目次
クライアントはどこの病院でも同一のリハビリを行ってもらえると思っている?
私も医療職として働くまでは,医療機関というのはどこの病院に行ってもある程度一定の質の医療が提供されているものと考えておりました.
リハビリテーションにおいても,どこの病院でリハビリテーションを受けても最低限のサービスが受けられるというのが当然だと考えておりました.
ただ理学療法士・作業療法士として働く中で分かったことですが,特に理学療法や作業療法の質に関しては病院間または担当理学療法士・作業療法士間でかなりの格差が存在するのも実際です.
今回はクライアントはどこの病院でも同一のリハビリを行ってもらえると思っている件について考えてみたいと思います.
プロフェッショナルであれば
理学療法士・作業療法士も国家資格を持ったプロフェッショナルです.
プロフェッショナルであれば,一定以上のサービスを提供できると考えるのが通常でしょう.
医療従事者以外の一般の方が,どこでも同等のサービスを受けられると考えるのも無理はありません.
私自身も医療職として病院で働くまではどこも大体同じ治療をしてくれると思っておりました.
病院格差が大きい
ただ実際のところはそうではありません.
まず理学療法士・作業療法士個人間の格差よりも最も大きいのが病院間の格差です.
なぜ病院間の格差が生じるのでしょうか?
理由は簡単です.
教育が十分になされないからです.
最近は理学療法士・作業療法士が勤務するリハビリテーション部門でも系統的な教育システムが構築されている医療機関も増えておりますが,小・中規模のリハビリテーション部門では教育はまだまだ個人任せというところがほとんどでしょう.
つまり指導者にあたった理学療法士・作業療法士が研鑽を積んでいないような方の場合には,それなりの教育しか受けられないということになります.
また指導を受けた新人理学療法士・作業療法士がいずれは指導者になるわけですから,そのまま不十分な教育内容が引き継がれるということになってしまいます.
このようにリハビリ関連の医療職に就いていえるのは,病院間格差が非常大きいということです.
仮に何らかの疾病を罹患しリハビリテーションを受ける場合には,病院の情報を得たうえできちんとしたリハビリテーションサービスを受けられる医療機関を選択することが重要です.
救急指定病院の場合には,病院を選択することは難しいですが,最近は回復期リハビリテーション病院なんかはクライアントの選択肢も増えており,クライアントが病院を選ぶ時代になってきております.
病気を患ってしまったら,地域のどこの病院でリハビリテーションを受けたいか,元気な時から情報収集しておいた方が良いですよね.
リハビリテーションというのは後の人生の質に関わる大切な要因ですからね.
病院間格差までは情報収集できても
これだけ情報があふれる時代ですから,病院間格差についてはそれなりに把握できます.
臨床教育に力を入れている医療機関であれば,学会や論文公表をしている医療機関も多いですので,Googleで少し検索すれば病院間の格差というのは明らかです.
頑張っている病院とそうでない病院はすぐにわかりますよね.
ただ難しいのが個人差です.
理学療法士・作業療法士の場合には,誰が担当になるかなんていうのはその時の運でしかありません.
セラピストガチャなんて言葉が一時流行しましたが,残念ながらハズレガチャにあたってしまうこともあるでしょう.
指名制を取っている医療機関なんてほとんどありませんから残念ながらハズレの理学療法士・作業療法士に当たることもあるでしょうね.
これは非常に難しい問題です.
リハビリテーションほど標準化されていない医療行為もない
またリハビリテーションほど標準化されていない医療行為もありません.
理学療法や作業療法に関連するガイドラインも出ておりますが,そもそもガイドラインに則った理学療法・作業療法を行う理学療法士・作業療法士も少ないですし,ガイドラインそのものにあまり有益な情報が掲載されていないのも実際です.
担当理学療法士・作業療法士によって提供されるサービスもまちまちなわけです.
今回はクライアントはどこの病院でも同一のリハビリを行ってもらえると思っている件について考えてみました.
こう考えるとまずは理学療法士・作業療法士の底上げは喫緊の課題でしょうね.
上を伸ばすというよりは最低限の質のサービスを提供できるような体制を作るべきでしょうね.
コメント