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中医協で回復期リハビリテーション病棟における心大血管リハの要件化が議論される
来年度の診療報酬改定に向けた話が少しずつ出てきておりますね.
2021年7月8日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(入院医療分科会)で,回復期リハビリ病棟を取得する病院において,「心大血管疾患リハビリ料や呼吸器リハビリ料の届け出が少ない」ことも改めて議題に上がりました.
今回は中医協で回復期リハビリテーション病棟における心大血管リハの要件化が議論された件について考えてみたいと思います.
現在の回復期リハビリテーション病棟の施設基準
まず現在の施設基準の基本的なところですが,回復期リハビリ病棟の施設基準を取得するためには,「疾患別リハビリテーション料」,つまり心大血管疾患リハビリ料,脳血管疾患等リハビリ料、運動器リハビリ料,呼吸器リハビリ料のいずれかを届け出ていることが必要とされております.
基本的には「心大血管疾患リハビリ料や呼吸器リハビリ料の届け出」は必ずしも求められておらず,他の疾患別リハビリ料を届け出ていれば回復期リハビリ病棟の施設基準を取得できるわけです.
今回は,心臓疾患患者が増える中で心大血管疾患リハビリの実施が進むことが期待されるとして,回復期リハビリ病棟における新大血管リハビリの要件化に向けて,何らかの推進策を検討してはどうかと提案されています.
また議論の中で実際に「急性期から回復期の心臓リハビリによりFIM等が改善する」との研究結果も紹介されました.
心臓リハビリテーション対象者はFIM利得が小さい?
一方で「心大血管疾患リハビリが必要な患者では,脳卒中症例や運動器疾患の症例に比較すると,FIM利得が小さくなりリハビリ実績指数などで不利になるのではないか」といったコメントもなされております.
もし不利になれば「心大血管疾患リハビリの必要な患者」の受け入れが思うように進まず,「心大血管疾患リハビリの実施推進」をかえって阻害してしまう可能性を指摘されております.
この意見はごもっともな意見です.
心大血管疾患リハビリテーション料の施設基準はハードルが高い
心疾患患者が増加する今,回復期リハでも心臓リハビリテーションを普及させることには大きな社会的意義があると考えられます.
しかしながら心大血管疾患リハビリテーション料の算定ってまだまだ施設基準のハードルが高いのも実際です.
一から教育が必要な場合も多いですからね.
教育や施設基準取得に向けて準備をしても,FIM利得は下がるといった側面は否めませんので,なかなか施設基準取得に向けて動く施設が少ないのも実際でしょう.
地域によっては回復期リハビリテーション病棟の空床も目立つ
ただ一方で昨今は地域によって回復期リハビリテーション病床数が過剰な部分もあり,空床が目立つようになってきているところもあります.
そういった意味では対象者を拡大していくために心大血管疾患リハビリの実施を推進するというのは一つの方法でしょうね.
例えば次回の改定で心大血管疾患リハビリテーション料を算定する場合には,実績指数から除外するなんていう基準が設けられれば,心大血管疾患リハビリテーション料の取得に向けて動く施設は増えるでしょうね.
今回は中医協で回復期リハビリテーション病棟における心大血管リハの要件化が議論された件について考えてみました.
回復期の実績指数の評価をFIMからBIへといった話が盛り上がっておりますが,この心大血管リハビリテーション料の要件化についても今後の動きから目が離せませんね.