骨格筋の減少が変形性膝関節症に及ぼす影響は?

変形性膝関節症
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目次

骨格筋の減少が変形性膝関節症に及ぼす影響は?

近年,サルコペニアと変形性膝関節症との関連性を明らかにした研究報告が増えております.

しかしながら変形性股関節症が進行するとサルコペニアに陥るのか,サルコペニアを合併していると変形性膝関節症を発症しやすいのか,その因果関係は明確となっておりません.

今回は骨格筋の減少が変形性膝関節症に及ぼす影響を考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきます.

スマートフォンを使って座り、前かがみになっている女性

 

 

 

 

 

 

今回ご紹介する論文

Acta Med Okayama. 2024 Jun;78(3):245-250. doi: 10.18926/AMO/67199.

The Impact of Reduced Skeletal Muscle Mass on Patients with Knee Osteoarthritis

Manabu Akagawa 1, Hidetomo Saito 2, Yasuhiro Takahashi 1, Yosuke Iwamoto 1, Junpei Iida 1, Takayuki Yoshikawa 1, Toshiki Abe 1, Kimio Saito 2, Hiroaki Kijima 2, Yuji Kasukawa 2, Michio Hongo 2, Naohisa Miyakoshi 2

Affiliations expand

PMID: 38902212 DOI: 10.18926/AMO/67199

今回ご紹介する論文は2024年に掲載された論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の目的

Although several studies have suggested a possible association between sarcopenia and knee osteoarthritis (OA) in the elderly, there remains no definitive evidence. Recently, however, the serum creatinine/cystatin C ratio (sarcopenia index: SI) was reported to correlate with skeletal muscle mass. The present retrospective study therefore investigated the impact of reduced skeletal muscle mass on advanced knee OA using SI.

高齢者におけるサルコペニアと変形性膝関節症(OA)との関連は,いくつかの研究で報告がなされておりますが,未だ決定的なエビデンスは存在しません.

しかしながら,近年血清クレアチニン/シスタチンC比(サルコペニア指数:SI)が骨格筋量と相関することが報告されております.

そこでこの研究では,骨格筋量の減少が進行した変形性膝関節症に及ぼす影響をサルコペニア指数を用いて検討することを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法

In 55 individuals scheduled for knee osteotomy or knee arthroplasty, correlations between SI and patient-reported outcomes such as the Knee Society Score (KSS), Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS), and Oxford Knee Score (OKS) were explored.

膝骨切術または人工膝関節置換術が予定されている55例を対象として,サルコペニア指数と膝関節学会スコア(KSS),膝関節損傷・変形性関節症アウトカムスコア(KOOS),オックスフォード膝関節スコア(OKS)などの患者報告アウトカムとの相関を調査しております.

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

Significant associations were found between SI and the KSS functional activity score (β=0.37; p=0.022), KOOS subscale for activities of daily living (β=0.42; p=0.0096), and OKS (β=0.42; p=0.0095).

サルコペニア指数とKSS機能活動スコア(β=0.37;p=0.022),KOOS日常生活動作サブスケール(β=0.42;p=0.0096),OKS(β=0.42;p=0.0095)との間に有意な関連が認められました.

 

 

 

 

 

 

 

研究の結論

This study underscores the role of reduced muscle mass in functional outcomes and introduces SI as a valuable marker for assessing muscle loss in knee OA patients.

この研究結果は機能的転帰における筋肉量の減少の役割を強調し,変形性膝関節症例におけるサルコペニアを評価するための貴重なマーカーとしてサルコペニア指数を紹介するものであります.

 

今回は骨格筋の減少が変形性膝関節症に及ぼす影響を考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきました.

今回の結果から考えてもサルコペニアと変形性膝関節症には何らかの関連性がありそうです.

しかしながらまだまだこの結果からは因果関係は不明であります.

変形性膝関節症例に対しては膝関節機能の改善のみならずサルコペニアに対する対策も必須になりそうですね.

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