表在温熱刺激後の低負荷筋力トレーニングが筋力および筋厚に与える影響

運動療法・物理療法
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一昨年まで行われた日本理学療法士学会が,今年度から完全に分科会学会単独での開催となりました.

 

平成30年12月15-16日に京都府で第23回日本基礎理学療法士学会が開催されました.

 

今回はこの第23回日本基礎理学療法士学会の一般演題の中から温熱療法が筋力トレーニングの効果に与える影響を検討した研究をご紹介いたします.

 

 表在温熱刺激後の低負荷筋力トレーニングが筋力・筋厚に与える影響 

筋力低下は理学療法士が問題点とする機会の多い機能障害の一つです.

筋力低下に対する治療法として,一般的に筋力トレーニングが用いられおり,筋力増強が生じる負荷量として最大挙上量(1RM)の 60〜100%かつ 1 回から 12 回反復することが推奨されております.

しかしながら,このような高負荷を用いた筋力トレーニングは心血管障害などを有する場合,リスクが高く実施が困難であるといった欠点があります.

一方で,近年では低負荷であっても回数を増加させることで高負荷の筋力トレーニングと同様の効果が期待できるとされておりますが,介入時間が長く,昨今の医療機関における在院期間の短縮を鑑みると実用的ではありません.

このような背景の中で,この研究では動物実験を中心に筋肥大効果があると報告されている温熱刺激に着目し,筋力増強や筋肥大効果が認められない低負荷を用いた筋力トレーニングであっても温熱刺激を付加することで筋力増強および筋肥大効果があるといった仮説のもとで研究が行われております..

この研究では,右上腕三頭筋に対する 20 分間の表在温熱刺激後の低負荷筋力トレーニングが筋力および筋厚に与える影響について検討しております.

 

 

 

 研究の対象 

対象は健常成人男性 30 名(年齢 20.9 ± 0.4 歳,身長 170.2 ± 5.3cm,体重 62.8 ± 4.1kg)の右側の上腕三頭筋としております.

20 分間のホットパックによる表在温熱刺激付加後に筋力トレーニングを行う介入群と温熱刺激を付加せずに筋力トレーニングのみを行う対照群に無作為に 15 人ずつ群分けをしております.

全被験者は,背臥位で片手用ダンベルを用いて肩関節・肘関節 90°から肘関節最大伸展位まで 2 秒かけて伸展し 2 秒かけて開始肢位に戻る運動を,30% 1RM の負荷量で8回3セット,週3回の筋力トレーニングを6週間実施しております.

介入 1 週間前と介入終了後に 1RM を測定し同タイミングで上腕三頭筋の筋厚を超音波診断装置を用いて測定しております.

 

 

 

 研究の結果 

筋力および筋厚に有意な交互作用および時期に主効果が認められております.

事後検定の結果,介入群の筋力は介入前と比較し介入後に有意に増加しており,対照群では介入前後に有意な変化は認められておりません.

また筋厚は介入群で介入前と比較し介入後で有意に増加しておりますが,対照群では介入前後に有意な変化は認められておりません.

 

この研究の結果より,筋力増強及び筋肥大が生じないほどの低負荷の筋力トレーニングの直前に 20 分の表在温熱刺激を付加することで,筋力増強および筋肥大が生じることがわかります.

臨床では高負荷のトレーニングを実施できない場合も少なくありません.

また結果が得られるまでに時間を要しますので,こういった介入方法は臨床的にも非常に有用であると考えられます.

今回はホットパックといったどこの施設でも実施可能な温熱刺激を用いている点も非常に参考にできる内容ではないかと思います.

組織の柔軟性改善といった視点だけではなく,筋力向上といった面でも有益であると考えられます.

 

 

 

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