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理学療法士・作業療法士も知っておきたいCONSORT声明・STROBE声明・CARE声明
理学療法士・作業療法士の皆様はCONSORT声明・STROBE声明・CARE声明という用語を耳にされたことがありますか?
論文を投稿された経験のある理学療法士・作業療法士であれば,一度はこれらのCONSORT声明・STROBE声明・CARE声明に目を落とされた経験をお持ちだと思います.
実はこのCONSORT声明・STROBE声明・CARE声明というのは論文を投稿する立場の理学療法士・作業療法士のみならず,読者の視点としても非常に参考になります.
これらの声明を知っておくと論文を批判的に読むことができるようになります.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいCONSORT声明・STROBE声明・CARE声明についてご紹介させていただきます.
CONSORT声明とは?
まずCONSORT声明についてです.
日本語読みするとコンソート声明と呼びますが.
CONSORT(Consolidated Standards of Reporting Trial Statement)生命は,国際的に定められた臨床試験報告に対する統合基準のことであり,ランダム化比較試験(RCT)の報告内容の改善,読者の臨床試験の実施の理解,試験結果の妥当性の評価を,可能とすることを目的に発表されています.
重要なのはランダム化比較試験に関する声明であるといった点です.
1996年に初版コンソート声明が開発された後,改訂が繰り返されて現在の最新版はコンソート2010となっています.
コンソート声明は,25項目のチェックリストとフローチャートで構成され,ランダム化比較試験(RCT)の著者と査読者が出版のための原稿を同じように批判的吟味することが可能となり,明快かつ透明性の高い報告を支援する意義があると期待されています.
CONSORT声明のチェックリスト項目としては、以下のような内容が記載されています。
http://www.consort-statement.org/Media/Default/Downloads/Translations/Japanese_jp/Japanese%20CONSORT%20Statement.pdf
STROBE声明
次にSTROBE声明です.
先ほどのCONSORT声明は,ランダム化比較試験に関連した声明でしたが,STROBE声明は観察研究に関する声明です.
観察研究の報告の質を改善することを目的として,報告すべき項目をチェックリストとして作成されたものです.
多くの医学研究は観察研究であるにも関わらず,その研究の強みや弱み,および一般化可能性に関する記載が十分にされていることが少ないといわれています.
この声明は,論文の「タイトル」から「考察」に至る各項目に関連した22項目のチェックリストで構成されており,研究報告時に含めるべき内容が記載されています.
以下のページで日本語版をダウンロードすることも可能です.
またこの声明が推奨する研究デザインの範囲は,コホート研究,症例対照研究,横断研究という主要なデザインと定められました.この声明は観察研究の報告の質を向上させるための著者への支援となるだけでなく,雑誌の査読者,編集者,および読者が,論文の批判的吟味や解釈を行う上でも有用とされています.
http://www.jspe.jp/publication/img/STROBE%20checklist-J.pdf
CARE声明
上述したCONSORT声明やSTROBE声明に比較すると少しマイナーではありますが,CARE声明というものもあります.
これは症例報告に関する声明です.
理学療法士・作業療法士の場合には,症例報告を論文として投稿するといった場合も少なくありませんので,このCARE声明も非常に参考になります.
CARE声明というのは,症例報告の質を改善することを目的として,報告すべき項目がチェックリストとして作成されたもので,caseのcaと reportsのreを合わせて,CAREと名付けられています.
チェックリストは,タイトル,症例情報,臨床的意義,経過,評価,介入方法,フォローアップ,考察,介入に対する症例の主観,説明と同意など30項目で構成されています.
このチェックリストを活用することで,症例報告の構成を理解することができ,必要な情報が漏れなく正確に記載されることでより透明性の高い論文が増えることが期待されています.
CONSORT声明・STROBE声明・CARE声明を読むと何がわかるか?
論文を作成する際には作成前後で必ずこれらの声明を熟読することをお勧めします.
これらの声明に従って論文を記述すれば,論文をどう言った観点が記述するべきかが理解できますし,必要なエッセンスが漏れるということが少なくなります.
作成した自分の論文とこれらの声明を比較すると何が足りないかが見えやすくなります.
特に観察研究の場合には,研究デザインを組むうえでもSTROBE声明を読んでから研究計画を行うとバイアスや交絡への配慮ができますので,研究計画段階で読むのもよいですね.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいCONSORT声明・STROBE声明・CARE声明についてご紹介させていただきました.
理学療法士・作業療法士の皆様も時間がある時にぜひ一度CONSORT声明・STROBE声明・CARE声明を読んでみてください.
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