2 ステップテストを用いた定量的な歩行能力評価 -信頼性・妥当性の検討および屋外歩行自立に関する基準値の作成-

介護予防
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 2 ステップテストを用いた定量的な歩行能力評価 

一昨年まで行われた日本理学療法士学会が,今年度から完全に分科会学会単独での開催となりました.

平成30年12月8-9日に神奈川県(パシフィコ横浜)で第5回日本地域理学療法学会学術大会が開催されました.

今回はこの第5回日本地域理学療法学会学術大会の一般演題の中から2 ステップテストを用いた定量的な歩行能力評価に関する研究をご紹介いたします.

 

 

 

 2ステップテストとは? 

2ステップテストは,身体を水平方向へ移動する機能を評価するテストです.

2歩の最大歩幅を測定し,被験者の身長で除した値が2ステップ値となります.

テストを行う際には,ジャンプしないよう被験者に指示します.

またバランスを崩して転倒しないように介助者を配置する必要があります.

測定長は開始肢位の両側つま先から最終位のつま先までの距離をメジャーを用いて5mm単位で計測し,残りは切り捨てます.

測定長は左右脚各2回ずつ実施しその最大値を採用します.

測定に先立ち十分な練習をした後,転倒のリスクを配慮し近位監視で実施しました.

また杖と装具を使用している場合には装具のみその使用を許可します.

 

一般的に歩行能力評価として実施される10m歩行テストでは,直線で10m以上の測定空間が必要なことから,測定に際しては体育館やリハ室など測定可能な場所への移動が必要となります.

また地域や在宅においては10m歩行テストを行える場所が確保できないことも少なくありません.

 

 

 

 2ステップテストの臨床的意義 

2ステップテスト値は,歩行速度や6分間歩行距離と有意に高い相関があることが報告されております.

またOgataらの研究においても,級内相関係数0.84と高い信頼性が報告されております.

さらに実際の測定においても,歩行速度の測定ほど広いスペースを必要としないため, 2ステップテストは高齢者の歩行能力を簡便に評価する手段として有用であると言えます.

さらに10m歩行テストやTUG測定では比較的元気な高齢者の場合には,床効果(測定値が底打ちしてしまう)が生じてしまうといった欠点がありますが,2ステップテストの場合には床効果が生じにくいといった面でも,介入前後で測定値を比較する上で非常に有用です.

 

この研究では限られた環境でも実施できる 2 ステップテストの有用性に着目し,訪問リハビリテーションにおける定量的な歩行能力評価としての信頼性と妥当性を検討するとともに,屋外歩行自立に関する基準値を作成することを目的としております.

 

 

 

 

 研究の方法 

訪問リハビリテーション 10 施設で横断的な多施設共同調査が実施されております.

対象者は各施設の訪問リハビリテーション利用者であり,5 つの取込み基準(全身状態が安定しており訪問リハを利用し30 日以上経過している症例のうち,認知機能に問題がなく,立位での下肢ステップ運動が可能で,2 ステップテストの実施に支障をきたす著明な痛みや拘縮・姿勢異常がない症例)を満たす者としております.

最終的に226 名が対象となっております.

調査内容ですが,基本情報として(年齢・性別・要介護度)を調査しております.

また運動機能として等尺性膝伸展筋力比(膝伸展筋力),歩行能力として Functional AmbulationClassification of the Hospital at Sagunto(FACHS),Rivermead Mobility Index (RMI) を評価しております.

また屋外歩行の手段(独歩・杖・歩行器),日常生活で自立し遂行している最大歩行距離などを評価しております.

2ステップテストは対象者の自宅にて立位で安定して実施可能な最大2 歩幅を測定しております.

この値を身長で除して 2 ステップ値を算出しております.

検者内信頼性を検討するために,一部の対象者では初回の測定から2 週間以内に同様の方法で再測定を行っております.

信頼性の検討では2 ステップテストの再測定を行っている 98 名を対象に,初回測定値と再測定値との級内相関係数を求めております.

妥当性については,膝伸展筋力と各歩行能力評価を欠損なく測定している 115 名を対象に,2 ステップ値と各評価項目との相関分析をSpearman 順位相関係数にて行っております.

屋外歩行自立の基準値については安全管理のための活動制限がある施設居住者と心疾患・呼吸器疾患に由来する活動制限がある者を新たに除外した212 名を対象とし,「800m 以上の屋外歩行自立」を条件に屋外歩行の手段と組み合わせ,屋外歩行器歩行・屋外杖歩行・屋外独歩の自立基準を定義し,2 ステップ値を用いた ROC 曲線から各自立基準を判別するカットオフ値を算出しております.

この研究の特徴ですが分析毎に対象者の取込基準を細かく変更している点が挙げられます.

研究目的に合わせて対象者の条件を変えている点が素晴らしいと思います.

 

 

 

 研究の結果 

2ステップ値の初回測定値と再測定値の検者内信頼性はICC(1,1)=0.98(95%CI:0.97-0.99)となっております.

また2 ステップ値との相関係数は膝伸展筋力(ρ=0.32),FACHS(ρ=0.54),RMI(ρ=0.56)と有意な正の相関を認めております.

ROC 曲線はいずれも 0.8 以上の曲面下面積を示し,カットオフ値は屋外歩行器歩行で0.70,屋外杖歩行で 0.78,屋外独歩で 0.90となっております.

 

 

 この研究から考えられること 

2ステップテストは歩行速度の測定ほど広いスペースを必要としないため,高齢者の歩行能力を簡便に評価する手段として有用であると言えます.

しかしながらこれまで基準値やカットオフ値というのが明らかにされておりませんでした.

今回の研究で2 ステップテストの高い信頼性と妥当性が確認され,屋外歩行自立に関する基準値が明らかにされました.

さらにこの研究の素晴らしいのは,屋外歩行器自立・屋外杖自立・屋外独歩と歩行補助具別にカットオフ値を算出している点です.

屋外歩行自立はもちろんこの2ステップテストだけで決定できるものではありませんが,参考にできる1つの指標になると思います.

 

 

 

 

参考文献

1)村永信吾:立ち上がり動作を用いた下肢筋力評価とその臨床応用.昭医会誌61 :362-367, 2001

2)OgataTet al:Developmentofascreeningprogramtoassessmotor function intheadultpopulation:across-sectional. Observational study. J Orih Sci20:888-895, 2015.

3)中村雅俊・他:地域在住高齢者の運動機能および要介護リスク関連指標としての立ち上がりテストの有用性.運動器リハ26:338‐345,2015.

4)村永信吾,平野清孝:2ステップテストを用いた簡便な歩行能力推定法の開発.昭医会誌63:301-308, 2003

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