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運動って本当に腰痛予防に有効なの?
理学療法士・作業療法士であればクライアントに対して運動不足だから腰痛が出現しているなんて説明をされることってありませんか?
でも本当に運動を行うことが腰痛予防につながるのでしょうか?
今回は運動が本当に腰痛予防に有効かどうかを明らかにした研究論文をご紹介させていただきます.
今回ご紹介する論文
J Pain. 2021 Sep 25;S1526-5900(21)00334-5. doi: 10.1016/j.jpain.2021.08.008. Online ahead of print.
Maintaining moderate or vigorous exercise reduces the risk of low back pain at 4 years of follow-up: evidence from the English Longitudinal Study of Ageing
Takaaki Ikeda 1, Upul Cooray 2, Masayasu Murakami 3, Ken Osaka 2
Affiliations expand
PMID: 34583021 DOI: 10.1016/j.jpain.2021.08.008
今回ご紹介する論文は2021年に掲載された論文です.
研究の背景
Few studies have examined whether maintaining moderate or vigorous physical activity (PA) reduces the risk of low back pain in older people. This study aimed to examine the magnitude of the associations of changes in PA on the risk of low back pain at 4 years of follow-up.
高齢者の腰痛リスクを軽減するために,中等度または高強度の身体活動を維持するかどうかを検討した研究はまだまだありません.
本研究では4年後の追跡調査で,身体活動量の変化が腰痛のリスクに与える関連の大きさを明らかにすることを目的としております.
研究の方法
We analyzed 4,882 participants in the English Longitudinal Study of Ageing who were initially free from low back pain (mean age, 65.6 ± 8.9 years at baseline). Self-reported PA, which was assessed at wave 6 (2012-2013) and wave 7 (2014-2015), was used as the exposure. The PA of the respondents was categorized into “no PA at all,” “up to moderate PA,” and “up to vigorous PA” groups. Self-reported moderate/severe low back pain assessed at 4 years of follow-up (2016-2017) was used as the outcome.
English Longitudinal Study of Ageingの参加者のうち,研究会s時には腰痛がなかった4,882人を分析対象としております(ベースライン時の平均年齢,65.6±8.9歳).
また第6調査(2012~2013年)および第7調査(2014~2015年)で評価した自己申告の身体活動を被曝要因として用いております.
回答者の身体活動は、「全く身体活動がない」,「中等度までの身体活動」,「活発な身体活動まで」の3つのグループに分類されました.
4年間の追跡調査(2016~2017年)で評価した自己報告による中程度/重度の腰痛をアウトカムとして用いております.
研究の結果
Maintaining moderate (relative risk [RR], 0.59; 95% confidence interval [CI], 0.36-0.99) or vigorous (RR, 0.46; 95% CI, 0.27-0.77) PA at least 1-3 times a month was negatively associated with prevalence of low back pain compared with no PA at all.
月に1~3回以上の中程度の身体活動(相対リスク[RR],0.59;95%信頼区間[CI]、0.36~0.99)または活発な身体活動(RR、0.46;95%CI、0.27~0.77)を維持することは,身体活動をまったく行わない場合と比較して腰痛の有病率と負の関連を認めました.
研究の考察
Interventions for maintaining either moderate or vigorous PA might be beneficial in preventing the incidence of low back pain in the older population.
この研究結果から高齢者の腰痛を予防するためには,中等度または活発な身体活動を維持するための介入が有効であると考えられます.
今回は運動が本当に腰痛予防に有効かどうかを明らかにした研究論文をご紹介させていただきました.
中等度もしくは高強度の運動習慣の2年間の維持が,4年後の腰痛発症リスクを減らすことを明らかにするということですね.
非常に長期にわたる縦断データで価値のあるデータですね.