目次
理学療法士・作業療法士がDr(ドクター)って名乗っていいの?
理学療法士・作業療法士なのに「Dr」として名乗っている方って一定数いらっしゃいますよね?
また医療業界に携わっていると,名刺交換をした際に「M.D.」「Ph.D.」などの肩書を目にすることも多いと思います.
また最近では動きのドクターとか動作分析のドクターなんて表現を使っている理学療法士・作業療法士がいたりします.
でもこの「M.D.」「Ph.D.」の違いってご存知でしょうか?
今回は理学療法士・作業療法士がDr(ドクター)って名乗っていいのかといったお話です.
goo国語辞書におけるDr
gooが提供する国語辞書によると「Dr」は以下のように定義されております.
1.博士.博士号.「―を取得する」
2.「ドクターコース」の略.
3.医師.医者.
「Dr」は医師や医者の意味の他に博士や博士号,博士号を取得する修了課程の意味で用いられることが分かります.
医師や医者の意味での「Dr」が3番目に出てくるといった点も大きなポイントですね.
そもそも「M.D.」「Ph.D.」って何?
そもそも「M.D.」「Ph.D.」ってどういった意味で用いられるのでしょうか?
まず基本的なところですがM.D.はDoctor of Medicineの略で,Ph.D.はDoctor of Philosophyの略となっております.
アメリカでは4年制大学卒業後に,大学院の4年制医学課程(専門職大学院の課程)を修了するとM.D.の称号が得られます.
Ph.Dは更に大学院課程を修了すると得られる称号になります.
つまり「M.D.」よりも,「M.D., Ph.D.」の称号を得る方が長期間かかるということになります.
日本ではどうでしょうか?
日本では各医科大学のカリキュラムでは
M.D.=修士(医科学),医学士
Ph.D.=博士(医学),医学博士
といった意味合いで使われていることが多いようです.
アメリカではメディカルスクールの修了(=専門職大学院の修了)でM.D.の称号が得られますが,日本では大学院卒でなくても医学部医学科の修了でM.D.の称号が得られます.
日本では論文博士や臨床研究などでも取得できる場合もありますが,Ph.D.は基礎医学系大学院修了者のみに与えられるのが海外では一般的です.
大まかにわかりやすく言えば日本では以下のように用いられている場合が多いでしょう.
医学部医学科修了(医師含む) =「M.D.」
医学部医学科修了者(医師含む)かつ医学系大学院修了= 「M.D.,Ph.D.」
医学部医学科修了していない者(非医学部修了)で医学系大学院修了 =「Ph.D.」
厳密に言えば医学部医学科を修了していても国家試験を受けていない等のために医師ではない方もいると思いますので,医師かどうかは大まかな目安ということになります.
学士・修士号はどう表現するの?
これらの学士・修士・博士号は世界共通の学位で,学士号はBachelor degree,修士号はMaster degreeと英語で表現します.
では「博士号」はなんと表現するかというと,「Dr.(ドクター)」と表現したり,「Ph.D.(ピーエイチディ)」と表現したりします.
例えば工学分野で博士号を取得した場合には,日本語では「博士(工学)」と名刺に記載されていることが多いでしょう.
一方で英語の場合は「Ph.D. 」と表現することが多いです.
場合によっては「Dr. of Engineering」と表現することもあります.
なおDoctor of Philosophyは日本語に直すと哲学博士のことを指します.
医学分野で博士をとっても表現としては哲学博士といった表現を用いているわけです.
これは不思議なのですが,もともと学問というのはギリシャにおいて哲学分野から始まったからと考えられています.
なお種類別に博士号を英語表記する際には以下のようになるでしょう.
博士(工学):Doctor of Engineering
博士(理学):Doctor of Science
博士(医学):Doctor of Medical Science
博士(薬学):Doctor of Pharmacy
博士(歯学):Doctor of Dental Science
博士(経済学):Doctor of Economics
博士(経営学):Doctor of Business Administration
博士(政治学):Doctor of Political Science
博士(商学):Doctor of Commercial Science
今回は理学療法士・作業療法士がDr(ドクター)って名乗っていいのかといったお話でした.
日本ではDr=Medical Doctorの意味が一般的になっておりますが,Ph.Dの場合にもDr(ドクター)ではありますので,Ph.Dを取得している場合には,理学療法士・作業療法士がDr(ドクター)と名乗ることも間違ってはいないということになりますね.
博士号も取得していない理学療法士・作業療法士が動きのドクターとか動作分析のドクターとか自称するのはどうかと思いますが…