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約8万人のリハビリ難民を生む訪問看護ステーションの人員配置基準に対して3 協会が合同声明文を発表 日本理学療法士協会が署名活動も開始
もう既にご存じの方も多いと思いますが,来年度の介護報酬改定における訪問看護ステーションの人員配置基準に対して日本理学療法士協会・日本作業療法士協会・日本言語聴覚士協会が合同声明文を出しました.
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の今後の雇用を考える上で今回の改定は大きなものとなりそうです.
これに対して日本理学療法士会では早速会員に署名活動を要請しております.
今回は3協会から出された訪問看護ステーションの人員配置基準に対する合同声明文に関して考えてみたいと思います.
日本理学療法士協会からの発表(HPより)
現在,令和3年度介護報酬改定に向けての議論が厚生労働省で行われています.
訪問看護においては,一部の事業所でリハビリテーション専門職の配置割合が高いことが俎上に載せられ,看護職員の配置割合を6割とする方針が示されています.
日本理学療法士協会の調査では,この制度改正により,介護保険利用者だけでも約8万人の方が,サービスを受けることができなくなり,理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は約5千人が雇用を失うと見込んでいます.
以上を踏まえまして,本会は日本作業療法士協会,日本言語聴覚士協会と協議の上,3協会合同で国民のニーズに応じられる柔軟な制度改正を行うことを求める声明文を発表いたしました.
どのくらいの影響があるのか?
実際に看護職員の配置割合が6割以上となると現状でどのくらいの影響があるのでしょうか?
影響を受ける利用者数:77,971人
影響を受ける事業所数:1,555件
影響を受ける理学療法士等の人数:5,370人
こんな感じです.
冒頭の8万人というのはこの77,971人といった推計から出されたものですが,非常に多くの利用者に影響が及ぶことが分かります.
また驚くべきは職を失う可能性のある理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の数が5,000名を超えるといった点です.
改めてこれは恐ろしい改定になりますね.
訪問看護ステーションにおける人員配置基準の新設に関する声明文
以下が実際に出された声明文です.
1.看護職員を6割以上とする要件を設けることの課題について
課題1.理学療法士,作業療法士,言語聴覚士による訪問看護は,看護職員の代わりに訪問させるという位置づけのものです.サービスの選択は,地域(住民)のニーズによるものであり,今回の人員配置基準の新設は,国民の訪問看護に対するニーズを排除した制度改正となります.
課題2.約8万人の利用者(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士による訪問看護を受けている国民の約2割)はサービスを受けることが出来なくなります.
課題3.理学療法士,作業療法士,言語聴覚士は約 5 千人(訪看1-5の業務を行っている者の約3割)が雇用を失います.
2.訪問看護ステーションにおける人員配置基準の新設に関する意見について
理学療法士,作業療法士,言語聴覚士が極端に多く,本来の訪問看護ステーションの役割を果たしていない事業所については,個別に規制を行うことが重要です.
全国一律な人員配置基準は,中山間地域や島しょを含む地域(住民)のニーズを排除するものであり,地域包括ケアシステムの理念に大きく反します.
人員基準は現状のままとし,国民のニーズに応じられる体制を保持することを求めます.
なお,コロナ禍において国民は訪問系サービスを選択している状況も踏まえ,国民や現場に混乱が生じないように,丁寧な制度改正を行うことを求めます.
3.理学療法士,作業療法士,言語聴覚士が極端に多くを占める事業所について
理学療法士,作業療法士,言語聴覚士による訪問看護は,その地域(住民)のニーズに応じてほとんどの訪問看護ステーションでは適正にサービス提供されている中,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士が 80%以上を占める施設が 0.4%(約 40 施設)存在することを懸念する意見が多く出されています.
日本理学療法士協会,日本作業療法士協会,日本言語聴覚士協会においては,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士による訪問看護に偏り,本来の訪問看護ステーションの役割を果たせなくなることがないように,ガバナンスの形成等を行い,各医療関係団体と協力をしながら,国民の生活保全の一翼を担うことが重要であると考えています.
故に,人数等の規制を行うことは不適切と言わざるを得ません.
4.現場の理学療法士,作業療法士,言語聴覚士への配慮について
介護給付費分科会の事務局資料では,看護職員の代わりに訪問している理学療法士,作業療法士,言語聴覚士による訪問看護の増加を,まるで否定するかのような資料が提示されています.
看護師が管理をする訪問看護事業所に雇用をされ,地域(住民)のニーズに応じて日々真剣に利用者と向き合っている現場の理学療法士,作業療法士,言語聴覚士の士気を下げるような資料を厚生労働省の事務局が作成することは誠に遺憾であり,今後は国民のニーズに応じた,中立公平な議論をすることを望みます.
3協会の迅速な声明にあっぱれ
まず今回の3協会の対応というのは非常に早かったと思います.
事態が事態だけに迅速に対応いただいた3協会にあっぱれです.
日本理学療法士協会のみならず作業療法士協会・言語聴覚士会も絡むことですのでここまで迅速に声明文を出せたのは素晴らしいですね.
署名活動も開始
今回は声明文に加えて早速署名活動も開始されております.
以下が11月20日付で会員に対して送付された署名活動に関するメールです.
平素よりお世話になっております.
日本理学療法士協会事務局職能課でございます.
現在,厚生労働省で行われている令和3年度介護報酬改定に向けての議論のうち,検討されている訪問看護ステーションにおける制度改正により,介護保険利用者だけでも約8万人の方がサービスを受けることができなくなり,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士は約5千人が雇用を失うと見込んでいます.
そこで,国民のニーズに応じられる柔軟な制度改正を行うことを求めるための署名活動で国民の声を届けたいと思っております.
つきましては,下記の内容をご確認のうえ,第1次締切り11月30日(月)までに,間に合わない場合は第2次締切り12月6日(日)までに利用者様・家族様は紙面での署名,医療専門職,一般国民の皆様はインターネット署名のほどよろしくお願いいたします.
サービスを受けているご利用者様やご家族様,医師やケアマネジャー等の医療・介護関係者の皆様に今回の趣旨をご説明の上,署名活動にご協力を賜りますよう,何卒よろしくお願い申し上げます.
署名活動の開始も非常に迅速で日本理学療法士協会の本気が伝わってきますね.
声明文ってどこまで効力があるのか?
ただこの声明文や署名にどこまで効力があるのかといった疑問も生じます.
結局しわ寄せが行くのはリハを必要としているクライアントだと思いますので,どうにかしてほしいと願うばかりです.
いずれにしても来年度の改定に向けて人員配置を見直す訪問看護ステーションが多くなると思いますし,これまで転職先として人気のあった訪問リハビリ分野ですが,転職にあたっては人員配置について十分に把握することが重要となるでしょうね.
いずれにしても今後の動向をみながら転職を考慮する必要あるでしょう.
ただ転職先の訪問看護ステーションの人員配置に関する情報ってなかなか得られないことが多いと思いますので,そういった場合には転職サイトを利用するのも一つでしょう.
現状の看護師とリハビリテーション専門職の配置割合の情報を得た上で,看護職員割合の高い訪問看護ステーションへの転職を考えた方が良いでしょうね.
ここでは私がお勧めする転職サイトをいくつかご紹介させていただきます.
マイナビ
マイナビは転職サイトの大手ですので知らない方はいらっしゃらないかもしれませんが,理学療法士の求人数も5000件を超えているマンモス人材バンクです.
転職を考えておられるのであれば,ここは確実に押さえておきたいですね.
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理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の各職種専門のアドバイザーが専任で担当してくださいますので,要望のヒアリングから入職まで トータルで転職をサポートしてくださいます.
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【リハのお仕事】
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PTOTキャリアナビ
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