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理学療法士・作業療法士なら介助ができて当たり前 全介助ハラスメントの闇
理学療法士・作業療法士といえばボディメカニクスの専門家とも称されます.
そのため昔から理学療法士・作業療法士であればクライアントの介助を独力で行えて当然だといった考え方があります.
介助もロクにできない理学療法士・作業療法士や,動作介助で腰痛を発症するような理学療法士・作業療法士はプロフェッショナル失格だといった見方もあります.
ただ実際問題,自分の体重よりも重いクライアントを独りで介助するのってかなり厳しいですし,身体を壊す原因にもなりますよね.
今回は理学療法士・作業療法士なら介助ができて当たり前だといった全介助ハラスメントの闇について考えてみたいと思います.
新人理学療法士・作業療法士の大部分が発症する腰痛症
新人理学療法士・作業療法士の多くが入職後1年以内に腰痛症を発症します.
場合によっては,入職して数ヵ月で椎間板ヘルニアを発症し,手術を余儀なくされるなんて話も聞きます.
理学療法士・作業療法士の場合には,全介助や重度介助のクライアントの動作介助も独りでやれて当然みたいな考え方が当たり前になってますので,動作介助に際して他者の支援を依頼しにくいといったところがあります.
そのうえ,新人理学療法士・作業療法士が腰痛を発症すると,移乗介助の方法がなってないなんてマウントをとる先輩理学療法士・作業療法士が多いんですよね.
介助ができる理学療法士・作業療法士が仕事ができる?
上述したように,われわれの業界では理学療法士・作業療法士は動作介助が独りでできて当たり前といった考えが当たり前になっておりますので,介助が出来る=仕事が出来るといった誤った公式が成立してしまうのです.
全介助や重度介助のクライアントの移乗介助を独りで安全に行うことができる理学療法士・作業療法士が仕事ができるみたいな感じが多いですよね.
結局,頭は空っぽでも身体が大きくて移乗介助ができれば組織にも重宝されますし,仕事ができる理学療法士・作業療法士と評価されるわけですね.
一方で小柄の女性理学療法士・作業療法士なんかは動作介助がうまく行えず,仕事ができない理学療法士・作業療法士といったレッテルをはられてしまいます.
普通に考えればわかることですが,介助者の身長や体重が異なりますので,全員が全員,ボディメカニクスを理解していれば同じ理屈で介助ができるなんて話にはなりませんよね?
無理せず助けを呼ぼう
介助に自信がない理学療法士・作業療法士は無理せず助けを呼ぶことが重要です.
クライアントを転倒させてしまえば元も子もありませんからね.
また職場内でお互い助け合おうといった雰囲気を作ることも職場管理者の視点としては重要でしょうね.
ヨーロッパでは全介助・重度介助の移乗介助については独りで介助することが法律で禁じられていることが多いです.
最近はシーティングの研修会なんかでも2人介助を推奨しておりますし,書籍なんかでも2人介助の方法なんかも紹介されております.
少しずつこの業界の独りで介助ができるのがプロフェッショナルといった考え方が変わってきている印象は持っておりますが,職場によってはまだまだでしょうね.
医療機関であれば他の理学療法士・作業療法士に補助を依頼をすればよいですし,施設でも看護師や介護福祉士に,在宅であれば家族に補助を依頼できればよいですね.
クライアント本人が安楽に動作介助を受けられる
また何よりクライアントが安楽に介助を受けられるといった視点も重要です.
大柄な理学療法士・作業療法士に引きずりまわされるように車椅子に乗せられるよりも,2人介助で安楽に以上できた方が良いですからね.
今回は理学療法士・作業療法士なら介助ができて当たり前だといった全介助ハラスメントの闇について考えてみました.
小柄な女性理学療法士・作業療法士に移乗介助を強制したり,腰痛を発症した若手理学療法士・作業療法士に移乗介助を強制するのはもやはハラスメントです.
職場内できちんと助け合えるルール作りができるとよいですね.
また介助に不安があるときには必ず助けを呼びましょう.
自分が身体を壊してしまえば,もっともっと職場やクライアントにも迷惑をかけることになりますからね.
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