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運動機能障害のない高次脳機能障害のみのクライアントへの理学療法はエルゴメーターでOK?
脳卒中発症後のリハビリテーションにおいて,運動機能障害が軽度で高次脳機能障害が主体のクライアントを理学療法士が担当することってあると思います.
こういった症例に対して理学療法士って体力維持とか体力向上を目的とした理学療法を提供していることが多いわけですが,高次脳機能に対してはノータッチでもよいのでしょうか?
今回は運動機能障害のない高次脳機能障害のみのクライアントへの理学療法はエルゴメーターでOKかどうかについて考えてみたいと思います.
高次脳機能障害がメインのクライアントへの理学療法
高次脳機能障害がメインのクライアントへの理学療法って難しいですよね.
運動障害や感覚障害もなく歩行はフリーハンドで可能な場合に,理学療法士はどういった介入をされることが多いでしょうか?
おそらく廃用症候群予防といったうたい文句でエルゴメーターをこいでもらったり,ストレッチや筋力トレーニングを行うということが多いのではないでしょうか?
ただそれでいいんですかね?
確かに入院生活を強いられると廃用症候群が進行する可能性はありますが,優先順位から考えると高次脳機能障害を全く考慮すること無く,体力維持・向上を目的としたプログラムを行っていてもいいのでしょうか?
優先順位から考えると体力維持・向上を目的としたプログラムの優先順位って低いですよね.
高次脳機能障害は理学療法士の専門外?
そもそも高次脳機能障害って理学療法士の専門外だといった考え方もあります.
理学療法的には問題なので,あとは作業療法と言語聴覚療法でどうにかしてくださいって考え方です.
理学療法では体力維持・向上を図りますなんて理学療法士が多いのも実際ではないでしょうか?
高次脳機能障害に応じた練習が必要
理学療法士は作業療法士や言語聴覚士に比較して,高次脳機能障害について十分に教育を受けていない場合も少なくないと思いますので,プログラムがエルゴメーター駆動や筋力トレーニングが主体になるのもいたしかたないのかもしれませんが,理学療法士も高次脳機能障害に応じて練習を工夫することは可能ですよね.
例えば前頭葉機能の不活を目的とした二重課題下での動作練習とか,院内の案内図を見て目的地を設定して歩行練習を行うとか工夫の仕方はいろいろと可能だと思います.
クライアントの障害に応じてアイディアを考えていくのも理学療法士の仕事ですよね.
単位取得のために理学療法士が介入
特に多くの回復期リハビリテーション病院では,作業療法士・言語聴覚士に比較して理学療法士は手が余っていることが多いと思います.
一方で施設基準の取得のためにクライアント1名あたりの取得単位数を増やす必要がありますので,本来であれば作業療法士や言語聴覚士が密に介入すべきところが,単位合わせのために理学療法が9単位のうち4単位も入っているなんてこともあるようです.
これはクライアント目線で考えると勘弁してほしいですよね.
本質的にあまり必要でないサービスばかりを過剰に提供されて,必要なサービスが十分に受けられないというのはいかがなものでしょうか?
役割分担が重要
結局のところは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士間での情報共有や役割分担が重要だと思います.
理学療法士も作業療法士・言語聴覚士の評価結果をもとに,何ができるかを考えることが重要でしょうね.
理学療法士は自転車エルゴメーターや筋力トレーニングで体力維持・向上を図りつつ,高次脳機能障害に合わせてプログラムを工夫することができるのが理想でしょうね.
今回は運動機能障害のない高次脳機能障害のみのクライアントへの理学療法はエルゴメーターでOKかどうかについて考えてみました.
高次脳機能障害と一口にいっても様々な病態がありますが,理学療法士として何ができるかを熟考する必要がありそうですね.
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