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起居動作=寝返り・起き上がりだと思っている理学療法士・作業療法士が危険
起居動作という言葉は理学療法士・作業療法士が仕事する中で使用する頻度の高い言葉の1つだと思います.
ただ先日,ある若い理学療法士と話していて気付いたのですが,どうも起居動作というのは寝返り・起き上がり動作だけを指すものだと認識している理学療法士が多いようです.
今回は理学療法士・作業療法士であれば正しく知っておきたい起居動作の定義について整理してみたいと思います.
基本動作とは?
釈迦に説法にはなりますが,まずは基本動作についての定義を見直してみたいと思います.
基本動作というのは,寝返り・起き上がり・ベッド上の移動・坐位・立ち上がりなどの「起居動作」と,便器・車椅子等への「移乗動作」,歩行などの「移動動作」に分類できます.
当たり前の話ですが今回取り上げている起居動作というのは基本動作の中の1つの要素ということになります.
起居動作とは?
起居動作はどのように定義されているのでしょうか?
起居動作は重心の位置を水平方向や垂直方向に移動し,支持基底面の広さが刻々と移り変わる不安定な平衡状態から,安定した合目的的な静的姿勢を構築する一連の動作過程と定義されます.
具体的には起居動作には,寝返り,起き上がり,椅子や床からの立ち上がり動作などが含まれます.
ここで重要なポイントは,寝返り,起き上がりのみならず,立ち上がり,座り込みを含んだ概念であるといった点です.
また立ち上がり,座り込みに関してはベッドやイスからの立ち上がりに限定されるものではなく,布団や床からの立ち上がり動作も含まれるといった点に注意が必要です.
ちなみに「起居」という言葉にはどういった意味があるのでしょうか?
辞書では「き‐きょ【起居】」は以下のように定義されております.
1.立ったり座ったりすること.立ち居.「起居進退」
2.日常の生活.起き伏し.「起居を共にする」「仮宿舎に起居する」
3.ふだんのようす.動静.「書簡で起居安否を問う」
こんな感じです.
辞書でも起き上がり,立ち上がりといった動作が含まれており,広い意味では「ふだんのようす」までも含む概念であるといったわけです.
起居動作は自立レベルなんですけど立ち上がりができない?
起居動作には立ち上がりや座り込みといった動作が含まれるといった点については上述したとおりですが,起居動作=寝返り・起き上がり動作と理解している理学療法士・作業療法士は,「起居動作は自立レベルなんですけど立ち上がりができない」なんて表現をしてしまうわけです.
起居動作に立ち上がり動作が含まれていることを考えると,起居動作が自立しているのに立ち上がりができないといった表現は矛盾していると言えるでしょう.
今回は理学療法士・作業療法士であれば正しく知っておきたい起居動作の定義について整理してみました.
言うまでもなく理学療法士というのは基本的動作能力を改善することに主眼を置いてアプローチを行うことが多いと思います.
基本動作の専門家として,基本動作の1つである起居動作の意味を正しく理解しておきたいですね.
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