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体重を1kg減らすにはどのくらい運動をすればいいの?
理学療法士がクライアントの減量にかかわる機会は少なくないと思います.
またクライアントや知人からダイエットの相談を受ける機会もあると思います.
しかしながら意外とわれわれ理学療法士って減量のことって養成課程で学んでない気がします.
今回は体重を1kg減らすのにどのくらい運動すればよいのかについて考えてみたいと思います.
脂質は敵?
ダイエットといえば脂質を減らさないとって皆さん考えると思います.
脂質というと悪いイメージばかりが先行するかもしれませんが,脂質は体脂肪を構成する他に,関節の潤滑油,もしくは細胞壁を形成する栄養素ですので,欠乏すると関節痛や肌荒れを引き起こす原因にもなります.
また脂質は体内のホルモンと深く関わっていたり,体脂肪の分解を促進する働きがあるので,脂質だからと忌み嫌わず,適切な脂質を適切な量摂取する必要があります.
青魚の脂質やオリーブオイルなど良質な脂質は身体にとって必要なわけです.
脂質1gを燃焼させるには?
ただ当然ながら過度な脂質は燃焼する必要があります.
通常,脂質を1g燃焼するには9kcalのエネルギー量を消費する必要があります.
したがって体重を1kg減らすには,9000kcalのエネルギーを消費する必要があるわけです.
単純計算で元々,摂取エネルギー量と消費エネルギー量のバランスが取れている状況であれば,プラスアルファとして1日に運動で300kcalを消費することができれば,1ヶ月(30日)で9000kcalの脂質を燃焼でき,1kgの減量に成功することができるわけです.
1日300kcalを消費するには?
理学療法士や作業療法士であれば職場の自転車エルゴメータ―を駆動してみたことがあるかもしれませんが,300kcalを消費するのって結構大変です.
例えば体重60kgの人が60Wの運動負荷で1時間続けて自転車エルゴメータ―を駆動すると何とか300kcalを消費できる計算です.
1時間駆動ってそうとうきついですし,生活の中に1時間の運動時間を組み込むのってかなり難しいと思います.
こう考えると運動だけで1か月に3kgも5kgも減量しようというのは無謀だということに気づくことができるはずです.
やっぱりダイエットに食事療法は欠かせないことを再認識できると思います.
摂取量を減らす方が理論的にはかなり減量に有利なわけです.
やせやすい体を作るには?
やせやすい体づくりという言葉を耳にすることがあると思います.
確かに世の中には痩せにくい人と痩せやすい人がいるのも事実です.
何が違うのでしょうか?
実は基礎代謝の違いが大きいのです.
基礎代謝というのは,私たちのカラダを動かす基本的なエネルギーのことです.
基礎代謝というのは,生きていくために最低限必要な生命活動,つまり内臓を動かしたり体温を維持するなどに使われるエネルギーのことです.
基礎代謝が高い人というのは運動をしなくてもぼーっと生きてるだけでもより多くのエネルギーを消費できるわけです.
1日の総消費エネルギー=基礎代謝(約70%)+生活活動代謝(約30%)ですから,基礎代謝を上げるというのは減量を考える上では最も効率が良いわけです.
基礎代謝の中で最もエネルギー消費が多いのは筋肉です.
筋肉を鍛えて筋肉量を増やすことで基礎代謝量が増え太りにくく痩せやすいカラダになるわけです.
逆に筋肉が少なく脂肪が多いと基礎代謝量が少ないので痩せにくいカラダになります.
基礎代謝を増やすためには腹筋群・背筋群・大殿筋・大腿四頭筋・大胸筋といった大きい筋肉を強化するのが効率的です.
年齢別基礎代謝量
年齢 | 基礎代謝量 | 基礎代謝量 |
男 | 女 | |
18~29才 | 1,550 | 1,210 |
30~49才 | 1,500 | 1,170 |
50~69才 | 1,350 | 1,110 |
70才以上 | 1,220 | 1,010 |
基礎代謝は年齢や性別によっても違いますが,この基礎代謝を増やしてぼーっとしているだけでも消費できるエネルギー量を増やすことができれば,1日300kcalのマイナスを作りやすくなるわけです.
今回は体重を1kg減らすにはどのくらい運動をすればいいかについて理学療法士の視点で考えてみました.
私がクライアントにいつも言うのはダイエットの主役は運動ではないということです.
食事療法あっての運動療法だということです.
せっかく30分自転車こいでもポテトチップス一袋食べればすぐに逆転されてしまいます.
ちまたには○○ダイエットなるものが多くありますが,まずは理学療法士として今回のような知識をきちんと整理することが重要だと思います.
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