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理学療法士・作業療法士の看護師・介護福祉士への介助指導は自己満足?
医療機関や介護施設の中で理学療法士・作業療法士が看護師や介護福祉士に向けて介助指導を行う機会があると思います.
例えば起き上がりの介助の方法であったり,移乗動作の介助の指導であったり,さまざまな介助方法に関して研修という形式で指導を行う機会も少なくありません.
このような理学療法士・作業療法士が看護師や介護福祉士を対象に介助指導を行う場合には,理学療法士・作業療法士の自己満足に終わらないような指導を行うことが重要となります.
今回は理学療法士・作業療法士の看護師・介護福祉士への介助指導が自己満足になっていることが多いといったお話です.
腰痛持ちの理学療法士・作業療法士も多い
看護師や介護福祉士は腰痛の有訴症率が高いことが知られておりますが,実は理学療法士・作業療法士の腰痛の有訴症率も高いことが明らかにされております.
ボディメカニクスを勉強した理学療法士・作業療法士でも結局のところ腰痛を発症する人は発症するというわけですね.
ただなんとなく他職種の間では,理学療法士・作業療法士は介助がうまいと思われていることが多いのも実際でしょう.
理学療法士・作業療法士の介助と看護師・介護福祉士の介助の大きな違い
実は理学療法士・作業療法士の介助と看護師・介護福祉士の介助には大きな違いがあります.
理学療法士・作業療法士の場合には,1人のクライアントに対して20~60分の時間をかけて介入することが可能です.
この20~60分の中で介助を行えばよいので,時間的にもかなり余裕があります.
一方で看護師や介護福祉士の場合には,短い時間内に何人も介助を行う必要があります.
そのため理学療法士・作業療法士のように細かいところに留意して介助を行うような余裕はないといった場合もあるでしょう.
したがって理学療法士・作業療法士が介助指導を行う場合には,看護師・介護福祉士は時間に制約された状況で介助を行う必要があるといった点に注意が必要です.
看護師・介護福祉士には短時間で行えて,かつ身体に負担のかからない介助方法が求められている点に注意が必要です.
いくら身体に負担の少ない方法であっても,かなり時間がかかってしまうような方法であると結局のところ役に立たず,理学療法士・作業療法士の自己満足に陥ってしまう可能性があります.
体格がいいからできるだけ?
理学療法士・作業療法士といえば看護師や介護福祉士に比較して男性の比率が多いのも特徴です.
もしかしたら理学療法士・作業療法士が介助がうまく行えるのは,この男女差に起因するところがあるかもしれません.
男性で力があれば,介助の方法がうまくなくとも介助って簡単に行えてしまうでしょう.
したがって介助指導の際は看護師・介護福祉士の体格や仕事の仕方を考慮した指導が必要でしょう.
力が弱い,体格が小さい看護師・介護福祉士でも行える解除の方法を指導することが重要となります.
そうでなければ役に立たない理屈ばかりの理学療法士・作業療法士の自己満足に終わってしまいます.
理屈はいいから…
理学療法士・作業療法士が看護師や介護福祉士に介助指導を行う場合にありがちなのが理屈を延々と話してしまうケースです.
モーメントがどうとか,質量中心がどうとかそういった話って看護師・介護福祉士からすればどうでもよいのです.
身体に負担の少ない介助の方法を分かりやすく指導してほしいだけなのに,理屈を長々と講義されても眠たいだけです.
理学療法士・作業療法士が看護師や介護福祉士に介助の指導を行う場合には,理屈は最小限にしてできるだけシンプルに伝えることが重要でしょう.
今回は理学療法士・作業療法士の看護師・介護福祉士への介助指導が自己満足になっていることが多いといったお話でした.
皆様ももし看護師や介護福祉士に介助の指導を行う機会があれば,時間を考慮する,体格を考慮する,理屈はいらないといった3点に注意して介助の指導を行ってみてください.
理学療法士・作業療法士の自己満足に陥ることの無いように注意したいですね.