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膝蓋骨の可動域運動(モビライゼーション)は上下に動かすだけではダメ
膝関節可動域を獲得するために重要となるのが膝蓋骨の可動性です.
理学療法士・作業療法士であれば膝蓋骨のモビライゼーションを行う機会は多いと思います.
しかしながら膝蓋骨のモビライゼーションって上下に動かすだけで終わっちゃってませんか?
今回は効果的な膝蓋骨のモビライゼーションの方法についてご紹介させていただきます.
膝蓋骨の運動
膝蓋骨の運動ってどういった運動方向があるかご存じですか?
上下の動きのみならず,左右,そして3次元空間で膝蓋骨の可動性を引き出すことが膝関節の可動域拡大につながります.
今回は膝蓋骨のさまざまな方向の運動についてまとめてみたいと思います.
elevation
まずは基本的な動きですが挙上方向,つまり頭側への運動になります.
膝関節が伸展する際には膝蓋骨は挙上方向,つまり頭側へ動きます.
可動範囲はおおよそ1~2cmとされております.
depression
これも基本的な動きですが下制方向,つまり尾側への運動になります.
膝関節が屈曲する際には膝蓋骨は下制方向,つまり尾側へ動きます.
可動範囲はおおよそ8cmとされております.
尾側へはかなり動くんですよね.
glide
これも比較的モビライゼーションとしては行われることの多い動きです.
膝関節屈曲運動とともに膝蓋骨は内側へ動くことが知られております.
tilt
これは前後傾方向の動きです.
膝蓋下脂肪体に癒着や線維化があるとこの動きが制限されてしまうことが多いです.
膝関節屈曲60°で最大後傾し,膝関節屈曲角度が増加するとともに前傾することが知られております.
屈曲角度を拡大するためには前傾方向への動きを獲得することが重要となります.
coronary rotation
これも意外と知られていない動きですが水平面上での内外旋運動です.
膝関節屈曲25~115°の範囲で最大で約11°内旋することが知られております.
屈曲角度を獲得するためには水平面上での内旋運動が重要となります.
frontal rotation
これも意外と知られていない動きですが前額面上での内外旋運動です.
膝関節屈曲20~130°の範囲で最大で約7°内旋することが知られております.
屈曲角度を獲得するためには前額面上での外旋運動が重要となります.
膝関節屈曲運動時には膝蓋骨はどう動くのか?
屈曲時には以下の膝蓋骨の動きが必要となります.
下制(depression)
内方化(glide)
水平面上での内旋(coronary rotation)
前額面上での外旋(frontal rotation)
前傾(tilt)
膝関節屈曲可動域運動を獲得するために膝蓋骨の下制運動を行うことは多いと思いますが,膝関節屈曲角度を獲得するためには下制のみならずglide,coronary rotation,frontal rotation,tiltの動きを合わせて引き出すと効果的です.
今回は効果的な膝蓋骨のモビライゼーションの方法についてご紹介させていただきました.
上下のelevation・depressionの動きのみならず,tilt・coronary rotation・frontal rotation・tiltといった動きを引き出すことが膝関節可動域の獲得につながります.
皆様も膝蓋骨の可動域運動を行う際に参考にしていただけると嬉しいです.