理学療法・作業療法は主訴から始まる

理学療法評価
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 理学療法・作業療法は主訴から始まる 

理学療法・作業療法を行う上では,クライアントの訴えを傾聴し,クライアントの訴えを改善するための方策を考えることが重要となります.

仕事に慣れてくると,どうしても理学療法士・作業療法士の評価結果や経験をもとに,プログラムを立案してしまいがちですが,クライアントの主訴を考慮することが非常に重要です.

今回は理学療法・作業療法を行う上で必須となるクライアントの主訴について考えてみたいと思います.

 

 

 

 主訴によって理学療法・作業療法の方向性が決まる 

理学療法の対象は,以前に比較しても非常に幅広くなってきております.

年齢は新生児から超高齢者まで,疾患は心臓移植のリハビリテーションからスポーツ障害まで,多種多様であります.

さらに同じ年齢や同じ疾患であっても,それぞれの対象者にはそれぞれの心身の特徴があります.

生活観や価値観,家庭環境,住居環境,食生沽も異なり,その結果,対象者の状態像はそれまでの生活,人生を反映した極めて個別的で個性的なものとなります.

これがいわゆる個別性です.

そのため理学療法士・作業療法士は対象者の個別性に対応したリハビリテーションを提供することが求められます.

それでは個別性に配慮した理学療法・作業療法はどのように開始されていくのか,どのように方向性が決定されていくべきか,その答えの1つは間違いなく,対象者の「主訴」なのです.

理学療法・作業療法は対象者の主訴から始まるといっても過言ではありません.

 

 

 

 主訴とは? 

リハビリテーション場面における「主訴(chief complaint: C.C.)」は疾病や障害に起因する対象者の主な訴えのことで,現在も苦痛に感じていることを対象者の言葉で表現してもらったものです.

基本的に「主訴」は理学療法・作業療法の初回評価の際にで聴取します.

その他に理学療法士・作業療法士が得るべき情報として,対象者本人が主観的に要求するものである「要望(Demand)」や「希望(Hope)」等があります.

そして理学療法・作業療法評価の結果を統合・解釈したうえで,対象者にとって客観的に必要と判断される「ニード(Need)」を把握します.

Needは,患者像を理解し,治療効果や理学療法介入効果も踏まえて決定されるため,妥当で実現可能な内容にならなければならないわけです.

 

 

 

 疾患を診るのではなく対象者の個を診る 

これらの主訴やDemand・Hopeがあってはじめて理学療法・作業療法が成立するといえます.

例えばクライアントが,「筋力が落ちたから」と訴えて医療機関を受診することはまずありません.

もちろん「歩行時にトレンデレンブルグサインが出現するから」受診するわけでもありません.

クライアントの主訴として最も多いのは疼痛の訴えです.

運動器疾患を担当した場合には,疼痛という主訴から理学療法・作業療法評価を展開していくことがほとんどです.

どのような痛みなのか.どういうときに痛むのか.そしてその病みが具体的にどのように生活に影響しているのかなど,理学療法士・作業療法士としての専門性をもって,主訴を掘り下げていきます.

昨今は○○疾患の評価といったような書籍・雑誌の記事をよく見かけますが,実際には疾患名を聞いただけでは本質的な評価内容を挙げることはできないわけです.

例えば変形性膝関節症=内反変形・lateral thrust等と疾病からクライアントの病態を決めつけて主訴を歩行障害を予測していても,実際のクライアントは,「歩くのは問題ないのですが,正座したときに痛いです」という主訴かもしれません.

 

診断名は同じ変形性膝関節症でも,「歩いたときに膝が痛い」というクライアントと「膝が曲がらなくて階段が上れない」というクライアントでは,当然ながら評価も治療プログラムも変わってくるわけです.

 

単に「変形性膝関節症のクライアント」として関わっていたら,真の問題点にたどり着くまで随分遠回りをしたり,無駄な評価・治療を実施してしまう危険があるわけです.

極端にいうと,年齢,性別,職業,性格,変形の程度,体格,合併症,家屋状況,家族などの情報に関わらず,どのような「変形性膝関節症」のクライアントにも同じ対応をすることになってしまいます.

現実にはあってはならないわけですが,主訴を聞かずに理学療法を開始すると,クライアントの望んでいないことにまで介入してしまうというとんでもない事態を招きかねません.

 

繰り返しにはなりますが,主訴を聞かないことには理学療法・作業療法を始められないわけです.

 

 

 

 主訴との次に何を確認するのか? 

主訴の次に、対象者がどうなりたいのか,つまりDemandあるいはHopeを聴取します.

身体構造のことについて話すクライアントもいれば,活動・参加レベルのことを訴えるクライアントももいます.

ここでは実現性は考慮せずに,Demand・Hopeを聴取することで,セラピストは対象者の状況を理解したり,生活や人生あるいは家族に対する思いの一部を知り,共有することとなります.

DemandやHopeを徴収することは,評価や介入方法に反映させるべき貴重な情報になるだけではなく,クライアントとの信頼関係の榊築にもつながる重要な作業となります.

主訴もDemand・Hopeもクライアントの主観的な訴えなわけですが,われわれ理学療法士・作業療法士は客観的に聞くことが重要です.

相手の訴えを尊重し,理学療法士・作業療法士の価値観や思いこみで解釈してしまわないように注意する必要があります.

そしてこの訴えをもとに各評価を実施し,その結果からNeedを明確にします.

 

 

 

今回は理学療法・作業療法を行う上で必須となるクライアントの主訴について考えてみました.

仕事に慣れてくると,どうしても理学療法士・作業療法士の評価結果や経験をもとに,プログラムを立案してしまいがちですが,クライアントの主訴を考慮することが非常に重要です.

改めて日々の臨床の中でクライアントの訴えに耳を傾けていきたいです(自戒をこめて).

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