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疾患別リハビリテーション料を算定する際の開始と終了ってどこからどこまでが本当?
先日京都府の医療機関でリハビリテーション実施時間の不正のニュースが報道されました.
医療保険下でリハビリテーションに携わる理学療法士・作業療法士であれば,1単位20分といったルールの中で,クライアントに理学療法・作業療法を提供されていることと思います.
この場合に非常に解釈が難しいのが,疾患別リハビリテーション料を算定する際の開始と終了の定義です.
実際にどこからどこまでを疾患別リハビリテーション料の算定の時間に含まれるのでしょうか?
今回は疾患別リハビリテーション料を算定する際の開始と終了ってどこからどこまでが本当かどうかについて考えてみたいと思います.
①カルテで情報収集してカルテを書き終わるまで
まずクライアントを担当した場合には,診療録から情報収集をしますよね.
そして理学療法や作業療法を行った後に診療録に記録をします.
このカルテで情報収集をしてカルテを書き終わるまでの時間を疾患別リハビリテーション料の対象の時間に含めるといった考え方です.
これはもちろんNGですよね.
既に多くの医療機関の監査で,診療録の閲覧や診療録の記録の時間を疾患別リハビリテーション料の対象となる時間に含めてはいけないといった指摘がなされております.
②病室病棟ベッドに迎えに行ってから病棟病室ベッドに送るまで
これはどうでしょうか?
ベッドにクライアントを迎えに行ってから,最後に病室に送るまでの時間です.
例えば車椅子でリハビリテーション室へ移動する際を考えてみると,車椅子へ移乗するまでの起き上がりや立ち上がりも含めてリハビリテーション料の対象の時間に含めるといった考え方です.
確かに車椅子への移乗動作の評価や指導というのもリハビリテーションを行う上では重要ですのでこれはリハビリテーション料の対象となる時間に含めても問題ありません.
ただここで問題になるのはクライアントの自立度です.
起き上がりや移乗動作が自立しているようなクライアントの場合には,この起き上がりや移乗動作,しいてはリハビリテーション室までの移動時間をリハビリテーション料の対象の時間に含めるのは問題がある気もします.
エレベーター待ちで5分ロスとかけっこうあると思いますが,坐位が自立しているクライアントにとっては車椅子座位練習ということで疾患別リハビリテーション料の対象の時間に含めるのは問題があると思います.
③リハビリ室に入ってからリハビリ室を出るまで
これは非常に分かりやすいですが,リハビリテーション室に入ってから出るまでの時間を疾患別リハビリテーション料に含めるといったものです.
ただこれだと車椅子移乗に時間のかかるクライアントの場合には,かなりの時間ロスとなりますし,そもそもこの定義ですと,病棟でのADL練習というのはどのように扱われるのかも問題となります.
外来のクライアントや自立しているクライアントにおいては,このリハビリ室に入ってからリハビリ室を出るまでの時間というのが疾患別リハビリテーション料の対象となる時間と考えれば話は分かりやすいでしょう.
④血圧測定を終えて運動療法を開始してから運動後に血圧測定を行う前まで
最後はリスク管理のための血圧測定を疾患別リハビリテーション料の対象となる時間に含めるかどうかといった話です.
おそらく血圧測定の時間は疾患別リハビリテーション料の対象となる時間に含めている理学療法士・作業療法士がほとんどだと思います.
リスク管理の一環として行われる血圧管理も立派な理学療法・作業療法評価の1つですので,サービスとして含めるのは問題無いと考える理学療法士・作業療法士がほとんどでしょうね.
ただ血圧測定での時間稼ぎは問題でしょうね…
今回は疾患別リハビリテーション料を算定する際の開始と終了ってどこからどこまでが本当かどうかについて考えてみました.
明確な定義というのは存在しませんが,クライアントの状況によってもどこからどこまでを疾患別リハビリテーション料の対象となる時間に含めるのかは異なると思います.
結局なところ理学療法士・作業療法士が常識の範囲で,リハビリテーションサービスとして含めて良い時間かどうかを考える必要があるでしょうね.