フレイルを改善すると将来的な転倒リスクは減少するの?

介護予防
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フレイルを改善すると将来的な転倒リスクは減少するの?

最近はテレビを見ていてもフレイルという言葉をよく耳にするようになりました.

元来,フレイルという用語には可逆性というのが含まれております.

つまりフレイルは改善する可能性があるという点が重要です.

フレイルと転倒との関連性も明らかにされてきておりますが,理学療法士・作業療法士の立場からするとフレイルを改善した方はフレイルのままの方よりも転倒しやすいのかどうかというのはすごく気になります.

今回はフレイルを改善すると将来的な転倒リスクは減少するのかを考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきます.

 

 

 

 

 

 

 

今回ご紹介する論文

Age Ageing. 2023 Feb 1;52(2):afad003. doi: 10.1093/ageing/afad003.

A prospective analysis examining frailty remission and the association with future falls risk in older adults in England

Katie Davies 1, Asri Maharani 2 3, Tarani Chandola 4, Terence W O’Neill 5 6, Chris Todd 1 7 8 9, Neil Pendleton 5 7 9 10

Affiliations expand

PMID: 36821643 PMCID: PMC9949575 DOI: 10.1093/ageing/afad003

今回ご紹介する論文は2023年に掲載された論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の背景

Background: Previous research has shown older adults experience dynamic changes in frailty status. This study aimed to determine the occurrence of sustained frailty remission and how remission is associated with falls risk.

これまでの研究で高齢者はフレイルの変化を経験することが示されております.

この研究ではフレイルの改善が転倒リスクとどのように関連するかを明らかにすることを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法

Methods: Participants who contributed data to the analysis were in the English Longitudinal Study of Ageing from Waves 1 to 8 (2002-2017). Frailty was defined across waves using the frailty index and categorised into robust, pre-frail and frail. We classified participants who improved their frailty category from Wave 1 (2002) to Wave 2 (2004) and sustained/improved category again into Wave 3 (2006) and compared them with those who were either robust or frail across Waves 1-3. Cox proportional hazard modelling was used to determine the risk of incident falls reported at Waves 4-8, with results expressed as hazard ratios and 95% confidence intervals.

分析にデータを提供した対象者は,Wave1~8(2002~2017年)のEnglish Longitudinal Study of Ageingに参加しておりました.

フレイルはフレイル指数を用いてウェーブ間で定義され,ロバスト,プレフレイル,フレイルに分類されております.

Wave 1(2002年)からWave 2(2004年)にかけてフレイルカテゴリーが改善し,Wave 3(2006年)にかけて再びカテゴリーが維持/改善した対象者を分類し,Wave 1~3にわたってロバストまたはフレイルであった対象者と比較しております.

Cox比例ハザードモデリングを用いて,Wave4-8で報告された転倒事故のリスクを測定し,結果はハザード比および95%信頼区間として表しております.

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

Results: Of 2,564 participants, 389 (15·2%) improved frailty category and sustained this during Waves 2-3, 1,489 (58·1%) remained robust and 686 (26·8%) remained frail during Waves 1-3. During the 10-year period (Waves 4-8), a total of 549 participants reported a fall. Compared with those who remained frail during Waves 1-3, those who with sustained frailty remission had a lower risk of future falls (HR 0·41; 95% CI = 0·36-0·45).

2,564例の対象者のうち,389例(15-2%)がWave2-3の間にフレイルカテゴリーを改善しこれを持続,1,489例(58-1%)がロバストを維持,686例(26-8%)がWave1-3の間にフレイルを維持しておりました.

10年間(Wave 4-8)の間に,合計549例の対象者が転倒を報告しております.

Wave 1-3でフレイルが残存した例と比較して、フレイルが持続的に寛解した例は,将来の転倒リスクが低い結果でありました(HR 0-41; 95% CI = 0-36-0-45).

 

 

 

 

 

 

 

研究の結論

Conclusions: Frailty remission is possible and can be sustained across 5 years. There is a lower risk of future falls in those who sustain frailty remission compared with those who remain frail.

フレイルの改善は可能であり,5年以上持続させることができることが明らかとなりました.

またフレイル改善例はフレイルのままの例と比べて将来の転倒リスクが低いことが明らかとなりました.

 

今回はフレイルを改善すると将来的な転倒リスクは減少するのかを考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきました.

当然といえば当然の結果ですが,一度フレイルに陥ったとしてもフレイルを改善すれば転倒リスクも低くなるということですね.

フレイル予防ももちろん重要ですが,一度フレイルに陥ってもそこから脱却するための方策が重要であることが示唆される結果ですね.

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