理学療法・作業療法で「よくなる」ってどういうこと? 

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 「よくなる」ってどういうこと? 

理学療法士・作業療法士であればクライアントから「よくなりました」なんて言われると嬉しいですよね.

一方でわれわれが「よくなった」と感じていても,クライアントは変化を実感していないこともあれば,クライアントが「よくなった」と感じていても,理学療法士・作業療法士が「まだもう少し」なんてことも少なくないと思います.

このように理学療法士・作業療法士とクライアントの間の「よくなる」には乖離がある場合が少なくありません.

今回は,「よくなる」というのはどういうことなのかを考えてみたいと思います.

 

 

 

 「よくなる」という言葉の意味 

「よくなる」という言葉にはいくつかの異なる次元の価値が混在しており,日常の臨床で使われる場合には少なくとも次の3つの要素が含まれていると考えられます.

よくなると判断する要素には,①機能・能力が改善する(機能・能力の改善),②予想したよりも好ましい経過や結果が得られる(予想に対する到達度),③介入に満足する(主観的満足感)の要素が関連します.

 

①の機能・能力の改善というのは客観的・定量的に表現しやすいので,理学療法士・作業療法士はもちろんですが,対象者が客観的に理解しやすいといった特徴があります.

また現代医療においては,科学的根拠に基づく医療evidence based Medicine(EBM)が推進されており,適切な評価指標による介入の選択と効果判定が求められます.

理学療法や作業療法においても根拠に基づく介入の実践EBPTやEBOTが不可欠となります.

 

②の予想に対する到達度は相対評価となりますので,客観的に示しにくい部分があります.

予想には,根拠や過去の経験に基づく予測や推測による客観的な部分と,期待や想像による主観的な部分とが包含されます.

前者は,効果判定として客観的な比較が可能であり,セラピストと対象者が結果を共有することが容易ですが,一方,後者は対象者の先入観や価値にも影響されるために,両者の到達度に対する評価が極端に異なる可能性があります.

また,仮に経過が同じであっても,対象者ごとに判断が異なり,セラピスト間でも評価が分かれる場合も少なくありません.

また,たとえ同じ症状であっても疾病の性質によって,急性発症した回復型の疾患と慢性進行性疾患では対象者の予想は変わる可能性があります.

このことは,対象者が疾病の性質を正しく理解することによって,適切な予測や期待を促すことができることを意味します.

 

③の主観的満足度は,介入に対する満足感で,一つの要素であるが結論に大きな影響を与えます.

最終的な判断は①の機能・能力の改善や,②の予想に対する到達度を踏まえて決定されますが,それ以外の感情的な要因を軽視できません.

理学療法士・作業療法士の姿勢や態度,家族や周囲の人間関係,社会の受け入れなども影響を与えます.

理学療法士・作業療法士と対象者の各主観的満足感は一致することが望ましいわけですが,乖離する場合もあります.

 

 

 

 

 「よくなった」とどう判断するのか? 

「よくなった」と判断する対象は,①疾病そのもの,②個々の症状,③活動の範囲や水準,④印象や気分,⑤対象者の価値観など多岐にわたります.

疾病の帰結は,完全治癒,緩解または軽快(不完全治癒),不変,悪化,死亡に大別できます.

症状の場合には,改善,軽快,不変,悪化などの区分がなされます.

また機能レベルに変化がみられなくても動作が楽になります,

活動量が増えたということでよくなったと判断する場合もあります.

理学療法では障害の階層性から,よくなる対象が多次元に存在します.

そのため障害構造を明確にしたうえで,どの次元の話をしているのかを明らかにしておく必要があります.

こう考えるとさまざまな段階でよくなる可能性を秘めている一方で,最終的な判断をどの次元で行うのかによって評価が随分と変わってくる危険をはらんでいます.

こういった次元の相違によって理学療法士・作業療法士とクライアントとの間で「よくなった」といった認識に乖離が生まれることになります.

 

 

 

 介入を行った際の効果判定の必要条件 

介入の効果は,あくまでもそれをしなかった(あるいは別の介入をした)場合との相対・比較で行うこととなります.

そのため,種々の疾患や病態における経過を正確に整理して比較の対照とする必要があります.

すなわち,自然経過,標準経過(標準的な介入を受けた時の経過)の資料が不可欠となります.

よって疾患の性質が回復型,進行型,反復型のいずれであるのか,またその速度はどの程度であるのかは大規模な疫学調査による基準化が必要となります.

その際,個々の症状のみならず,日常生活の自立度(介助量)生活範囲なども重要な指標として検討されるべきです.

生命予後や個々の症状については医学的な調査結果が比較的集積されておりますが,動作・活動・介助の点からみた自然(標準)経過は現在まで必ずしも明確とは言えません.

なお,対照(値))を得る目的のみで,現在一般的に支持されている介入を全く行わない研究調査は,倫理に抵触する可能性があるので,そういった面から考えると基準化を行うこと自体にも難しさがあります.

上記を踏まえて,何を指標として効果を判定するのかが最も重要な論点となります.

効果判定に用いられる指標は,①対象者とセラピストが同一の指標を用いている,②介入目標への到達度を示す総合効果をとらえることができる,③介入に対する直接効果を最も反映できる,④介入に対する間接および波及的な効果を検証できる,⑤信頼性が高く,視覚的・客観的に表示できる,などの条件が挙げられます.

①は前提としての条件であり,②は一致した目標による総合効果を示す指標でなくては意味がありません.

③は介入の標的に対する刺激の量が十分であるのかを検証することになり,セラピストにとって介入効果を知る基本的な指標となります.

④は,治療・練習の効率や効果を検証する意味で中核的な意味をもりますがが,因果の検証を含めた解釈は慎重に行う必要があります.

⑤は計測の基本であり具体的な要件は成書

に詳述されております.

 

 

 

 

 さいごに 

われわれわ理学療法士・作業療法士は“よくなる”ことの意味と構造(対象・性質)を理解し,よくなったと判断する客観的主観的な側面を含めた総体に働きかけることが重要となります.

そのため理学療法士・作業療法士とクライアントが具体的な目標を共有したうえで,適切な機能帰結による効果判定を行う必要があります.

よくなるための支援では,自然(標準)経過と比較した科学的根拠に墓づく介入を実践し,個々の対象に応じた暖かみのある個別性の高いかかわりを目指す必要があります.

 

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