足関節底屈可動域の重要性

足関節周囲外傷
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足関節底屈可動域の重要性

足関節の可動域といえば足関節背屈可動域を測定することは多いわけですが,私の個人的な印象としては足関節底屈可動域というのは軽視されがちな印象があります.

足関節底屈可動域がなぜ必要かと問われると,まず思い浮かぶのが正座の動作に必要であるとか,サッカーのインステップキック動作に必要とかそういったところがまず頭に思い浮かぶと思いますが,実はこの他にも底屈可動域には重要な役割があります.

今回は理学療法士の視点で足関節底屈可動域の重要性について考えていみたいと思います.

 

 

 

歩行・走行・跳躍動作と足関節底屈可動域

荷重動作時に足部に求められる身体の推進という役割において,正常な足関節底屈可動性の獲得は非常に重要な要素となります.

正常歩行において足関節に求められる底屈可動域は約20°とされます.

より前方や上方への推進力を必要とするランニングやジャンプ動作では,さらに大きな足関節底屈運動が要求されます.

また推進力を生み出すためには十分な足関節底屈筋力が必要となりますが,筋力発揮の観点からも正常な可動性の獲得は重要となります.

足関節底屈可動性制限を有する状態での動作の繰り返しは,足趾屈筋群の過剰収縮に伴う足趾伸展制限や近位関節の代償の原因となり,足部・足関節周囲のみならず,さまざまな部位の障害の原因となります.

足関節底屈可動域制限の原因となりうる要素は複数存在するため,各要素を的確に評価し,アプローチすることが重要となります.

 

 

 

非荷重位での底屈

一般的に足関節底屈は距腿関節における底屈可動性としてとらえられますが,足関節の最大底屈にはいくつかの関節運動が関与します.

また非荷重位と荷重位では足関節底屈に関与する関節運動が若干異なります.

非荷重位での足関節底屈時には,踵骨の底屈と距骨の前方滑りが生じますが,最大底屈には下腿の内旋と中・後足部(ショパール関節・距骨下関節)の外がえしが要求されます.

さらには足趾屈曲制限も足関節最大底屈の制限因子となる可能性があります.

また下腿内旋や距骨下関節外がえしの可動性低下はショパール関節の外がえしを制限し,足関節底屈制限の原因となります.

このように足関節底屈運動を考える際には距腿関節のみならず,足趾の屈曲可動域制限や下腿の回旋制限,距骨下関節の可動域制限も考慮する必要があります

 

 

 

 

荷重位での底屈

荷重動作である歩行における足関節底屈運動は主に立脚終期に生じ,立脚前期から立脚中期にかけて外がえしした距骨下関節・ショパール関節を内がえしさせることで足部の剛性を高め,推進力を生み出します.

そのため非荷重位とは異なる運動方向への可動性も要求されます.

加えて足関節最大底屈が要求されるようなジャンプやダッシュ動作では,母趾球で地面へ力を伝えるため,非荷重位での足関節最大底屈の獲得(下腿内旋とショパール関節の外がえし)と十分な足趾伸展によるウインドラス効果によって足部剛性を高める必要があります.

 

 

 

 

足関節底屈可動域制限の評価

底屈可動域を評価する場合には,非荷重位および荷重位の2パターンで評価を行うことが重要となります.

非荷重位での評価は膝関節伸展位で行います.

この際,股関節回旋による影響を除くため,背臥位で膝蓋骨が天井を向いた状態で評価を行うことが重要となります.

足関節の自動底屈時に足部の内がえしが生じる場合には,足関節底屈可動域が制限されていることが多いです.

このような足部では,他動にて足部の内がえしが生じないように第1趾列を把持して足関節を底屈すると,膝関節の屈曲や股関節の内旋運動が出現することが多いです.

これはショパール関節の外がえしや下腿内旋の可動性低下による代償運動ととらえられます.

足関節底屈の参考可動域は45°とされますが,非荷重位での足関節底屈運動は膝関節屈曲位よりも伸展位で小さくなります.

これは膝関節伸展位で下腿の回旋可動性が低下することが原因であると考えられます.

膝関節伸展位で下腿内旋可動域に制限を有する例では,シヨパール関節の外がえしが制限され,足関節底屈制限が生じることとなります.

このような代償を伴った状態での可動域測定は,測定の再現性低下の原因となるため,測定時には足部中間位での可動域測定を心掛けることが重要となります.

 

荷重位での足関節底屈は足趾と膝の向きを一致させた状態での可動性や安定性を評価することが重要となります.

荷重位での足関節底屈可動域の評価も非荷重位と同じく膝関節は伸展位で評価すべきです.

正常な可動域な筋力が備わっていれば,足部の外がえしに伴う母趾球荷重による足関節の最大底屈を行うことが可能となります.

一方でなんらかの原因によって底屈が制限されている場合には,踵骨の挙上高が減少し,スムーズな母趾球への荷重が阻害され,結果的に足部・足関節の安定性も低下してしまいます.

 

 

 

運動連鎖による影響

足関節底屈可動域制限の評価の方法について述べましたが,膝・股関節などの近位関節のアライメント,可動性異常が足関節底屈制限の原因となっている場合もあります.

例えば過度な股関節外旋(骨盤に対する大腿骨の外旋)は,下腿外旋と足部の内がえしを生じさせ,足関節最大底屈を妨げます.

また膝関節伸展制限を有する膝では,膝関節伸展域における下腿内旋可動性が低下している例が多く,同じく足関節底屈可動域を制限する要因となります.

 

 

 

 

今回は足関節底屈可動域制限について考えてみました.

底屈可動域制限は軽視されがちですが,歩行・走行・ジャンプ動作など多くの動作で大きな可動域が必要となります.

また底屈可動域獲得には,距腿関節の運動のみならず,下腿回旋可動域,ショパール関節の外がえし方向の可動域,足趾底屈可動域も重要となります.

また荷重位と非荷重位で分けて評価を行うことも非常に重要となります.

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