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理学療法士・作業療法士も要注意 夏季休暇や年末年始休暇が公休でなく有給休暇に切り替えられているブラック病院が…
働き方改革関連法の施行によって,理学療法士・作業療法士も年に5日以上の有給休暇を取得することが義務付けられました.
なんとなくここ数年は有給休暇が取りやすくなった感はありますが,一方でそれまでの公休を有給休暇に切り替えて,有給休暇を5日以上取得したことにしているブラック病院があります.
今回は理学療法士・作業療法士も要注意 夏季休暇や年末年始休暇が公休でなく有給休暇に切り替えられているブラック病院について考えてみたいと思います.
「働き方改革関連法」によって新たに追加された内容
ご存じの方も多いと思いますが,働き方改革関連法の施行によって,年間10日以上の有給休暇が与えられた労働者は,年次休暇を付与した日から一年以内に最低でも5日間は取得することが義務付けられました.
この法案によって理学療法士・作業療法士の有給取得日数というのも以前に比較すると増えていると思いますが,一方で公休を有給休暇に変えるといったブラックな病院も出てきているようです.
働き方改革法案施工前までは,夏季休暇3日や年末年始が公休扱いであったのに,夏季休暇や年末年始の休暇が有給消化に切り替わっていたという悪徳商法が報告されております.
ちなみにこれらは就業規則の不利益変更にあたり違法となります.
元々の公休を有給休暇にあてることは可能?
結論を言うと,元々の公休を有給休暇にあてることは就業規則の不利益変更にあたります.
不利益変更というのは,病院や施設側が一方的に労働者に対して不利益になるような労働条件(賃金・労働時間・休暇・福利厚生など)に変更することをいいます.
まず休暇の定義ですが,そもそも休暇とは「労働義務が免除される日」であって,最初から労働義務の無い休日とは異なります.
つまり本来は働かなければいけない日に休んでもよいのが休暇にあたるわけです.
休暇はさらに法律で定められた「法定休暇」と,病院や施設が独自に定めている「法定外休暇」に分かれます.
法定休暇は年次有給休暇や産前産後休暇,育児休暇,介護休暇などが該当し,労働者から請求があれば病院や施設は取得させなければなりませn.
これに違反すると6ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられることになります.
夏季休暇や年末年始を有休にあてると不利益変更に
一方で法定外休暇というのは,夏季休暇や年末年始休暇,慶弔休暇,リフレッシュ休暇などが該当し,無くても違反にはなりません.
ただしこれらの休暇を定める場合は,必ず就業規則に記載する必要があります.
仮に年次有給休暇の5日取得を容易にするため、就業規則にあった法定外休暇を廃止して,年次有給休暇で対応させようとすると,これは不利益変更になります.
労働者にとっては休める日数が減ってしまうからです.
また時季指定権といって,自分の希望どおりに年次有給休暇を取得する権利を奪うことにもなります.
ここまで見てきたように元々の休暇の定義を考えても,公休を有給休暇にあてるのが問題であることが理解できます.
就業規則の変更が必要
本来であれば休暇付与について変更する場合はまず,就業規則を変更する必要があります.
就業規則は病院や施設が一方的に変更できるものではなくて,必ず労働者の過半数代表から意見を聴衆し,労働基準監督署で就業規則の変更を申請するときは,過半数代表による意見書が必要となります.
おそらくブラック病院ではこういった手続きを踏むことなく公休が有給休暇に変更されている可能性が高いですね.
今回は理学療法士・作業療法士も要注意 夏季休暇や年末年始休暇が公休でなく有給休暇に切り替えられているブラック病院について考えてみました.
もしこの記事を読まれている理学療法士・作業療法士の方で自分の職場がまさにこれに該当すると思われた方は,残念ですがそういった職場は早く辞めることも考えた方が良いですね.
職員の休暇を職員の許可なく奪うというのはひどすぎますので,そういった職場であまり長く勤務されるのはお勧めできませんね.