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新型コロナウイルスワクチンを接種しない理学療法士・作業療法士への差別
先日のニュース報道によると医療従事者の新型コロナウイルスワクチン接種率が70%を超えたようです.
医療機関で勤務する理学療法士・作業療法士の方の多くが既に2回のワクチン接種を終えられたのではないでしょうか?
私の所属施設でもそうでしたが,なかにはワクチン接種を行わないスタッフもいました.
これにはワクチンを接種しない理由には,持病や不安などさまざまな理由があるのでしょうが,問題となるのが新型コロナウイルスワクチンを接種しない理学療法士・作業療法士への差別です.
今回は新型コロナウイルスワクチンを接種しない理学療法士・作業療法士への差別について考えてみたいと思います.
ワクチンを接種しない者への差別
ニュースでも取り上げられておりましたが,新型コロナウイルスワクチンの接種が進む中で,「早くワクチン接種をしたい」といった声が目立つ一方で,持病やワクチンへの不安などから接種しないという方というのもいらっしゃいます.
基本的にはワクチン接種の判断は個人に委ねられていますので,接種するかしないかは医療従事者であっても自由なわけです.
しかしながら一部では,接種しない医療従事者を否定するような事態も起こっています.
差別は許されない
政府は国内外の数万人のデータから,新型コロナワクチンの発症を防ぐ効果などのメリットが,副反応などのデメリットよりも大きいとして接種を加速させています.
またワクチンの安全性について,厚生労働省の専門家部会は「重大な懸念は認められない」と発表しております.
一方でワクチン接種は法律で「努力義務」と位置づけられおり,厚生労働省も「接種は強制ではなく,あくまで本人の意思に基づき接種を受けるもの」と説明がなされております.
また法律の附帯決議には「接種していない者に対して,差別,いじめ,職場や学校等における不利益取扱い等は決して許されるものではない」と明記され,政府にこうした内容を周知するよう求めております.
接種しないなら退職を
医療機関によっては接種しない医療従事者に退職をせまるような事態も起こっております.
兵庫労働局によると,医療機関で勤務する看護師が新型ワクチン接種を断ったところ,勤務している医療機関から自己都合退職届の書類に署名するよう迫られたといった事態が報告されております.
さらに署名しなければ,自宅待機となり賃金も支払わないと伝えられたといいます.
最終的には,労働局が国の法律などを病院に説明して話し合いを促した結果,医療機関側が「理解不足だった」と認めて,看護師の雇用は継続されたということです.
このほか兵庫労働局には「ワクチン接種を拒んだら職場の上司から批判された」といった相談も寄せられているといいます.
これはひどい事態です.
表沙汰にはなっておりませんが,理学療法士・作業療法士の中にも接種を辞退したことで何かしらの差別や不利益を受けた方がいらっしゃるのではないかと思います.
接種しないと実習へも行けない?
また理学療法士・作業療法士の臨床実習についてもワクチン接種が必須となる可能性もあります.
看護の養成校では,ワクチンの安全性に不安を感じて接種するのが怖い学生が,接種しないと病院での実習を認めないと言われている状況もあります.
学生は実習にいけなくなると単位が取得できず,卒業できるのか非常に不安に感じているということです.
今後,接種が進み学生の接種が可能になれば,理学療法士・作業療法士の臨床実習でも医療機関側がワクチン接種証明書の提出を求める可能性も高いですよね.
つまりワクチン接種をしていない実習生は受け入れないなんてことが当たり前になってしまいそうですよね.
これって非常に問題だと思いますし,結局のところワクチン接種を強制することになってしまうと思います.
今回は新型コロナウイルスワクチンを接種しない理学療法士・作業療法士への差別について考えてみました.
ワクチン接種がどんどん進むのは良いことだと思いますが,非接種者への差別は絶対にあってはなりません.
早く収束をと願う気持ちはわからなくはありませんが,そういった思いが強くなればなるほど,ワクチンを接種しない人を差別的に扱うような風潮が助長されかねない危うさも感じます.