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最近流行の胸郭に対するアプローチって本当に効果が得られるの?
理学療法士・作業療法士界隈で最近流行しているのが胸郭に対するアプローチです.
20年も前には運動器疾患に対する理学療法の中で胸郭に対してアプローチするなんて発想は皆無に近い状況でしたが,最近は胸郭にアプローチすることで姿勢に改善が得られ,膝関節の疼痛が改善するといった症例も多く経験します.
ただ高齢者の脊椎後彎変形ってかなり手ごわいですよね.
本当に胸椎・胸郭に対してアプローチして効果が得られるのでしょうか?
今回は高齢者の後彎変形に対する胸郭への介入の効果を明らかにした研究論文をご紹介させていただきます.
今回ご紹介する論文
J Phys Ther Sci. 2015 Apr;27(4):1161-4. doi: 10.1589/jpts.27.1161. Epub 2015 Apr 30.
Effect of thorax correction exercises on flexed posture and chest function in older women with age-related hyperkyphosis
Hyun-Jeong Jang 1, Myung-Jun Kim 2, Suhn-Yeop Kim 1
Affiliations expand
PMID: 25995579 PMCID: PMC4434000 DOI: 10.1589/jpts.27.1161
今回ご紹介する論文は2015年に掲載された論文です.
研究の目的
[Purpose] The purpose of this study was to determine the effects of thorax correction exercises on flexed posture and chest function in older women with age-related hyperkyphosis.
この研究では,加齢による脊椎後彎を合併した高齢女性に対する胸郭矯正を目的としたエクササイズが姿勢と呼吸機能にに及ぼす影響を明らかにすることを目的としております.
研究の方法
[Subjects and Methods] The study participants included 41 elderly women who were divided into a thorax correction exercise group (n = 20) and a control group (n = 21). Participants in the exercise group completed a specific exercise program that included breathing correction, thorax mobility, thorax stability, and thorax alignment training performed twice per week, 1 hour each session, for 8 weeks. Outcome measures included the flexed posture (thoracic kyphosis angle, forward head posture) and chest function (vital capacity, forced expiratory volume in a second, and chest expansion length).
対象は高齢女性41例となっております.
この41例を胸郭矯正運動群(n=20)と対照群(n=21)に割り付けております.
運動群については呼吸矯正,胸郭可動性,胸郭安定性,胸郭アライメントトレーニングを含む特定の運動プログラムを週2回,各回1時間,8週間実施しております.
アウトカム指標,姿勢(胸郭前弯角,前頭部姿勢)と呼吸機能機能(VC,1秒量,胸部拡張長)としております.
研究の結果
[Results] Participants in the thorax correction exercise group demonstrated significantly greater improvements in thoracic kyphosis angle, forward head, and chest expansion than those in the control group.
胸郭矯正運動群で対照群に比較して,胸郭前弯角,前頭部姿勢,胸部拡張長が有意に改善しております.
研究の結論
[Conclusion] This study provides a promising exercise intervention that may improve flexed posture and chest function in older women with age-related hyperkyphosis.
この研究結果から,胸郭に着目したアプローチは加齢に関連した脊椎変形を合併した高齢女性の姿勢と呼吸機能の改善に有用であることが示唆されます.
今回は高齢者の後彎変形に対する胸郭への介入の効果を明らかにした研究論文をご紹介させていただきました.
後彎変形に対しての介入の有効性が示されたのはわれわれ理学療法士・作業療法士にとっても心強いですね.
また姿勢やアライメントのみならず呼吸機能にもかいぜんが得られたというのは興味深いですね.
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