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回復期リハビリテーション病棟におけるFIMの評価に動画撮影が追加される?
既に2022年度の診療報酬改定に向けた動きが進んでおります.
2022年度診療報酬改定に向けたリハビリテーション関連の動きの中で回復期リハビリテーション病棟におけるFIMの評価に動画撮影を追加してはどうかといった話題が出てまいりました.
今回は2022年度診療報酬改定では回復期リハビリテーション病棟のFIMの評価に動画撮影を追加することが有益か否かについて考えてみたいと思います.
2020年10月8日の日本慢性期医療協会によるオンライン記者会見
2020年10月8日に日本慢性期医療協会がオンライン記者会見を行いました.
このオンライン記者会見の中で回復期リハビリテーション病棟のおけるFIMの評価に関して議論がなされております.
実績指数とFIM
御承知のとおり,回復期リハビリテーションでは実績指数によって入院料が決まるシステムとなっております.
この実績指数というのは計算式が複雑ではありますが,結局のところ入棟から退院までの間にどれだけFIMが改善するかが非常に重要となります.
FIMの変化量が重要となるわけです.
イメージ的にはFIMの変化量を大きくすればするほど入院料が高くなるわけです.
FIMの変化量を大きくするためには入棟時のFIMを低く採点すれば簡単に変化量を大きくできちゃうわけですね.
実際に過去の調査でもリハビリテーション実績指数に関して,ベースとなるFIMの評価について,一部に不適切な操作がなされていることが指摘されております.
つまり入棟時のFIM評価を実際よりも低く記録するなどの操作が行われている可能性があるといった指摘です.
動画撮影でFIMを客観的に検証
今回のオンライン記者会見の中ではこの不適切なFIMの祭典に関して,実際に不適切事例が今後も生じるようであれば,より厳格な見直しが求められると言及されております.
その一つの打開策として,動画撮影を行って客観的に検証できる仕組みとしてはどうかといった提案がなされているのです.
確かにいまやタブレットやスマートフォンなどでも手軽に動画撮影が可能ですので,現実的に可能な部分も増えてきているでしょう.
2022年度の次期診療報酬改定で論点になる可能性もありそうです.
これは非現実的?
ただ実際の運用を考えてみるといろいろと難しい部分も出てきそうです.
まずセキュリティの問題です.
動画情報の管理も大変になりそうですし,何より業務が煩雑になりそうな印象です.
加えて移動や車椅子・椅子・ベッドへの移乗等は動画撮影が可能かもしれませんが,清拭とか排泄とか更衣とか,常識的に考えると動画撮影が困難な日常生活動作って多いですよね.
下手したらFIMの運動項目の半分くらいは動画撮影が現実的には難しいのではないでしょうか?
また運動項目は動画撮影で済むかもしれませんが,認知項目なんて動画撮影で客観的に評価するのって難しいですよね.
特に社会的交流・問題解決・記憶あたりは不可能に近いでしょうね.
今回は2022年度診療報酬改定では回復期リハビリテーション病棟のFIMの評価に動画撮影を追加することが有益か否かについて考えてみました.
実際の運用を考えますと,FIMの動画撮影というのは現実的にはあり得ないと思うわけですが,こういった話が出るということは,一種の警笛が鳴らされている証拠だと思います.
病院単位でFIMを不適切に採点する運用を行っている医療機関も少なくないと思いますが,これは次回の改定でも論点になりそうですね.
個人的には急性期の医療機関が採点したFIMを用いるのが最も不正がなさそうですが,これも同一医療機関であれば簡単に不正が行われてしまいそうですし,同一医療機関でなくても急性期医療機関・回復期医療機関との癒着によって簡単に不正が行われてしまう可能性も高いでしょうね.
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