変形性膝関節症を進行させないためには身体活動量は減らした方が良い?増やした方が良い?

変形性膝関節症
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目次

変形性膝関節症を進行させないためには身体活動量は減らした方が良い?増やした方が良い?

変形性膝関節症例を理学療法士・作業療法士が担当する機会は多いと思います.

変形性膝関節症例に対して身体活動の指導を行う機会も多いと思いますが,変形性膝関節症例に対する身体活動量指導って難しいですよね?

身体活動量をあまり増やしすぎると変形性膝関節症例を進行させてしまうとも考えられますし,あまり身体活動量が少ないと軟骨代謝が減少し変形性膝関節症例を進行させてしまう可能性も考えられます.

実際のところ変形性膝関節症を進行させないためには身体活動量は減らした方が良いのでしょうか?それとも増やした方が良いのでしょうか?

今回は変形性膝関節症を進行させないためには身体活動量は減らした方が良いのか,それとも増やした方が良いのかを考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきます.

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今回ご紹介する論文

Original Article
Longitudinal Relationship Between Physical Activity and Joint Space Narrowing: Forty-Eight–Month Follow-Up Data From the Osteoarthritis Initiative
Bo Hu,DongBai Han,Michael C. Nevitt,Barton L. Wise,Neil A. Segal
First published: 07 January 2021

今回ご紹介する論文は2021年に掲載された論文です.

 

 

 

 

 

 

研究の目的

To determine whether the amount of physical activity (PA) is a determinant of joint space narrowing (JSN) worsening over 48 months in participants with knee osteoarthritis.

この研究では変形性膝関節症例における身体活動量(PA)が48ヶ月間の関節裂隙狭小化の決定因子であるかどうかを明らかにすることを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法

Data were obtained from the Osteoarthritis Initiative. PA, measured using the Physical Activity Scale for the Elderly (PASE), was defined as the mean value of the annual measurements conducted prior to development of worsening JSN. Worsening JSN was defined as at least a partial grade increase in the Osteoarthritis Research Society International JSN score over 48 months, in comparison with baseline. Restricted cubic spline function was used to group participants based on the linear association between PA and JSN worsening. A pooled logistic regression model was used to evaluate the association between PA and JSN worsening adjusted for confounders.

データはOsteoarthritis Initiativeから入手しております.

PASE(Physical Activity Scale for the Elderly)を用いて測定した身体活動量は,関節裂隙狭小化前の年間測定値の平均値として定義しております.

関節裂隙狭小化はベースラインと比較して48ヶ月間で変形性関節症研究会国際関節裂隙狭小化スコアが少なくとも1段階上昇したものと定義されております.

制限付き3次スプライン関数を用いて身体活動量と関節裂隙狭小化の線形関連に基づき対象者をグループ化しております.

プール化されたロジスティック回帰モデルを用いて,交絡因子で調整した身体活動量と関節裂隙狭小化の関連を評価しております.

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

A total of 2,167 participants were included. In total, 625 participants (28.8%) had JSN worsening over 48 months. Compared with a PASE score of 141–180, PASE scores of 101–140 and >220 were associated with an increased risk of JSN worsening in men, with odds ratios (ORs) of 1.73 (95% confidence interval [95% CI] 1.07–2.81) and 1.83 (95% CI 1.14–2.93), respectively. Similarly, in participants with Kellgren/Lawrence (K/L) grade 2, compared with a PASE score of 141–180, PASE scores of ≤100 and >220 were associated with increased risks of JSN worsening, with an OR of 1.69 (95% CI 1.13–2.54) and 1.64 (95% CI 1.05–2.56), respectively.

合計2,167例が対象となりました.

合計625例(28.8%)が48ヶ月間に関節裂隙が狭小化しておりました.

PASEスコア141-180と比較して,PASEスコア101-140および>220は男性における関節裂隙狭小化リスク増加と関連し,オッズ比(OR)はそれぞれ1.73(95%信頼区間[95%CI]1.07-2.81)および 1.83(95% CI 1.14-2.93)でありました.

同様にKellgren/Lawrence(K/L)グレード2の対象者PASEスコアが141-180の場合と比較して,PASEスコアが100以下と220超は関節裂隙狭小化リスク上昇と関連し,それぞれ1.69(95%CI 1.13-2.54)と1.64(95%CI 1.05-2.56)のORが示されました.

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結論

Compared to moderate PA, higher or lower amounts of PA are associated with an elevated risk for JSN worsening in men and in participants with K/L grade 2 knees.

中等度の身体活動量と比較して身体活動量が多いまたは少ない場合には男性およびK/Lグレード2の変形性膝関節症例における関節裂隙狭小化リスク上昇と関連していることが明らかとなりました.

今回は変形性膝関節症を進行させないためには身体活動量は減らした方が良いのか,それとも増やした方が良いのかを考えるうえで参考になる論文をご紹介させていただきました.

今回の結果から考えると変形性膝関節症例を進行させないためには身体活動量は多すぎても少なすぎてもいけないということになりますね.

身体活動量を適切に評価したうえで指導を行う必要があるでしょうね.

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