3039-3044,2015
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