地域ケア会議における理学療法士・作業療法士の役割

介護予防
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目次

 地域ケア会議とは? 

地域ケア会議は地域包括ケアシステムを構築していくプロセスの1つの手段です.

地域包括ケアシステムは1つのマニュアルによって完成するものではなく,地域のそれぞれの情勢に合わせたシステムの構築が重要となります.

そのため,それぞれの地域に精通した人々の集まりが必要であり,また様々な視点からの意見や情報提供が必要となります.

それらを踏まえて設定された検討の場が,地域ケア会議です.

具体的には、地域全体で支援が必要と思われる事例を担当ケアマネジャーから提供してもらい,多職種(地域包括支援センター職員・介護支援専門員・行政職員・介護事業者・医師・看護師・リハビリテーション専門職・社会福祉士・民生員・自治会の代表者等々)で話し合う場を設け,問題解決にあたります.

単なる事例検討やケアマネジメント支援に留まるのではなく,そこから浮かんでくる地域課題の把握に繋げ,それらを解決するためにはどのような地域資源が必要なのかを検討していくことが地域ケア会議には求められます.

つまり個別事例の検討というミクロの視点と,地域全体をどのようにしていくかというマクロの視点での検討を繋いでいく役割が地域ケア会議には求められます.

 

 

 

 個別地域ケア会議 

個別事例を扱った地域ケア会議においてはどのような事例が多いのでしょうか?

こういった多い事例を把握しておくことはリハビリテーション専門職として地域ケア会議に参加する理学療法士・作業療法士にとっても重要であると考えられます.

よくあるのは以下のような事例です.

 

①徘徊が問題となっている認知症高齢者の事例

②老々介護により介護者が疲弊している事例

③制度やサービスを拒否される独居高齢者の事例

④ごみ屋敷等,周辺住民との関係性が悪い事例

⑤家族による虐待が問題となっている事例

⑥精神疾患の影響で家族の生活が不安定な事例

⑦がん末期の在宅ケア体制を検討する事例

 

例を挙げればきりがありませんが,多いのは以上のようなケース,つまり在宅ケアマネが非常に難渋している事例です.

 

 

 

 理学療法士・作業療法士としてどのような関わりをもつか? 

皆様であれば,上記のような事例に対して理学療法士・作業療法士として地域ケア会議に召集されたらどのような関わりを持ちますか?

理学療法士・作業療法士の参加により会議の質をさらに高めることは可能でしょうか?

地域ケア会議では「直接サービス提供に当たらない専門職種も参加」とされており,つまり関わった事のない事例であったとしても,その場に召集されリハビリテーション専門職として意見を求められることになります.

前述した①~⑦の具体例においても疾患への対応,住環境の調整,介護の方法,直接的なリハビリテーションの実施計画などを提案することが可能なケースはあると思われます.

しかし個人として提案できることには限界があるため,その地域のリハビリテーション資源に精通したリハビリテーション専門職の代表者としてサービスの紹介,受診医療機関の提案なども行えるよう常日頃から地域の情報を把握・整理しておくことが地域ケア会議出席者には特に必要だと思います.

全くリハ資源が無い地域であれば,代替案を提案するとともに,地域にリハ資源が不足していることを地域課題として主張することも必要です.

 

 

 

 地域ケア会議における理学療法士・作業療法士の視点 

地域ケア会議では,ICFでいうところの参加・活動レベルの視点を持つことが重要です.

われわれリハビリテーション専門職は疾病や機能に視点が行きがちですが,生活者の視点で個人因子や環境因子も含めて事例の生活全般を考える必要があります.

 

 

 

今回は地域ケア会議における理学療法士・作業療法士の役割について考えてみました.

各地域で自立支援型の個別ケア会議が開催されるようになってきておりますが,われわれリハビリテーション専門職の必要性を理解していただくためにも,個々の理学療法士・作業療法士がケア会議できちんとした結果を残すことが重要だと思います.

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