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理学療法士・作業療法士が介助の際にズボンを引き上げるのってどうなの?
理学療法士・作業療法士の皆様は立ち上がりや歩行に中等度以上の介助を要する症例の介助ってどうされていますか?
昔からリハビリテーション室でよくみられる傾向としてクライアントのズボンを引き上げる介助の方法が挙げられます.
今回は理学療法士・作業療法士が介助の際にズボンを引き上げるのってどうなのかといったお話です.
重心に近いところを介助
理学療法士・作業療法士が自分自身に負担の少ない介助方法を考えるうえではクライアントの重心に近い部分を介助するのが最も効率が良いです.
ヒトの重心は第2仙椎のやや前方に位置しますので,重心に近い部分を介助するといった意味合いではズボンを引き上げる介助方法は理にかなっていると思われます.
クライアントは不快でしかない
しかしながらクライアントの立場で考えるとズボンを引き上げられるのって下着やズボンがお尻に食い込んでしまいますので,お尻が痛いですし,足底が少し浮いてしまう場合もあって起立しにくいし不快でしかありません.
外観の印象も良くない
皆様はご自身の家族が理学療法士・作業療法士にズボンを引き上げて介助されていたらどのように感じるでしょうか?
おそらくあまり良い印象を持たれない方が多いのではないでしょうか?
ズボンを引き上げる介助って傍から見るとかなり違和感がありますし,外観上の印象も良くありません.
職場によってはそれが当たり前になっているところもあるかもしれませんが,一般の方が見ても違和感を持たれる場合が多いでしょう.
失禁の原因にもなる
またズボンや下着を引き上げる介助の場合にはオムツのパッドがズレて失禁を引き起こす原因にもなります.
場合によっては理学療法士・作業療法士がズボンやオムツを引き上げることでオムツやズボンが破れてしまったなんてこともあるでしょう.
これはいただけませんね.
褥瘡の原因にもなる
さらにズボンを引き上げることでクライアントのお尻に局所的に圧が加わることになります.
局所的に圧が加わり続けることで褥瘡が発生する原因を作ってしまう可能性もあります.
理学療法士・作業療法士が褥瘡予防といってズボンを引き上げて起立練習をしていたら逆に傷を作って褥瘡を作ってしまったなんてこともあり得るわけです.
高齢者の皮膚は脆弱ですので特に注意が必要でしょう.
ゴムが緩くてズボンが落ちてしまうことも
場合によってはズボンのゴムが緩すぎてズボンが落ちてしまうこともありますよね.
こういった場合でも紐やゴムで外からズボンを固定する等の対応が必要でしょう.
ズボンが落ちてパンイチ状態になってしまったらこれはこれでインシデントものです.
今回は理学療法士・作業療法士が介助の際にズボンを引き上げるのってどうなのかといったお話でした.
クライアントのズボンを引っぱってはならないというのが常識になればよいですね.
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