医療従事者の手抜きがADLを低下させる?

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医療従事者の手抜きがADLを低下させる?

理学療法・作業療法の目標の1つに日常生活動作能力(ADL)の改善が挙げられます.

ADLといえば「しているADL」と「できるADL」といった言葉が昔からありますが,実は「させないADL」ってのもありますよね?

「させないADL」が増えると,医療従事者は楽ができますが,クライアントのADLは上がりません.

転倒すると危険なのでといった漠然とした理由で「させないADL」の占める割合が大きくなっていませんか?

今回は医療従事者の手抜きがADLを低下させるのではないかといったお話です.

brown wooden doll on white ceramic toilet bowl

 

 

 

 

 

 

させないADLは危険回避のため?

最近は医療機関や施設における転倒・転落事故に関する訴訟事例も増加している状況です.

クライアントが転倒・転落で骨折でもすれば訴えられてしまう時代です.

保身のために「させないADL」の占める割合が大きくなってしまうのも理解できなくはありません.

安全性ばかりが優先されてしまうとADLって低くなってしまいます.

オムツ排泄だったら排泄動作中に転倒・転落する確率ってかなり低くなりますもんね.

ただ安全を盾にして医療者の手抜きが目的になってしまっているとすれば,それはそれで大きな問題でしょう.

 

 

 

 

 

 

 

 

医療従事者の手抜き

特に排泄何かを考えた場合には,排泄のたびにナースコールが鳴るとそれに対応しなくてはなりません.

オムツ内排泄で済ませれば,一定のタイミングでおむつを交換するだけで良いので看護や介護をするスタッフとしても楽ですよね.

家族にも転倒の危険があるのでオムツで排泄していただいていますなんて説明をしておけばよいわけです.

ただ理学療法士・作業療法士の立場としてはこれでは病棟での活動性は向上しませんし,クライアントのADLが上がるわけはありませんのでどうにかしたいですよね.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自立かオムツかではADLが上がるわけがない

理学療法士・作業療法士の立場としてはやっぱり「見守り」で動作を行う期間って絶対必要なんですよね.

排泄で考えれば,オムツか自立かといったやり方だとなかなかADLが上がりません.

オムツと自立の間にあるちょっとした介助や見守りの時期というのがADLトレーニングとしては最も重要なんですよね.

時間がかかっても,日常生活の中でクライアントを見守って日常生活動作能力を向上させるためのリハビリテーションを行っているんだといった認識を看護・介護スタッフにいかにもってもらうかが重要だと思います.

確かに時間はかかりますし,余計な仕事が増えるのは確かです.

ただ見守る時期を根気強く続ければ自立に繋がって,オムツ交換すら不要になるといった利点を理学療法士・作業療法士が看護・介護スタッフに理解してもらう必要があるでしょうね.

 

 

 

 

 

 

 

 

普段からの看護師・介護福祉士との関係性が重要

リハビリテーションの視点を看護師・介護福祉士に理解してもらうためには,普段からの理学療法士・作業療法士と看護師・介護福祉士との関係性やコミュニケーションが非常に重要となるでしょう.

ここがうまくいかないと結果としてオムツか自立かといった話になってしまいます.

忙しい中でナースコールに対応するのはストレスなのは分かりますが,「させないADL」の割合が増えてしまわないように,見守りを続けることによる将来的なインセンティブを十分に理解してもらう必要があるでしょうね.

 

今回は医療従事者の手抜きがADLを低下させるのではないかといったお話でした.

SNS上で話題となった「させないADL」といった用語ですが,「できるADL」,「しているADL」と合わせてリハビリテーション関連の書籍の中に掲載してもらって標準化してもらうのが「させないADL」の割合を減らすことにつながるかもしれませんね.

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