関節可動域測定の方法 ゴニオメータ以外にも測定方法があった

理学療法評価
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関節可動域測定の方法 ゴニオメータ以外にも測定方法があった

理学療法士・作業療法士が測定することが多いのがクライアントの関節可動域です.

関節可動域測定にはゴニオメータを用いるのが一般的ですが,最近はゴニオメータ以外の測定機器を使用して,関節可動域を測定する方法も出てきております.

またゴニオメータにもいくつか種類がありますので,それぞれの特性を知っておくことが重要となります.

今回は関節可動域測定の方法について考えてみたいと思います.

 

 

 

ゴニオメータ,フレキシブルゴニオメータ

理学療法士が臨床でよく使用するゴニオメータには東大式と神中式の2種類があります.

どちらも体表面から体軸を投影して測定します.

東大式というのはこんなやつですね.

神中式とはこんなやつです.

神中式は角度を示す矢印がメモリが無いところまで回転するので,使用経験が不十分な臨床実習生が使用すると誤用が起こりやすい特徴があります.

個人的には東大式が使用しやすいといった印象があります.

 

ゴニオメータは簡易的に関節角度の計測が可能であり,臨床的に広く汎用されています.

通常のゴニオメータは静止時の関節角度計測にのみ使用されますが,フレキシブルゴニオメータを使用すれば,動作時の体幹の可動域や関節を跨いで近位部と遠位部に機器を装着して,動作時の関節の角度変化を計測することが可能です.

 

 

 

ゴニオメータの利点・欠点

ゴニオメータは安価で携帯性もあり,理学療法士・作業療法士であれば誰でも同一の条件下で測定が可能である点において優れています.

一方で,測定には技術力の必要性が指摘されており, 1人で計測する場合に再現性が高くない報告もありますので,1人が固定してもう1人が計測する方法が推奨されています.

特に股関節なんかは骨盤の固定が難しいので,論文なんかを見ても2人で測定している報告が多いです.

 

何°単位で測定を行うのかという点も問題となります.

5°単位での測定が一般的ですが,養成校によっては1°単位での測定を教育されるところのあるようです.

1°単位ですと今度は信頼性(再現性)が問題となるわけですが…

 

フレキシブルゴニオメータは動作時の測定が可能ですが,機器が高価なことや,1軸・2軸・回旋軸とセンサによって計測できる面が異なり, 3軸での同時計測は困難であることが欠点といえます.

 

関節可動域測定に当たっては年齢,性別,肢位によっても変動が大きいので,その点に注意して計測する必要があります.

 

 

 

スパイナルマウス

スパイナルマウス(Index社)は,立位および座位での脊柱の彎曲角度を被験者背部の体表面から測定できる脊柱形状計測分析器です.

比較的容易に脊柱彎曲角度が測定できることから,多くの研究に使用されております.

皆さんもゴニオメータによる脊柱の可動域測定ってあてにならないといった印象を持っておられると思いますので,スパイナルマウスを用いて脊椎の可動性やアライメントを計測できれば,非常に有用です.

 

立位での直立,屈曲あるいは伸展時の脊柱の彎曲角度測定については成人男女を対象として,高い信頼性が得られております.

どのクライアントでも適応可能です.

特に側弯や円背が進行する疾患または加齢症状の経過を評価するのに適しています.

 

 

 

スパイナルマウスの利点・欠点

スパイナルマウスは,マウスを動かすだけで,簡易的に脊柱の角度を計測できます.

X線画像と比較した場合のデータの妥当性は高いことが知られており,測定日内の級内相関係数は胸椎後彎角,腰帷前彎角,仙骨傾斜角ともに信頼性が高いのも利点です.

欠点としては,高価であること,また静止のみの計測しかできないことが挙げられます.

スパイナルマウスのよくある誤った使用例としては,スパイナルマウスでの計測値は脊柱の長さと,椎体鉛直線に対する局所的傾斜をもとに算出されるため,脊柱の厚さの測定に誤差が生じると計測される脊柱彎曲角度にも誤差が生じる原因となります.

もう1つの誤差の原因は,ランドマークの触診に関係します.

ランドマークの触診に必要な棘突起を選択できないと当然ながら誤差が生じます.

 

 

 

傾斜計を使用した可動域測定

最近は傾斜計を用いた可動域測定についても報告が増えております.

傾斜計を用いた可動域測定では,脊椎の可動域測定が行えることや,1°未満の単位で信頼性の高い測定が行えるといった利点が挙げられます.

 

今回は関節可動域測定の方法について考えてみました.

ゴニオメータによる測定のみならず,さまざまな測定方法が報告されておりますので,それぞれの測定方法の利点・欠点を把握した上で測定を行うことが重要だと思います.

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