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理学療法士が考える効果的なダイエット(減量)のためのコツ
ダイエットに効果的な万歩計使用のコツ
最近はスマートフォンに活動量計が内蔵されものも増えておりますので,日々の活動量を確認しながらダイエット(減量)に励まれている方も少なくないと思います.
理学療法士・作業療法士も万歩計をはじめとする活動量計の使い方に関してクライアントに指導する機会は少なくありませ.
今回は理学療法士の視点でダイエット(減量)に効果的な万歩計の使い方について考えてみたいと思います.
日本人の歩数は?
厚生労働省が提示している日本人の目標歩数は8,000~10,000歩とされております.
少し古いデータですが,これは平成16年の国民健康栄養基礎調査から作成した年齢別の歩数です.
このグラフを見ると8000歩~10000歩というのはなかなか高い目標であることが分かると思います.
歩数計を使うと何がいいのか?
歩数計は英語でpedometerと呼ばれますが,Pubmedでpedometerと検索するとかなり多くの文献がヒットします.
歩数計に関しては非常に古くから研究が行われており,Systematic ReviewやMeta-Analysisも多く報告されております.
今回はこの中でも大規模なSystematic Reviewをご紹介させていただきます.
このReviewでは歩数計に関する2767人のデータを含む26研究(1966~2007)がReviewされております.
このReviewによると,同一対象者の歩数計使用前後での比較を行った観察研究18編の結果,1日当たりの歩数が2,183歩( 95% 信頼区間:1571-2796 歩)増加したと報告されております.
歩数計使用・非使用対象者間で比較を行った無作為化比較試験8研究の結果,歩数計使用者は非使用者に比較し,1日当たりの歩数が2,491歩( 95% 信頼区間:1098-3885 歩)多く,身体活動の増加が認められたと報告されております.
さらに歩数計使用者では平均3.8 mmHgの収縮期血圧低下が認められ,歩数計使用者ではBMIが0.4%低下したと報告されております.
よく毎日体重計にのるだけで体重が減少するという体重計ダイエットというのが紹介されますが,やはり歩数に関しても毎日セルフモニタリングしていくことで歩数がつまり身体活動量増加し,これにともなって降圧・減量効果といった2次的な効果が得られるということが明らかにされているわけです.
歩数計の使い方が間違っていませんか?
歩数計の使用方法についても注意が必要です.
歩数計は日常生活のなかの運動量を知るために非常に有用なツールです.
重要なのはウォーキング等の運動以外の際にも入浴以外の起床時から就寝までの間,欠かさずに装着することが重要です.
また平日だけでなく祝祭日も装着することが重要です.
また歩数と消費エネルギー量の関係を知っておくことが重要です.
平均的な歩行速度で10分間歩行すれば約1,000歩歩くことができます.
また1,000歩の歩行はおおよそ50kcalに相当します.
こういった情報を知っておくと今日は運動でおおよそどのくらいのカロリーを消費できたかを意識することができます.
消費エネルギー量を意識できるようになると,食事摂取の習慣にも変化が出ますので,どのくらいのエネルギーを消費できたのかを意識してもらうことは非常に重要です.
歩数計を使用して活動量を増やす際の指導のポイント
歩数計の使い方について紹介させていただきましたが,歩数計を使った指導の方法というのも重要となります.
まず歩数の目標値ですが,それまでの生活における歩数+1000~2000歩から設定します.
8,000~10,000歩というのはあくまで最終目標です.
いきなり高い目標を設定してしまっては挫折してしまうのは誰が考えても想像がつくでしょう.
開始初月は,毎日歩数を計測することを目標とするとよいでしょう
また目標に達しなかった場合には,「言い訳欄」に達しなかった原因を記入するといった方法も有効です.
1日の歩数がなぜ目標に達しなかったかを日々記入していくわけです.
こうすると理学療法士が指導する際には,どういった原因で目標を達成できないことが多いのかがわかります.
そうすると目標を達成するためにどういった対策を行っていくべきかをクライアントとともに考えることができます.
今回は理学療法士の視点でダイエット(減量)に効果的な万歩計の使い方について考えてみました.
たかが万歩計ですがされど万歩計です.
最近はさまざまな活動量計も出てますのでダイエット(減量)に活かせると良いですね.
参考文献
1)Bravata DM , et al:Using pedometers to increase physical activity and improve health: a systematic review.JAMA298: 2296-304. 2007
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