目次
携帯酸素ボンベへの付け替えや流量調整を理学療法士・作業療法士がやってもいいの?
急性期医療機関に関わらず,理学療法士・作業療法士が酸素吸入を行いながら生活されているクライアントを担当する機会というのは少なくないと思います.
生活期でも在宅酸素療法をされている方を担当する機会というのはけっこう多いと思います.
ここで問題になるのが病室や在宅酸素の配管から酸素ボンベへ付け替える際の操作って理学療法士・作業療法士が行っても問題ないのでしょうか?
今回は携帯酸素ボンベへの付け替えや流量調整を理学療法士・作業療法士がやってもいいのかについて考えてみたいと思います.
施設配管から携帯用酸素ボンベへの付け替え
基本的に施設配管から携帯用酸素ボンベへの付け換えに何らかの資格が必要であるといった法律はありません.
場合によってはクライアント自身が付け替えを行ってトイレへの移動を行っている場合もありますし,在宅酸素療法を行っている方が外出時にボンベへの付け替えを行っていることも少なくないでしょう.
あとは施設内でのルール作りだと思います.
医師の指示の下で,酸素流量を変更せずに付け替えをすることはきちんと教育がなされていれば問題無いと認識で運用している職場が多いのではないでしょうか?
酸素流量は変更してもよいのか?
施設配管から携帯用酸素ボンベへの付け替えについては一定のルールの下で理学療法士・作業療法士が行うこともあるでしょうが,酸素流量の変更というのはどうでしょうか?
運動療法を行っていると運動負荷が加わることで酸素化が悪くなる方というのも結構いらっしゃると思います.
こういった場合に,理学療法士・作業療法士が酸素流量を変更するのってありでしょうか?
酸素流量というのは酸素療法という治療手段であり,理学療法士・作業療法士がまたは看護師の判断で変更することはあってはなりません.
例えSpo2を測定していたとしても,経皮的酸素飽和度は動脈血酸素濃度を的確に示してはおりませんし,酸素解離曲線は右にも左にも体内環境によってシフトしてしまいます.
したがって運動時にSpo2が常に90%以上あるからといって末梢組織まで十分な酸素が供給されているかどうかはわからないわけです.
流量を変更することがあるとすれば,事前に医師から運動時SpO2が90%以下になれば酸素流量を上げてもよい(上限3L)といったような指示をもらっておくことが重要です.
理学療法士・作業療法士が勝手に酸素流量を変更することは違法行為にあたります.
酸素ボンベの残量を掲載して使用できる時間を割り出しておくとよい
もう1つ,酸素ボンベを使用する時に注意しておきたいのが酸素ボンベの残量です.
運動療法中に酸素ボンベが空っぽになってしまったではまずいので,酸素ボンベの残量を計算して時間を割り出しておくことをお勧めします.
ボンベの容量と充填圧で計算できますので,容量がいくらあれば何リットルで何分使用できるといったあたりを表で確認できるような運用が理想でしょうね.
今回は携帯酸素ボンベへの付け替えや流量調整を理学療法士・作業療法士がやってもいいのかについて考えてみました.
酸素療法を行っているクライアントを担当する機会というのは非常に多いと思いますので,職場の酸素ボンベの取り扱いについてルールをきちんと確認しておきたいところですね.
コメント