これからの時代の医療広告ガイドライン

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医療広告ガイドラインって最近よく耳にしますよね?

医療広告ガイドラインって理学療法士・作業療法士とはあまり関係がないものと考えられている方も多いと思いますが,開業されている理学療法士・作業療法士はもちろんですが,認定制度とも関わるところですので雇用されている理学療法士・作業療法士もある程度の知識を持っておく必要があります.

 

リハビリテーション管理・運営実践ガイドブック [ 金谷さとみ ]

目次

 医療広告ガイドラインとは? 

医療においては以前からインターネット上での過度な術前術後の比較,他院との差別化,ステルスマーケティング等が蔓延しており,問題視されておりました.特に「腰痛の99%は○○法で完治できる」こんな広告って最近とても多かったですよね.

こういった広告というのは確かにインパクトがありますが,こういった虚偽・誇大広告については以前から医療法である程度規制がなされていたわけですが,医療機関が運営するウェブサイト等における規制というのは,これまで2012年に作成された「医療機関ホームページガイドライン」による自主規制を求めるにとどまっておりました.

実は2018年6月1日からは医療機関のウェブサイトについても他の広告媒体と同様に規制の対象となり,違反した場合は都道府県による行政指導や立入検査が行われることとなりました.

このように医療広告ガイドラインというのはここ数年で大きく変わってきておりますので,われわれ理学療法士としてもこの医療広告ガイドラインについて把握しておく必要があります.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 医療広告ガイドラインと認定理学療法士・専門理学療法士 

認定理学療法士・専門理学療法士の資格制度を考えた時に,現行の「医療広告ガイドラインの基準に合わない」といった意見はよく聞かれるところです.

医療というのは提供されるサービスの性質上,不適切な広告によって受け手であるクライアントが不利益を被ることから医療法によって,「特定の項目」を除いては原則広告禁止となっているのです.

特定の項目のひとつとして,「当該病院又は診療所において診療に従事する医療従事者の氏名・年齢・性別・役職・略歴その他の当該医療従事者に関する事項であって医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの」があります.

実は日本医師会の専門医制度や日本看護協会の認定看護師軟化はこの「当該医療従事者に関する事項であって医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの」に該当するわけですが,この部分については厚生労働省告示第108号第1条第2号に「厚生労働大臣に届け出た団体が行う医師,歯科医師,薬剤師,看護師その他の医療従事者の専門性に関する認定」とその詳細が定められているのです.

この医療従事者の専門性に関する認定には基準が設けられております.

 

学術団体として法人格を有していること

  • 会員数が1000人以上であり,かつその8割以上が当該認定に係る医療従事者であること
  • 一定の活動実績を有し、かつ、その内容を公表していること
  • 外部からの問い合わせに対応できる体制が整備されていること
  • 当該認定に係る医療従事者の専門性に関する資格(以下「資格」という)の取得条件を公表していること
  • 資格の認定に際して医師,歯科医師,薬剤師においては5年以上,看護師その他の医療従事者においては3年以上の研修の受講を条件としていること
  • 資格の認定に際して適正な試験を実施していること
  • 資格を定期的に更新する制度を設けていること
  • 会員及び資格を認定した医療従事者の名簿が公表されていること

認定理学療法士が医療広告ガイドラインに認められるための最大の課題は,資格の認定に際して医師,歯科医師,薬剤師においては5年以上,看護師その他の医療従事者においては3年以上の研修の受講を条件としていることといった項目と,資格を定期的に更新する制度を設けていることといった項目です.

現行の認定理学療法士制度では研修受講期間が短く医療広告ガイドラインに認定されるのは難しい状況です.

そのため日本理学療法士協会では,この医療広告ガイドラインに認定されるべく,数年後から新しい生涯学習制度へ移行がなされる予定です.

新制度では認定理学療法士取得に高いハードルが課せられる可能性が高く,取得が可能な方は早めに取得しておいた方がよさそうですね.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虚偽・誇大広告研修会をガイドラインで減らせないのか 

個人的には虚偽・誇大広告研修会を何らかのガイドラインで減らせないものかと考えていたりします.

理学療法士・作業療法士を対象とした研修会は山ほどあります.

以前の記事でもご紹介いたしましたが,虚偽・誇大広告で集客している研修会が少なくありません.

こういった研修会では多くが,「この手技を使えば99%腰痛を治せます」なんて謳っているわけです.

この世に万能の治療法や万能薬は存在しませんし,学識者であればこういった広告を見た時点でそもそも相手にしないわけですが,こういった誇大広告に若い理学療法士・作業療法士の多くが騙されている現状があります.

 

腰痛という症状1つを考えても以下に挙げるようにさまざまな原因が考えられます.

  • 心理社会的要因
  • 内臓疾患
  • 腰椎椎間関節性
  • 椎間板性
  • 筋・筋膜性
  • 梨状筋症候群
  • 細菌・ウイルス感染
  • 腫瘍
  • 外傷

例えば細菌感染による化膿性脊椎炎が原因であれば徒手療法を行っても,腰痛は良くなりませんし抗生物質の投与が不可欠です.

尿路結石なら結石を取り除くのが唯一の治療法となります.したがって99%腰痛を治せる研修会なんて普通に考えればあり得ないわけです.

集客力を考えて,このようなタイトルで研修会を開催するのでしょうが,Yellow flagやRed flagのことに触れず,腰痛・膝痛が治りますといったように謳っているものというのは,まず怪しいと考えた方が良いでしょう.

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今回は医療広告ガイドラインについて考えてみました.

医療広告ガイドラインで医療広告についてはかなり厳しく整備がなされましたが,虚偽・誇大広告研修会をガイドラインで減らせないのかといったのが私の思いです.

まぁ自分の身は自分で守るといいますか,今の若い理学療法士・作業療法士の方は研修会を吟味する力が求められますね.

コメント

  1. […] これからの時代の医療広告ガイドライン今回は医療広告ガイドラインについて考えてみました.医療広告ガイドラインで医療広告についてはかなり厳しく整備がなされましたが,虚偽・ […]

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