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Coxitis kneeって?読み方は?
変形性股関節症例では股関節のみならず隣接関節である膝関節にも疼痛を訴えるクライアントが少なくありません.
このような股関節疾患に伴う同側または対側膝関節に生じる関節症や関節痛をCoxitis kneeと呼びます.
でも「Coxitis knee」って何て読むのでしょうか?
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいCoxitis kneeについて解説させていただきます.
Coxitis kneeはなんて読むの?
そもそもCoxitis kneeってどう読むのが正しいのでしょうか?
発音としては
カクサイティズ ニー
コクサイティス ニー
というのが正解です.
Coxitis kneeとは?
Coxitis kneeというのは股関節疾患に伴い,対側あるいは同側に二次性の変形性膝関節症(膝OA)を発症する病態です.
1974年にSmillieが初めて報告しておりますが.
様々なパターンがあることが報告されており,なかなか病態を理解しにくいのがこのCoxitis kneeの特徴でもあります.
国外で報告されている膝・股関節の隣接関節障害には,股関節内転筋拘縮により同側に生じる外反膝変形である狭義のCoxitis kneeや,脚長差と関連して反対側に生じる外反膝変形であるlonglegarthropathy,脚長差に伴い同側に外反膝,反対側に内反膝変形が起こるwind swept deformityなどがあります.
しかし,本邦では内反型の膝変形性関節症(OA)と寛骨臼形成不全性股関節OAの併発例が多く,上記のパターンに当てはまらないケースも存在します.
本邦におけるCoxitis kneeの3つのパターン
①変形性股関節症が先行(27.0%)
まず変形性股関節症が先行するタイプです.
これは最も古くに報告されたパターンで,著しい脚長差や内転拘縮によって,隣接関節障害のパターンをとります.
脚長差や内転拘縮
⇒反対側 or 同側の外反膝変形
⇒Wind swept deformity
こんなパターンが多いです.
②内側型変形性膝関節症 と形成不全性変形性股関節症が併存(57.8%)
本邦に最も多いのが内側型変形性膝関節症と形成不全性変形性股関節症が併存するタイプです.
加齢によって変形性股関節症の疼痛が顕在化することによって,同側の荷重が減少し,反対側の内側型変形性膝関節症が増悪するパターンです.
内側型変形性膝関節症の増悪は,上行性運動連鎖を介して骨盤を後傾させ,股関節における寛骨臼の骨頭被覆が減少することで変形性股関節症も増悪します.
このタイプでは,変形性股関節症と変形性膝関節症が互いに関節症の進行を助長している可能性があります.
そのため近年では変形性股関節症と変形性膝関節症に対して一期的にTKAとTHAが行われることも増えてきております.
加齢により変形性股関節症が顕在化
⇒同側の荷重減少により反対側内側型変形性膝関節症が増悪
⇒上行性運動連鎖を介して骨盤が後傾
⇒股関節で寛骨臼の骨頭被覆が減少
⇒形成不全性変形性股関節症の増悪
こんなパターンが多いです.
③内側型変形性膝関節症が先行(15.2%)
3つ目は,骨脆弱を伴う内側型変形性膝関節症で,変形性膝関節症が先行することにより,上行性運動連鎖を介して骨盤が後傾し,股関節の骨頭被覆率が低下し,変形性股関節症が惹起されます.
このタイプは内側型変形性股関節症によって変形性股関節症が惹起されており,Coxitis knee ではなくgonarthritis hipと考えるのが妥当かもしれません.
内側型変形性股関節症が進行
⇒上行性運動連鎖を介して骨盤が後傾
⇒股関節で寛骨臼の骨頭被覆が減少
⇒骨脆弱により骨頭軟骨下不全骨折が惹起
⇒変形性股関節症が進行
こんなパターンが多いです.
本邦においては変形性股関節症と変形性膝関節症が同時に進行する併存型が多いです.
そのため隣接関節へのメカニカルストレスを考慮した理学療法が求められます.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいCoxitis kneeについて解説させていただきました.
Coxitis kneeについてはまだまだ不明な点が多いのも実際です.
理学療法士・作業療法士は運動連鎖によって隣接関節へどのような影響が生じるかを考慮した上で介入を行う必要があるでしょうね.