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独居になると栄養不良と肥満が増える?
身体活動を行ううえで欠かすことができないのが栄養状態の把握です.
栄養状態といえば独居高齢者と同居者がいる高齢者でも大きく状態が異なることが予測されます.
しかしながら独居高齢者の場合には栄養不良の者や肥満の者が増えるのでしょうか?
今回は独居高齢者の場合には栄養不良の者や肥満の者が増えるかどうかを考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきます.
今回ご紹介する論文
J Nutr Gerontol Geriatr. 2024 Jan-Mar;43(1):36-45. doi: 10.1080/21551197.2024.2304019. Epub 2024 Feb 10.
Nutrition and Isolation in a Rural US Population over 80 Years Old: A Descriptive Analysis of a Vulnerable Population
Courtney D Wellman 1, Andrew Ferguson 2, Thomas McIntosh 2, Alperen Korkmaz 1, Robert B Walker 1, Adam M Franks 1
Affiliations expand
PMID: 38235599 DOI: 10.1080/21551197.2024.2304019
今回ご紹介する論文は2024年に掲載された論文です.
研究の目的
Factors allowing rural, community-dwelling 80+ year-olds to thrive remain unexplored. Isolation can impact this vulnerable population. In this study, patients were prospectively surveyed for age, gender, cohabitation (self, spouse, family) and location (suburban, rural, and isolated).
80歳以上の地域在住高齢者が生き生きと暮らすためにどういった要因が関連しているのかについてはまだ十分に明らかにされておりません.
独居はこのフレイルに影響を与える可能性があります.
この研究では年齢,性別,同居(自分,配偶者,家族),居住地(郊外,農村,独居)を前向きに調査しております.
研究の方法と結果
Mini-nutritional assessment short form (MNA-SF) and BMI were obtained. A p < 0.05 represented statistical significance. Patients (n = 167) were mostly female (120; 71.9%) with an average overweight BMI (26.5) and low-normal MNA-SF scores (11.8). Most live alone (49.7%), followed by spousal (31.7%) and family (18.6%) cohabitation. Over 80% are rural (71) or rural-isolated (67), and of these, 83% had normal nutrition. Self-habitation correlated with lower MNA-SF scores (p = 0.02). Normal BMIs correlated with family cohabitation (OR = 0.90 [CI: 0.82-0.99]) and nourished MNA-SF scores with spousal cohabitation (OR = 1.69; CI: 1.15-2.47) rather than living alone.
MNA-SFおよびBMIを調査しております.
有意水準を5%としております.
対象者(n = 167)はほとんどが女性(120;71.9%)で,平均BMIは過体重(26.5),MNA-SFスコアは低正常(11.8)でありました.
ほとんどが一人暮らし(49.7%)で配偶者(31.7%)と家族(18.6%)が同居しておりました.
80%以上が農村(71人)または農村から孤立(67人)しており,このうち83%が栄養状態は正常でありました.
自立度はMNA-SFスコアの低さと相関しておりました(p = 0.02).
正常なBMIは同居家族と相関し(OR=0.90[CI:0.82-0.99]),栄養状態の良好なMNA-SFスコアは,独居ではなく配偶者の同居と相関しておりました(OR=1.69;CI:1.15-2.47).
研究の結果
Self-habitation increases vulnerability to obesity and malnutrition. Interventions should aim to maintain independence while improving the effects of habitation on nutrition.
独居は肥満と栄養不良に対するリスクを高めることが明らかとなり増した.
介入としては居住が栄養に及ぼす影響を改善しつつ,自立を維持することを目指すべきであります.
今回は独居高齢者の場合には栄養不良の者や肥満の者が増えるかどうかを考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきました.
今回の結果から考えるとやはり独居高齢者では栄養バランスが崩れ,栄養不良や肥満になる方が多いということですね.
独居高齢者に対しては運動のみならず食事面での介入が必須になりそうですね.